実体をみた | 解脱

実体をみた

今日仕事を上がろうとしていた時のはなしだ。

後輩とバイトの子三人だった。

俺は職場で起こる怪奇現象について話していた。

塩が盛ってある小皿が置いてある所を通った時、二人がこちらを向いた。

なぜ振り向いたのかは覚えていないが俺が二人を振り向かせるに足る事をいったんだろう。

その時二人の間に出来た空間を黒い人が横切った。

ちょうど二人の間に出来た空間にだけ見えたのだ。

よく見えなかったから人だったかどうかはあやふやだが。

驚いた俺は「今なにか通らなかったか?」と言った。

後輩は「おい!ウソだよな!」とわななく声で叫びバイトの子は青ざめて黙ってしまった。

俺はゾクゾクしながらも「みまちがいだったみたい。すまん」と言ったが、鳥肌が止まらない。

そのまま逃げた。

予兆はあった。電源を落とすとき背後でガサガサ音がしていた。
電源の背後には三階の踊り場に続く階段があるのだが、三階は使われていない。誰も通らないはずの場所なので変だな、ちょっと怖いな、と思ったのだ。

三階がまるまる使われていないのは変な話なので度胸試しに同期が上ろうとしたら掃除のオバちゃんに睨まれたのでやめたと言っていた(後日オバちゃんがいない時に上がったところ、がらんとした踊り場になっていた)。
昨日の酒が残っていたのだと信じたい。