Tさんの部屋に入った瞬間、殴られた。

訳もわからないまま、怒鳴られた。

今までの私だったら、きっと、されるままだった。

「何で、イキナリ、殴るの!!」

今までの、私だったら、絶対言えなかっただろう。

Tさんも、驚いていた。

「匂いが違う。男ができたんじゃないのか?」

匂い?

・・・

一瞬、考えてしまった。

だけれど、すぐに、思いついて答えた。

「匂いって、フレグランス?シャンプー?替えたよ。」

「なんでだ?」

「節約に。安いのにしたから。」

言い終わらないうちに、Tさんは、私を駐車場へ連れて行った。

そして、そのまま、買い物へ。

結局、今まで、使っていた物と同じ物を買って来た。

「その匂いが一番いい。」

何だか、素直にお礼が言えなかった。

Tさんの、私への支配はこうやって続いていくのだろう。

そして、そんな私の姿を、希が見る日が来るのだろう。

希は、私を軽蔑するだろうか。

考えていたら、疲れてしまった。

逆らわない私には、Tさんは優しい。

それは、見せかけの優しさだけれど・・・