KILLING FIELD -2ページ目

厚く重たい雲で覆われた空の隙間から一筋の光が零れる。
見渡す限り赤土の広大な荒野とひび割れたアスファルトの道路が延々と続いている。
周囲に生命の姿は無く、どこまでも続く道路を一人の男が押せば倒れてしまいそうな歩調で黙々と歩き続けるのみである。


今日で何日目になるだろう、もうこの数日 少量の水以外何も口にしていない・・・・
1キャンティーンの水筒に噛り付いて水を一気に、気が済むまでがぶ飲みしたい気持ちとは裏腹に中身はもう殆ど残されていない現実に刹那さが過る。


体中の血を脚に集めて歩きながら、なぜ俺は一人でこんなクソ長い道路を歩いているんだろうと自問自答する。


こんな人気の無い道を歩き続ける理由―――そうだ、シチズンへ助けを呼ぶためだ。
疲労こんぱいでモウロウとする記憶が蘇る。


2日前、俺と仲間達のキャラバンが設営したベースキャンプは何者かに空爆された。
仲間の大部分は即死、かろうじて生き残った数名のメンバーの中で奇跡的に一人だけ軽症で済んだ俺は生き残った仲間の応急処置をした後、助けを呼ぶ為にここから最短距離に有るシチズンを目指し歩き続けているのであった。


からがら残ったわずかな食料は仲間達の為に殆ど置いてきた、何時着くとも知れないシチズンへの道を今ここで引き返して食料を補給しに行きたくなるが、戻れば仲間達の生命が危ない。


後退したい気持ちと前進しなければいけない気持ちの狭間で俺は一体何キロの道のりを歩いただろうか?最短距離であるにも拘らず一向に辿り着く気配が無い、あらゆる事が頭を駆け巡る。


それから歩き続けること暫く、遅いながらも一定のペースで動いていた脚が突然鈍くなった。
どうやら限界のようだ・・・・水はもう殆ど残されていない・・・・・・・まだ・・つか・・ない・・の・・・・・・・。

歩調が止まり、視界の隅が暗くなりだした。


次の瞬間 もう倒れるしかなかった・・デク人形のように俺はアスファルトの地面に崩れ落ちた。
真っ暗な視界の中、俺は死を覚悟していた。


力尽きて倒れこんでから、意識はあったものの体は全く動かせず、長い間意識がかすかながら存在していた。


時折強く吹き付ける風の音が次第に遠くなっていく。

「・・・・・・・・ガサガサ・・・・・・・・・・ガサガサ・・」

・・・・俺の体を何かが漁っているような音が聞こえる。
しかし・・・もうどうでも良い。



―数日後―

気を失ってどれくらい経っただろうか、俺は気がつくと心地よい柔らかさと温もりの中で意識を取り戻した、どうやら眠っていたようだ。


真っ暗な視界の中、瞼を開けると眩しい光と共に見知らぬ天井がぼんやりと見えた。
おれは助かったのだろうか?・・・あれから何が起こったのか詳しく思い出せない。
死を覚悟していたが、誰かが助けてくれたのか?


あの時の事を色々考えていた時、部屋のドアが開く音が聞こえ視線を移すとそこに女性の姿があった。


女性「あら、目を覚ましたのね!体は大丈夫?彼方は2日前、遠征から帰還してきた私達の仲間に発見されてここに運ばれてきたのよ。何時から道路に倒れていたか知らないけど助かって良かったわ!」


俺は上半身を起こして謝意を告げる。


男「そうだったのか・・・本当にすまない・・感謝する。」


女性「所で彼方は何故あんな所で倒れていたの?あの広大な荒野を乗り物も無しで移動するなんて自殺行為よ!」


何故?・・・・そうだ!俺にはやらなければ成らない事があるんだ!


男「見方が遠征中に壊滅的な被害を受けて倒れているんだ!頼む!助けてくれないか?俺は助けを呼ぶ途中で力尽きて倒れてしまったんだ!」


女性「!!・・いいわ場所はどこ!?」


俺はそばに置いてあったバックパックの中からマップを取り出し、おおよその座標位置と場所の特徴・生存者の人数を教えた。


男「俺達のキャラバンの居た地点はここの道路を西へ向かった先にある渓谷の付近だ・・・座標はこの辺り!大河の下流にある緩やかな地形にキャンプを作っている 現在生存者は3名で全員重症状態だ!応急処置を施したが何時まで持ち堪えられるか分からない!」


