Tさんから、何度も携帯に着信があった。
だけれど、私は出る事はなかった。
冷静に考えたら、Tさんを怒らせたら、大変だとわかっていたのに。
恋に浮かれている場合じゃない。
私には、希がいる。
それでも、ちょっとだけ、誰かに寄りかかってみたくなった。
そう、多分、それだけの気持ちだったはずだ。
何もなくなって、Tさんが、私の恋に黙っているはずはない。
もう、誰にも迷惑はかけたくなかった。
それでも、カレから、逢いたい、そう言われると、逢いたくて逢いたくて・・・
でも、逢えない。
それでも、最後に、一目だけ逢いたい。
だから、逢う約束をした。
きちんと、お別れ出来る様に。
後悔しない為に。
何度か約束したけれど、希の体調が良くなくて、やっと逢えたのは、約束してから二ヶ月も経っていた。
何度も、ドタキャンして、延期して、それでも、カレは来てくれた。
落ち着いて話そう、そう言われて、ホテルのロビーから部屋に移動した。
「もう逢えないよ。」
そう言った瞬間に、抱き締められていた。
キスして、別れた。
抱かれたい、このまま、一緒に居たい、そう思ったけれど、そうしたら、離れられなくなるから。
エレベーターから降りてロビーに出た瞬間、腕を捕まれた。
もしかして、カレが、追いかけて来てくれたのかも、そう思って期待して顔を上げた瞬間、私の目に入ってきた自分物は、Tさんだった。