孤独な闘い
男の目は狂気に満ち溢れていた。ある人が言うには「ぶすくれている、とか機嫌が悪い、と言うレベルではなく周りのもの全てを憎悪している」ようだったという。
男は闘っていた。人生がかかっていた。ここで気を緩めると終わりの始まりなのだった。絶対に食い止めなければならない。そう信じていた。またその通りで間違いないだろう。
急いではならない。敵は過敏に反応し、恐るべき勢いで男を破滅させるであろう。ゆっくりすぎても間にあわない。男の耐力は有限であるから。確実に自宅に向かって歩を進める必要がある。地獄のシーソーゲームが開始されていた。
「糞が……」
男は呻く。しかし糞呼ばわりとしたと言えど侮ってはならない。一瞬で男の人生を破滅させる力を持つのだ。何度も言うように。そこは最も強調されるべき点である。
三日間。男が耐えた日数である。最初、弱かったそれは三日間で恐るべき量へと変貌し、今その勢いはピークなのだった。
「俺をやろうったってそうはいかねえぜ。なんと言っても俺は貴様のような輩とは昔から馴染みだからな。慣れたもんだぜ……」
慣れたと言ってもキツイ相手であることには変わりない。男に出来ることはせいぜいケツの穴に力を込める事、それだけ。そしていずれそれすら出来なくなる。
Noguso?
男の頭にその単語が先程からちらつく。このコンクリートジャングルで?出来るはずが無い。前方を睨み付けひたすら歩くしかないのだ。もし間に合わなければ、糞まみれの行き倒れ一丁出来上がり。歩くしかない。