女性「・・・・・嘘でしょ!?あなた?! こんな所から一人で乗り物も使わず歩いてきたというの!? ここはシチズン56よ!最短のシチズンとは言え、歩いて向かうのは無謀よ!」


男 「それでも俺はやらなきゃいけなかったんだ! 頼む助けてくれ!あいつらの物資はもう殆ど尽きているはずだ・・・一刻の猶予も無いんだ!俺も現地へ向かう!」


女性「彼方はダメよ!今の体で行くのは危険だわ!!代わりにこちらから救出隊を編成し直ちに助けに向かわせるわ!」


男性 「有難う・・・・」


女性「私達は中立の立場・・・助けるのは当然の事よ。」


そう言うと彼女は部屋を飛び出して行った。
彼女が部屋から出て行ってしばらく、すぐに部屋に戻ってきた。

女性「救援要請をしておいたわ、これで彼方の仲間達は大丈夫よ!!ただちに出動するらしいわ・・・所で自己紹介がまだだったわね?私の名前はルー ここの勢力はフリーダム・・彼方の名前は?」


男「おれの名前はG・ストライダーだ。 所属している勢力はオールドニューヨーク、俺達キャラバンは物資を求めて西を旅している途中だったんだ。」


ルー「そうだったの・・・あなたは本当に運が良かったわね・・・私のことはルーと呼んで。」


G「おれはストライダーかGでいい、宜しくな、ルー。」


ルー「こちらこそ!」


その後、俺はルーの好意により数日振りの食事をご馳走になった。


食事を摂った後、俺は残した仲間達の事を思いながら眠りについた。


~翌日~


G「ありがとう、すっかり生き返ったよ!本当に感謝する。」


ルー「当然の事をしたまでよ。」


G「仲間と合流するまで暫くこのシチズンへ居ようと思う、俺に出来る事が有れば何でも言ってくれ・・力になる。」


ルー「ありがとう・・・分かったわ、しばらくこのシチズンでゆっくりしていってね。」


G「所で俺の荷物はこれで全部かい?確か護身用の武器が入っていたと思うんだが。」


ルー「武器?見てないわね、メンバーの言うとおりだと貴方が発見された時には武器らしいものは無かったそうよ。」


恐らく、倒れた後に他の何者かに奪われたのだろうか?まあ、命があるだけでも感謝せねばならない。
本当は馴染みの武器でいささか名残惜しい気持ちは有るが。


G「そうか、分かった このシチズンで護身用の武器を購入出来る所をどこか知らないか?」


ルー「それならいい所がある!案内するわね!」


ルーに連れられ、俺はタウンの中心へと誘われ、人が行き交う中心街を横道にそれた路地の一角に連れてこられた。


ルー「ここはシチズンで一番のガンスミス ジョー・コバヤシの経営する武器屋よ。ありとあらゆる武器を扱っているの。値段が割高だけど信頼性では随一よ!」


そういって彼女は店のドアを開くと、地下へと続く階段が眼前に現れた。
狭い階段を彼女の後ろについて下りると、踊り場に出た、そこにはこの店を訪れた者達が狩へ出かけた時の写真がいくつか貼り付けられてる。


大型のライフルから拳銃まで様々な獲物でハンティングをした者達の顔は万遍の笑みだ。
写真を横目に階段を下りていくと短い廊下に出て、その先に重厚な鋼鉄製の扉が現れた。


