過去を振り返ったら
俺はSOS団がもし本当にあったら入るかも知れない。なんて電波な事を書いているのは、俺は子供の頃不思議な体験をした事があるから。
しかもその体験をしたのは俺だけではない。そこが重要で、俺一人だけで”それ”を体験したのならば、ああ、目の錯覚だったんだろうなあ、とか、ついに幻覚が・・・で済まされただろう。
未だ、あれが何だったのか、俺には全くわからんし、たぶん周りで一緒に見ていた奴らもそうではないだろうか。その体験をした時、俺は埼玉の学校で小学二年生をやっていた。たしか一時間目か二時間目の休み時間の事であった。俺は数人とトイレで用を足していた。
小のほうだ。背後には大きい便用個室が三つ四つ並んでいた。すると後ろでバタン!とドアの開く音がして振り返った。もちろん、周りにいた奴もみんな。見たものは足だった。普通の足じゃなくて緑色で人間の約四倍の太さであった。毛深く、裸足だった。それが大トイレのドアから飛び出ていた。俺達があっけにとられていると、それはゆっくりと個室の中へ戻って行き、最後にドアが閉まった。
俺は急いでその個室の扉の前へ行き、開けた。すると何もなかった。俺の後ろから見ていた数人に「おまえ、さっきの見たよな」と聞くと、彼らは首を縦に振った。しかし、その校舎はとても新しかったし、トイレもピカピカだったので、化け物の類が現れてもちっとも怖くはなかった。俺達はそのまま教室に戻って二度とそれが話しに出る事はなかった。
そのときは小さな子供だったから、さっさと忘れてしまったが、今考えると、とてつもなく変だ。その後、何回か人に話す機会があったがもちろん皆信じない。当然である。俺だったら信じない。でも一緒にいた何人かの友人は、たぶん覚えているはず。今では話のネタにすらならない。怪談話として語るにはマヌケすぎる。ちっとも怖くないし面白くも無い。それよりは、親父が語る軍隊時代の話のほうがよっぽど恐ろしい。