BRM920東京1000kmええじゃないか伊勢夫婦岩 【DNF】 事前スタッフ試走編 | .

BRM920東京1000kmええじゃないか伊勢夫婦岩 【DNF】 事前スタッフ試走編

「ブルベ戦記」 第260
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BRM920東京1000kmええじゃないか伊勢夫婦岩 
開催前週の9/13にスタッフ試走しましたが、伊勢の折り返しがタイムオーバー予想になったため、300kmで途中棄権(DNF)しました。



【総括】
ブルベを始めて4年目、ようやく日程的に都合がついて初挑戦かなった1000kmでした。
しかも、認定事務のスタッフとしての試走。コース下見という責務も伴いましたが、残念ながら、ほかの同走スタッフと相前後して2日目の朝、愛知県一宮を過ぎたところで、午後の伊勢折り返し時間に間に合わないことが確実になり、リタイヤ。輪行で帰京しました。 



最初の200km区間で獲得標高が4千m近くとかなり厳しいコースだったとはいえ、それは誰もが同じ条件。自分の反省点としては、試走前にバイクのフレームを入れ替えていて、そこに時間的、精神的なゆとりを奪われてしまい、1000kmという長丁場のコースにもかかわらず、事前の卓上研究が十分でなかったことがひとつあります。

結果として、あまり妥当ではない仮眠時間のとり方や、通過チェックでの買い物(レシート入手)忘れという、これまでやったことのなかった凡ミスにつながり、折り返しまでの走行時間が足りなくなってしまったのかもしれません。自分の脚の調子自体は悪くなかったので、本当はもう少し前半で積極的にペースを上げなくてはならなかったことも少々悔やまれます。

今回は故障や体力消耗がDNFの直接の原因ではなかったがゆえに、「取り逃がした」感がありました。その翌週が開催本番でしたが、スタッフとして前週走った前半区間をクルマで巡回しながら、力走する参加者たちの姿に(できれば自分も同じコースをもう一度、走りたい)と感じた次第。




しかし、逃がした魚は早々に戻ってくるものではありません。来年夏に参加希望のPBP(パリ・ブレスト・パリ1200km)までに1000km級のブルベを走行する機会にはもう恵まれないであろうことも、新たな不安材料となって残りました。

そして今年秋はこの1000kmに日程を定めていたため、ほかのブルベへのエントリーはもうありません。例年になく、なんとなく後味のよくないシーズンの終わり方になりました。




では出発時から、振り返ります。


9/13 4:34 世田谷の自宅を出発


5:11 京王線・八幡山駅

まず、自宅から京王線・八幡山駅まで15分ほど自走。そして輪行の準備。
この輪行袋(タイオガ・コクーン)、いろいろ悪評ありますが、買ってしまったので使ってきました。ただ、ジッパーの一部が壊れてきたりしたので、今回でついに引退です。次回(って、いつかは未定ですが)からはオーストリッチL-100です。

下りの始発で高尾まで。さらにJR松本行の普通列車に乗り換えました。高尾駅はホームが若干離れていて、切符を買いなおしていたら、乗車ぎりぎりでした。早朝にもかかわらず、車内は登山客でいっぱい。


7:52 山梨県・石和(いさわ)温泉駅前
ここで再びバイクを組み立て、スタート地点の石和健康ランド前へ。自分は一人で8時スタートですが、この日は7時に2人、9時にも2人のスタッフが出走予定です。


8:02 スタート(山梨県・石和温泉 石和健康ランド前) 
8時を少し過ぎましたが、予定通り、出発です。天候はおおむね晴れ。
ガーミン(etrex-30)のコースマップを始動させます。


8:10 連休初日の土曜、甲府市の道は混んでいます。

ところで今回の1000km走行では、

・まず7時発の2人に早めに追いついて、貯金をつくること
・一日目の明け方前に犬山駅前(267km地点)の漫画喫茶店で1時間は仮眠し、2日目午後の伊勢の折り返しに間に合わせること
・2日目の夜は名古屋(金山駅前)のカプセルホテルを予約しており、ここで十分な休憩をとって後半に備えること
を当面の目標にしました。

しかし、あとから振り返ると、犬山での仮眠はタイミング的にちょっと早すぎたかもしれません。もう少し頑張って走り、せめて一宮までは稼ぐべきでした。実際、犬山で仮眠した後も夜明けまではまだ時間があり、一宮まで暗闇を走る間、再び眠気に襲われてしまったからです。

