*ちょっとコワい話なので注意


今を去る事25年。
筆者が大学生の頃の話である。


小樽水族館の麓、祝津のヨットハーバーのそばに北大ヨット部の艇庫があった。

二人乗りの競技用ヨットが数艇。
炊事場。
ザコ寝のための広間。

これらがまとめて一軒の土蔵にあった。
ひんやりと暗い倉庫。


かつてニシン漁が盛んだった頃の石造りの倉庫を改造したものである。

学生は金曜の夜から泊まり込み、土日をヨットの練習にあてる。


さて
この艇庫には、ヨット部に代々伝わる幽霊譚がある。

雨の午後、水玉の服の女性の幽霊が現れる!

筆者は、学生らしい戯れ言だ、と一蹴し、まったく気にしていなかった。


ところが、である。

ある日、札幌の自室のベッドで昼寝していた時の事。

うっすらと視界に、水玉の女性が見えた。
仰向けの筆者の頭を跨ぐように立ち、こちらを見下ろしている。そして筆者の顔を扇ぐように何度も腕を振っている。

わっ!と目覚めると、その姿は消えた。
外は雨。
これ、一瞬の出来事だった。

まあ、夢だろうな…
ははは…


…違った。


後日、ヨット部艇庫に置いてある古いノートを読んでいたら、10数年前の先輩が同じ経験をした事を書き残していた。

「雨の日に艇庫で留守番してて、うつらうつらしていたら、白地に黒の水玉の女性がこちらを見下ろしていた…」

とある。


筆者が見たのも同じく白地に黒の水玉だった!

ヨット部では、単に「水玉の服」として流布する噂話であって、色についての情報は無かった。


…まあ、冷静に鑑みれば、普通「水玉の服」といえば白地に黒が標準だから、この符合は驚くに足りない。


ノートにはまだ先がある。

「…腕を俺の方に向けて伸ばし、しきりに縦に振っていた」

ぎゃーっ!

同じじゃん!
怖いっっ!

この動き、意味不明
まさか誘ってる?


それ以降、幽霊の類を見ることもなく平和に年を重ねた筆者だが、今でも幽霊は信じてるのだ。


幽霊はいる

けど存在はしない(触れたり、物を動かしたりはできない)

というのが筆者のスタンスである。

















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