Tさんの要求は、際限が無くなっていった。
会うのが、週に一回だったはずが、二回、三回、来いと言う様になった。
希を連れて来いと、毎回言うようになった。
セックスが終わったら、すぐに帰ろうとする私を、帰さない様に、何度も何度も、しつこく抱く様になった。
それでも、私は、負けたくない気持ちで、Tさんの要求を跳ね除けていた。
全部は断れない。
でも、譲れないものはある。
「希は俺にそっくりだ。」
Tさんに言われ、持っていった希の写真を見て、そう言った。
希は、Tさんにそっくりだった。
Tさんには、激しい憎しみと嫌悪を感じるのに、希には、まったく感じない。
Tさんの子供だと言うよりは、私の子供だからかもしれないけれど。
希も、いつかは、父親が居ない事を、不思議に思うのだろうか。
父親の事を聞かれたら、私は、どう答えればいいのだろうか。
ふと、そんな事を思った。