夜が明けさえすれば眠気は去るものですが、その時はすでに、後述する「大失敗」の後で、走り続ける時間が足りなくなってしまっていました。

(当初予定では、仮眠は一宮で、と考えていましたが、事前のブルベ仲間との情報交換の過程で犬山の店の情報を聞き知ったのが、かえって良くなかったのかもしれません。いまさら、ですが)



さて、話は序盤に戻ります。


8:21 甲府駅前を通過。


8:48 国道20号を諏訪方面へ向かいます。

最初の杖突峠のふもと(64.3km)にあるセブンイレブン(茅野市安国寺)に、スタート3時間後の11時に通過することを目標にしていました。つまりAV.20km/hの走行です。その後の連続する峠を考慮すると最初は脚を温存したほうが無難、との見方もありましたが、この程度の速度なら大丈夫では、と考えていました。


8:49 幸い、天候は良かった。それどころか日差しが強く、徐々に発汗が増えてきました。


8:58 山梨県・韮崎の手前。ブルベで馴染みのこの国道20号の「船山橋北詰」交差点。
右から左へ抜けたり、左から右に抜けたり、向こうからこちらへ下ってきたり、と、何度も通過してきた交差点です。


9:41 川沿いを諏訪方面へ。ときおり緩い登りを繰り返しながら進みます。


10:04 小淵沢。長野県に入ります。


10:04 なんとも気持ちがいい。


10:22 富士見峠


10:52 富士見峠を越え、バイパスのトンネル過ぎて諏訪の市街地が一望できます。
杖突峠のふもとには、予定通り11時ごろ到着。コンビニで水分補給します。


11:14 最初の峠、国道152号の杖突峠に入ります。
あとから思えば、峠といっても、ここはまだ「表街道」の部類でした。


11:55 40分ちょっとでピークへ。脚の調子は悪くないです。


11:56 ここから高遠へ長い下りです。
登りでかいた汗が、風で消えて涼しい。


12:11 高遠の緩く長い下り。古い家屋が杖突街道沿いに点在しています。


12:20 


12:36 通過チェック(91.0km セブンイレブン高遠小原店 12:23着) 

県道右側のコンビニに入ると、そこに7時発の試走スタッフ2人(T代表、まこたさん)がいました。今日最初のミッションは完了。1時間のマージンを築けた(と、せっかくテンション高く走ってきたのに、ここで気が緩んでしまった気がしてなりません。あとから振り返ると、、、、)。

いずれにしても、ここから3人で走りました。


12:43 初秋の高遠をいい感じで走り抜けます。
というか、高遠って、ずいぶん広いエリアなんですね。


12:43


12:45


(撮影=まこたさん)


13:17 伊那の手前の「火山峠」という不思議な名の小さな峠を越えます。
越えると、先は駒ケ根市。まこたさんは脚が好調のようで、先行してゆきます。


13:23 駒ケ根の丘陵地を下ります。


14:06 天竜川沿いの伊那街道(県道18号)へ。
クルマとすれ違うのはぎりぎりです。
道路右側をのぞくと、はるか下に天竜川の川面が。

途中の下りで、T代表の前輪がいきなりバースト。
路面の凹凸が多い区間なので、リム打ちパンクだったのでしょうか。

すぐにパンク修理。その間、残りの私たち2人は木陰で休憩w
そう、日差しが強くて、日陰が涼しいと感じられるほどでした。
その後、ボトルの飲料水が無くなり、この天竜川沿いの小道をしばらく我慢して走って、ようやく人里で自販機を発見。この日は、「自販機」探しをこの後も繰り返しましたが、この季節にしては日中は好天ゆえに暑かったのです。


14:47 伊那街道を走ってきて、ようやく飯田の市街地へ。
豊丘村役場近くのPC1に着きますが、やや熱中症気味。ここでも日陰が心地よかった。


PC1(134.0km セブンイレブン豊丘神稲店 14:44着)


15:11 きつい西日のなか、PC1をあとにします。
しばらく飯田の市街地を通り、大平街道に入って山間部へ入り、いよいよ飯田峠へ。


17:37
という訳で、途中の写真がありませんが、ひたすら登っていた、ということで。
標高1000m近くになると、湧水の音が心地よかった。ついに一か所、つづらおりの崖づたいに小さな流れを見つけ、思わず口を寄せて、湧水でのどを潤しました。美味しかった。

