Tさんが、バスルームに行っている間に、慌てて服を着て部屋を飛び出した。
お金はなかったけれど、携帯だけは持って来た。
携帯の電源を入れる。
そして、K君に電話した。
K君は、とりあえず、迎えに行くと言ってくれた。
K君が来るまで、携帯を握り締め、ひたすら隠れていた。
携帯が鳴った。
K君だった。
K君の車に乗り込むと、ほっとして涙が出てきた。
K君は何も聞かず、車は、K君の部屋に向かった。
K君の部屋に入り、今までの事を聞かれた。
私は、自分の家に戻った所を、Tさんに見つかり、連れ戻された事を話した。
K君は、それ以上は何も聞かず、ただ抱きしめてくれた。
電源を入れたままの携帯からは、Tさんの着信が何度もあり、何回か目にK君が出た。
K君はTさんに、私に二度と付きまとうな、と怒鳴った。
「絶対連れ戻す。」
Tさんは、そう言って切ったらしい。
その言葉を聞いて、震える私の左手の薬指に、K君が指輪をはめてくれた。
K君からのプロポーズだった。
私は泣きながら、今までTさんに何度も何度も抱かれて、何度も何度も中に出された事を告げ、結婚は出来ない、そう伝えた。
K君は、それでも、そう言った。
私とK君は、その夜、初めて結ばれた。
Tさんにつけられたキスマークの上から、K君がキスマークをつけていった。
優しい愛撫、優しい動き。
愛の言葉。
そして、愛する人のものが、私の奥で出された。
Tさんの時のような嫌悪感はなかった。
とっても幸せだった。
私とK君は、何度も愛し合った。
だけれど、Tさんの愛撫に慣れきった私の身体の疼きは、K君では消す事は出来なかった。
私は、イッた振りをした。
K君を愛しているのに、身体はTさんを求めていた。
私を抱きしめながら眠るK君の腕の中で、私は火照った身体のまま、Tさんの事を考えていた。
Tさんに抱かれたい、それしか考えられなかった。