嫌な白昼夢
俺は外を歩いていた。久しぶりの外出である。見ると、グリルやフライヤーを引き連れたファーストフード店員が道にうずくまってういる。
マネージャー 「・・・だから・・・クリーンな世の中に・・・必要なんだ・・・」
通行人 「なんだこいつは」
通行人が興味深そうに周りを囲うと、殺戮は開始された。
マネージャー 「肉食!飽和!共食い!これはいったい何の肉!?」
マネージャー 「出所不明!関係ねえ!何は無くとも肉は肉!ハッハー!」
まるでVIVISICKの歌詞のような物言いでノリノリなマネージャー。
阿鼻叫喚の地獄絵図と化す往来。逃げ惑う通行人。
唐突に、軍団はこちらに矛先を向けた。俺は黙って奴らを見据える。
マネージャー 「待て、とか止めろ、とかそこらの豚どもみたいに言ったらどうなんだ、そこの兄さん。命は惜しくないのか」
俺 「待て、と言った所でそいつが助かった物語など無いのだ。ここは黙って大物ぶった方が得だ」
マネージャー 「それじゃあ貴様みたいな奴にはご馳走しないとな。やっと資材が確保できたんで営業再開だ」
と、さっきの通行人で作ったバーガーを差し出すマネ。
マネ 「100円。人件費コミコミ」
黙って百円を払う俺。実際は利益度外視の低価格か?
マネ 「大丈夫。死体漁りが我らの主たる稼業だ。バーガー屋は副業だから」
死体って、あんたらが作った死体じゃねえかよ、自作自演かよ、と思うも黙って受け取る。
俺 「これは・・・意外に美味そうな・・・」
マネ 「死にたて。たった今死にたての新鮮極まりないお肉を使っているから。そこが売りだから」
俺 「そう言えば今日何も食ってないんだよね・・・」
マネ 「どうぞどうぞ」
実際は先ほどから吐き気が止まらないが食わないと同じ目に合いそうだ。その時、背後から声がした。
「止めなさい!」
振り向くと、同じようにグリルやフライヤーを引き連れた女が立っている。
女 「本来は死んでミンチになった豚さんや牛さんをおいしく調理するための機械を何、人間様をおいしく調理しちゃってんですか!」
マネ 「うるせえ、俺は掃除してるんだ。それに子供は襲わない」
女 「この酷い臭いは何?すぐに止めなさい」
マネ 「調理過程で手違いがあったようだ。次から気をつける」
女 「そういう問題じゃなくて」
マネ 「うるせえうるせえ、俺は今からアフリカの飢餓地帯に行ってこれを配るんだ。みんな喜んで食ってくれるに決まってる!この贅沢者どもめが!おまえらにはいくら金を積まれたって一口もやらんからな」
いらん、いらんよ、と思う俺だが、すかさずバーガーを茂みに押し込み
俺 「うむ。美味かった。もう腹一杯。心安らか。ありがとう」
女 「え・・・食べたの・・・」
マネ 「マジで食ったよこいつ・・・」
俺 「おい!貴様!貴様!」
幼児退行してしまった。
女 「警察が来るわよ」
マネ 「みんなこんがり揚げてやる。俺の戦車はポリスの銃弾などモノともせん」
俺 「戦車?」
どう見たって調理器具だよ。
女 「あんたが撃たれたらお終いでしょう」
マネ 「チッ、ここは下がるか」
仲良く去っていく二人。なんだこれは。