そしてピークへ。飯田峠は10kmほどの上りですが、汗かきながらも、わりとすんなりこなせました。
ただ、大平街道とはいっても、さきほどの杖突街道とは違い、道幅せまく、交通量ほぼ皆無の、いわば裏街道ですね。明るいうちに越えておきたい峠です。



(撮影=まこたさん)
先にピークに着いて一休みしているところ。


17:52 飯田峠から少し下ると、ちょっとした盆地に、民家を改造した民宿などが数軒。
そこからさらにもうひとつ、大平峠を越えます。


18:28 夕暮れせまる山並みが見渡せます。ということは、ここから先の長い下りは暗闇の中。


18:43 大平峠を中山道方面に下ります。


18:43 最初は急カーブの連続、徐々にカーブの半径がゆるくなり、60km/h前後の速度で下り続けます。新しいカーボンフレーム※の操縦性の良さを十分に感じました。
※フレームを交換した話はまた別途


19:45 馬籠峠を越えて、馬籠宿に出ました。

馬籠峠は道幅は広いものの、真っ暗で、意外と勾配がある。
さらに、のどがかわいた、と一騒ぎしながらピークをめざしましたが、
ピークにある峠の店の自販機は調整中だかで販売中止。

馬籠宿まで降りてきて、ようやく見つけた自販機の前で休憩。
さらに中津川方面へ下ります。


通過チェック(200.1km セブンイレブン中津川苗木店 20:26着)

ここで、近くにご実家がある、スタッフのHさんが帰省ついでに、応援の出迎えに。
大いに盛り上がりますが、ここでの「大休憩」がもしかしたら致命傷だったのかしれません(汗)
食べたり、しゃべったり、うとうとしたりしていると、9時組の2人もご到着。となると、7時組の2人が青ざめたのはいうまでもありません。2時間差を詰められたのですから。私も例外ではありません。

多少焦りながら、先着した我々3人は、蛭川峠という前半の難所に向けて暗闇へ走り出しました。



(撮影=まこたさん)

前半の最大の難所、蛭川峠。
この峠の登りそのものは3kmぐらいですが、勾配が10%超なのと、この峠の前後にもそれぞれ急な登坂区間が現れたりします。
3人は、(ここで無理に体力消耗することはない)とばかりに、蛭川峠は当たり前のように押しで登りましたが、これもあとで振り返ると、時間が切迫していたのによかったのかどうか、との思いが残ります(とはいえ、真っ暗闇で、勾配があって道幅はかなり狭いうえに、でこぼこの悪路。こいで登るのも結構大変な坂なのですが)。

そんな蛭川峠のピークを22時半ごろ越えました。
夜半に岐阜県に入り、美濃方面へ下り基調。

しかし、まこたさんが蛭川峠手前から不調に陥っており、ピンチ。
このコース前半の距離はたったの(と敢えていいますが)200kmあまり。しかし、いくつもの峠を越えてきており、獲得標高は4千m近くと、通常のブルベとは単純比較はできません。



シークレット予定の直売所で小休憩したりしました。が、遠く伊勢の折り返し(PC2 447km)までの制限時間は切迫してきており、もしかしたら、速やかにさらに山を下り続けるべきだったのかもしれません。



杉原千畝記念館の横を通り過ぎ、木曽川を渡って岐阜県八百津のコンビニに立ち寄ったのは、9/14 0:38
ここでは冷たい牛乳を500ml飲んだりし、体調はそれなりに保っていました。



3人は、愛知県の市街地に入り、犬山駅近く(267km地点)に到着。
ここの24時間営業の漫画喫茶店の個室のリクライニングソファで1時間仮眠。


(撮影=まこたさん)
しかし、集合時間になってもまこたさんは店内から現れず(残念ながら、ここで先にDNFとのちに連絡ありました)。

仕方なくT代表と2人で次の通過チェックを目指して再び夜闇を走り出しましたが、私は1時間の仮眠の効果なく、むしろ中途半端に寝たためか、頭がさえないまま。なんとなく眠気を抱えながら、進みます。