ルー「ここに彼がいるわ!ちょっと変わり者だけどとても信頼できる人よ!」


そういって彼女は扉を開けた、そこには人が何人か入る事が出来る空間と、強化ガラスで仕切られたカウンター席が有り、奥で体格のいい男が銃を組み立てていた。


ルー「ジョー!久しぶりね!彼方にお客さんよ!」


ルーが叫ぶが彼にその声は聞こえていないみたいだ。
すると彼女はカウンターをバンバン叩いて大きな声で叫んだ。


ルー「ジョーーー!!久方ぶりのお客さんが来ーたーわーよーーー!!」


すると作業をしていた男の手がピタッと止まり此方を振り返った。


ジョー「なんだルーか!久しいな!」


そう言うとダルそうに立ち上がり、機械を止めてカウンター席へ座った。


ジョー「相変わらずお前は美人だな。 久方ぶりじゃないぞ、昨日お客が二人きて拳銃とライフルを買っていったんだ。」


ルー「儲かってるみたいね!うれしい事言ってくれるじゃない、お世辞でも嬉しいわよ。」


ジョー「お世辞なんかじゃあるもんか! 俺があと20歳若ければ嫁にしてたな・・・ガハハハ!・・・所で隣に居るのは誰だ?まさかボーイフレンドか?」


ルー「ジョー、違うわ! この人は旅の途中で力尽きて私達の仲間に助けられたの。倒れた時に護身用の武器を奪われてしまった見たいで、武器を買いに来たのよ。」


G「G・ストライダー・・ONY所属だ。 あー、Mrジョー・・・俺は武器を探しているんだ。ルーにここの店の店主は腕が立つと聞いてやって来た。」


ジョー「なんだ!お前が噂のONYの死にぞこないか!ガハハ!!」


ルー「ちょっ、ジョー!!やめなさいよそんな言い方!」


ジョー「おっと、すまんな!!俺は口の聞き方を知らんのだ!! それからMrはやめろ! 俺の事はジョーでいい。何はともあれ俺の店へようこそ Mrストライダー。」


G「俺もMrは不要だ・・ストライダーかGでいい。」


ジョー「そうか、あ!それからな!俺の店の事は外の連中には他言するなよ!客が来すぎると店の入り口に糞みたいな行列が出来てゆっくりできんからな!」


G「・・・・約束しよう。」


ジョー「さて!!で、どんな武器が欲しいんだ? 俺の銃の性能は折り紙付き!!保証するぜ。 金額は応相談だ!」 


俺は隠しポケットに入っている財布を取り出し、紙幣の束をカウンターへ差し出した。

G「そうだな、とりあえず此れだけの金額で買える銃は無いか?サイズは拳銃からミドルクラスのライフルまでだ」


ジョーはその札束を手に取り枚数を数え始めた。


ジョー「なるほどー・・・・んん??  ああーーー、この金額で買える銃か・・・・・。」


G「・・・有りそうか?」


ジョー「最新鋭の武器は難しいかもしれんが、数百年前の武器のコピーならあるぞ! 数百年前とは言っても、機構は完成されているし何より俺が作った銃だから性能は一級品だ!」


そう言うとジョーはカウンター席を離れ、暫くしてライフルを手に戻ってきた。


ジョー「こいつは今から数百年前の戦争中に誕生した銃で、長い間旧国家の軍隊正式採用ライフルとして使用されてきたカービン銃だ!埃や泥詰まりに少々弱いが、性能は文句なしだぜ!」


そう言うと彼はマガジンを抜いてチャージハンドルをガシャガシャ動かし作動を確認した。


機関部が凝縮されているので構えた姿がコンパクトでバレルを変更すればかなりコンパクトになりそうだ。


ジョー「作動方式はガス圧を利用するタイプで、弾薬も互換性が広いから弾の調達も比較的楽だぞ。」


G「そうか、有難う ではそれを貰う事にするよ。」


ジョー「正直よそ者に売るのは嫌なんだが、ルーの連れてきたお客じゃあ仕方が無い! くれぐれもこの店で買った事を他言するなよ!」


G「ああ・・絶対に他言はしない。」


ルー「これで一安心ね、 ジョー・・・有難う。」


ジョー「そうかそうか!、おいストライダー!俺の銃を大切にしろよ!こいつは餞別だ!受け取れ!」

そう言うと彼は予備のマガジン6本を俺に差し出した。


ジョー「弾はフル装填してある・・・使う機会が無ければ返せよ。」


G「有難い・・・すまないジョー、これは大事に使わせてもらう。」


ジョー「ふっ!気にするな、じゃあな! おいルー、また遊びにこいよ!」


ルー「ええまた来るわね・・・・じゃあまた!」


挨拶をして俺達はジョーの店を後にした。
店の外に出てから俺はジョーについてルーに話しかけてみた。


G「ルー、ジョーはいつもあんな性格なのか?」


ルー「他人が来ると何時もはもっと機嫌が悪いのよ・・門前払いの時も有るみたいだし、今日は良いほうね・・・サービスなんて常連でも滅多にしてもらえないのよ。」


あれで機嫌が良い方なのか・・・まあ、変わり者と呼ばれているからそんなものか。


G「そうか・・・所で救助隊からの連絡はあったか?今どの辺りにいるんだ?俺も現地へ向かいたいのだが。」


ルー「まだ連絡は無いわね・・・彼らが救出者をシティーへ連れてくるまで待機しておいた方がいいわよ。」

ジョー「そうか、あいつらが無事だといいのだが・・・・」


仲間のことを気に掛けつつ俺達は救助隊の連絡を待つ事にした。



・・・・TO BE CONTINUED