12月中旬のある夜、一本の電話がかかってきました。
それは会社の元後輩、T君からでした。
T君は僕より10歳以上年下で、ほんの1年しか同じ職場で一緒には働きませんでしたが、出身大学が同じということもあり、忙しい中でも楽しく一緒に仕事したことを記憶しています。
数年前に会社を辞め、弁護士を目指してロースクールに入り、頑張っていたようです。
彼が会社を辞めるタイミングで、会社を辞める旨の電話をもらい、「人生一回きりやから、やりたいことをやるのはええと思う。頑張ってな」と伝えたのを覚えています。
その約3年後に突然電話がかかってきました。
突然どうしたのかと思いましたが、話を聞いてみると、ロースクールには通っているものの、精神的にも身体的にも相当にボロボロのようでした。極限まで来てそうな勢いです。相談の電話でした。
僕自身も精神的に患った経験があるので、そのしんどさは多少理解できます。
とにかく体が一番大事だから、ゆっくり休んで体調を回復させることを強く勧めましたが、あともう少し頑張ればいい成績で卒業ができるし、またいい成績で卒業しないと卒業後にいい法律事務所に入れないし、半年後の5月には司法試験があるから、と、なんとか頑張り続ける様子です。
また、体調が悪い中、一人暮らしをしているようで、実家に戻って実家から通うことを勧めましたが、事情がありそれも難しいとのこと。
身内であれば強引にでも止めたかも知れませんが、いわば他人の人生のことなので、止めるにしてもその責任を負えるわけでもなく。。。
結局は、ロースクールはとにかく必要最低限のことだけをやって、とにかく体を休めて体調を回復させることを最優先にするように伝え、電話を切りました。
僕は休職中なので、彼の家に行ってあげて1週間だけでもサポートしてあげたいという思いはあったのですが、僕は関西、彼は関東の遠距離なので、ぎっくり腰の後遺症を抱えている状態では、2時間半の新幹線に座り続けることもままなりません。自分の体調を悪化させてしまいかねません。仕方なく、それはあきらめます。
その当時、僕にできることは電話で会話をしてあげるくらいでした。
それにしても、数ある知り合いがいるであろう中から、1年ほどしか一緒に仕事をしていない仲の僕なんかにヘルプの電話をしてきてくれたことは、なんだかうれしかったです。
と同時に、なんとか彼を助けてあげたい気持ちを強く持ちました。助けてあげるというのは傲慢ですが、自分のこれまでの知識や経験を活かして、アドバイスとかしてあげれればなあと思っていました。
しかし一方で、電話代をとても気にしている自分がいました。「1時間話したら1200円くらいだしなあ。こっちから電話かけたら結構かかるなあ」なんて思って。ほんとに、せこいですね。器が小さすぎます。
というわけで、彼の様子を気にしながら、メールしたり電話したりしようと思いました。
しかし、この時はまだ、次の展開を予想もしていませんでした。
つづく。