そして、愛知県一宮の通過チェック(セブンイレブン一宮佐千原店)に到着。
ここで私としては珍しく、そんなに極端に体力消耗していたわけでもないのですが、買い物する前に先に座り込み、なんとなく一休み(その後、多少、うとうと居眠りしてしまったようです)。


(撮影=T代表)


この後、夜が明け始めました。

「そろそろ間に合わなくなるから、もう行ったほうがいいんじゃないか」とのT代表の声。
(確かに。もう貯金の時間があまりない)と立ち上がり(それでも、ややおっとり気味でしたが)、「では、行きます!」と一人先を急ぐべく店を出ました。

私よりスタート時間が1時間早かったT代表は、もうここでやめることを決めていた様子でした。



夜が明けてきた一宮の市街地の広い幹線路を一人でゆきます。
ですが、どうも気分が変です。
というか、何かが抜けている感じ。


濃尾大橋東の交差点手前を左折して、再び木曽川の堤防沿いを下流方向に進みます。
完全に夜が明けてきて、今日もどうやらいい天気のようです。
しかし、早朝の堤防沿いの道は、後ろから走り抜けてゆくクルマの速度が半端じゃない。
(ここは高速道路か?)と錯覚するほど。


名神高速道や東海道新幹線の下をくぐり、さらに木曽川沿いをゆきます。

ひたすらまっすぐの単調な堤防道路なので、いったん目覚めた頭がまた眠気に見舞われてきます。ふらっと右に傾いた瞬間、猛スピードのクルマに追い越されたりします。

(これは危ないな)
そう感じて、路肩が広いところで停止して、足を付きました。



(いま、どのへん走っているんだろう?)
ガーミンのGPSの画面で地名がよく確認できなかったので、
そう思ってキューシートに目を落とした瞬間、ハッとしました。


(あれ、一宮って通過チェックあったよな。どこだったっけ)
思考がつながりました。
(あ、さっきのセブンイレブンで買い物するの忘れてた!!!)
買い物より先についうたた寝していて、そのまま出てきてしまったのでした。
こんなことは初めてでしたが、どうも、どこか気が緩んでいた、としかいいようがありません。
大いに反省です。


すっかり目が覚めて、あわててサイコンをみたら、さきほどいたセブンイレブンからはもう、20km近くも離れています。その時に停まった地点はちょうどスタートから300kmほど、愛知県稲沢市祖父江のあたり。

コンビニに戻って往復すると40km。一瞬、戻ろうかと考えましたが、伊勢の折り返しまではあと140kmあり、クローズ時間は13:48です。 すでにAV.20km/hで走れたとしてもぎりぎりなのに、さらに40km上積みしたら、間に合いそうにない。



(ああ、駄目だ)
がっくりしているところへ、ちょうど、9時スタートのうちの1人、Yさんが追いついて、通りかかりました。
20km戻る話をしたら、「それはもう無理でしょ」と。それはそうだ。
私の1000kmチャレンジはここで終わりました。





(さて、では帰らなくては。家に帰るまでがブルベ、だ)

朝から好天に恵まれた木曽川沿いの堤防。
さらに先ゆくYさんと別れ、残り電池量の少ないスマホを起動させて地図を開き、最寄の駅を探しました。

名古屋近郊だから鉄道は多いか、と思いきや、思ったよりも駅は遠くて、そこまでおたおたと自走。平地の畑に住宅が点在するのんびりした風景の中をゆくと、名鉄の山崎という無人駅にたどりつきました。
そこで輪行準備して、確か2両編成だったかの電車に乗り、いったん尾張一宮駅まで戻ってから名古屋駅へ。


東海道新幹線のぞみに乗り換えて、午前中のうちに無事、帰京しました。



<markun 走行記録集>

  
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「ブルベはフランス語で『認定』を意味します。ブルベには様々なものがありますが、オダックス・ジャパン(AJ)が統括する日本でのブルベはBRMといいます。BRMは規定の距離を規定の条件で完走すると認定される長距離サイクリングです」

「同じ年に200km、300km、400km、600kmを認定された人はシューペル・ランドヌール (SR。英語ではスーパーランドナー)として讃えられます」

「BRMの最高峰として位置づけられているのが4年に1度、ACP(オダックス・クラブ・パリジャン) が開催するパリ~ブレスト~パリ ランドヌール(PBP)=1200km」

いずれもAudaxJapan(オダックスジャパン)HPより