確かな昔の事
その頃、私はデストラクションとかいうバンドに在籍しており、メンバーは至って平凡で早稲田だか慶応だかの出身者で占められていた。ただ一人、私を除いて。そのバンドのリーダーはあるとき錯乱し、メンバーを全員解雇せしめ、行方をくらましせしめやがった。残された俺はファッキンデストローィな気分でメン簿を出した。新たにバンドを立ち上げるのだ。今度は自分が主体となって。そして連絡は来た。意外にたくさん。その中で良さそうな奴を一人選んで会うことにした。そいつはハードコアの募集にもかかわらず金髪ロンゲメタル臭プンプンでやってきたのだった。しかも普通に連絡もいれず三十分の遅刻をかました。対する私はスパイクヘアー鋲打ちベストにドクターマーチンの王道スタイルであった。奴はATMの前(の階段)に座り込み、話始めた。「スレイヤーが・・・」「メタリカの・・・・」「サバスを・・・・」黙して奴の話に耳を傾けていた俺はその一方的な会話の中にただのひとつもハードコアらしさを感じる事が出来なかった。これはおかしい、と感じた俺はとりあえずマイナースレットあたりのメジャーバンドを振ってみた。奴は、得意げに知っていると答えた。フム。ではディスチャージ、ブラックフラッグあたりも知っていた。しかしそれらを圧倒的にマイナーなバンドだと認識していた。信じられん。なぜ俺の、俺の募集に反応したのだ、このビッチ野郎と愛用のエピフォン製低額所得者専用ギターでそのオカマ野郎のような長髪頭部に殴りかかろうとも思ったがとりあえずは奴のメタル溢れる技術を見てみようと思いスタジオへ入った。奴はドラムの所の椅子に腰掛けドラマーである意思表示をした。フム。私はギターを構えメタル臭いリフを連発する。奴は遅いテンポでのドラミングを披露した。なおかつリズムはもたついており、変な場所でフィルインが入っていた。ショボい!これぞハードコア!そうか、俺は外見や会話に騙されていたが、こいつは紛れも無くハードコアパンクだぜ。メタルは奴の願望でしかなかったのか。シット!(田中ロミオ風味に)「では、今度の練習はいつにしようか。」と俺は早速次の日程を取り付け、その日の深夜アニメを見るため足早にそこを去りせしめた。そして次のスタジオ日、奴は曲を書いて来た。