先日の台風、関西地方での甚大な被害を映像で目の当たりにしまして、天災の恐ろしさを改めて思い知った矢先の、昨日、今度は北海道で震度7の大地震のニュース、予想も出来ない程の強い揺れに恐怖心を覚えられた事と思います
私も前職で北海道には年に数回訪れていたので、取引先の方々等、知人の安否が心配でなりません、

被害に遭われた皆様へお見舞い申し上げますと共に、一日も早い復興をお祈り致します

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『宗方姉妹』(むねかたきょうだい)


【小津 安二郎】監督としては、
新東宝で初めて撮られた作品、、
オリジナル脚本でなく、原作モノを取り扱う等、、少し風変わりな作品でした。。

【川島 雄三】監督の『風船』の原作者でもある【大佛 次郎】氏の原作。

◇ 1950年作品(新東宝)
監督 : 小津安二郎
原作 : 大佛 次郎
音楽 : 斎籐 一郎
出演 : 田中 絹代、高峰 秀子、上原 謙、山村 聡、高杉 早苗、笠 智衆、堀 雄二、千石 規子



〈簡単なあらすじ〉

京都に滞在中の宗方 忠親(笠 智衆)は、二人娘の姉・節子(田中 絹代)と妹・満里子(高峰 秀子)の三人家族だが、、友人の医師から、父が余命幾ばくもないと言う事を知らされた節子はショックを受ける。。


ある日、パリから帰国していた田代(上原 謙)が、宗方の元を訪れた。
田代はその昔、節子と相思相愛の関係にあったが、、渡仏をきっかけに二人の関係は自然消滅してしまい、間もなく節子は三村 亮助(山村 聡)と結婚したのだった。


妹の満里子は自由奔放なお転婆娘で、この田代を翻弄して求婚までするが、軽くあしらわれてしまう。田代の一途な節子への思いは、今も変わらずであったのだ。。

一方、失業中の三村は、仕事が見つからない苛立ちと節子と田代の関係を疑い、酒を煽る荒んだ日々を送るようになっていた。


そして、離婚話を持ち出した三村だが、
それに対する節子の態度に怒りが爆発し、
三村は節子を何度も殴ってしまった。


三村の為に、妻として支えてきた節子は、遂に離婚を決意して、田代の元へ行くが………

…………………………(★ネタバレしますm(__)m)


全く性格が正反対な姉・節子と妹・満里子、
考え方の違いから、いつも衝突するが、、
それでもお互いを思い、強い絆により支え合っている。


京都でお寺観光に来た姉妹、、薬師寺での会話とそこから移動する二人を遠巻きに写すシーン、二人の性格が良く表れています、、行先にまっしぐらに歩く姉・節子と、ブラブラと遊びながら遠回りして歩く妹・満里子の描写に唸りました!
……………………

節子が経営するナイトバーで、、
バーテンの前島と満里子が、先日、節子の夫・三村が夜遅く青い顔して店に来たと言う話から、、墓場が写る場面への転換。。?何やら不穏で不気味な違和感を覚えるシーン、、


そして、ここで初めて三村が登場しますが、、何故か?眼帯をしています。(その説明も劇中ありません。。) 

とても気になったので、、調べてみると夢辞典なるもので、、こんなの発見しました⬇

片目が見えない夢
「近親者の身に不幸が起こる暗示。考えや行動がアンバランスになっている。 刹那的な生き方への警告。」
※文面は原文より抜粋させていただきました。

小津監督がこれを意図してアイテムとして眼帯を使って暗示したとは、断定は出来ませんが、なんか意味深ですねm(__)m

そう考えると、三村が可愛がる猫にも、、
何か暗示があるのでは?と観てしまいますね。。

あの『小早川家の秋』ほど、直接的ではありませんが、時たま出てくる「死」を連想させる、不気味な演出ですね。。

そしてこれが、後々の三村の運命の暗示になります。


場面変わって☝

満里子は節子から「新しいって事は!古くならない事」と、新しいモノばかり取り入れる優柔不断な性格を指摘され、、思い悩む満里子、、父に相談すると、、
「お前の好きにやればいい」と言いながらも「何でも人と同じ事をすれば良いわけじゃない」「自分を大事にするんだよ」と忠告を入れるあたりは流石、年の功👍

その後、庭にホトトギスが来て「ホーホケキョ!」のシーンはとてもほのぼのとするシーンでした。。

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それから、またまた一・二悶着は割愛してm(__)m

クライマックスへ………

三村が離婚を切り出し、、
節子の頬を何度も平手打ちするシーンは、、
恐ろしく緊迫した。。堪えながらも激しい痛みに声が漏れ出てしまう程の。。あまりのリアリティさには、驚いてしまった。。



その後、
離婚の決意をした節子は田代の元へ行き、約束を交わした所に、急に三村が訪れ、またまた緊迫感が漂う。。ドキドキしてホント心臓に悪い(・・;)

しかし、三村は、嘘か誠か?仕事が見つかったから、祝杯を挙げたいという。。
勿論、節子に対する未練タラタラな訪問だったのだろう。。

その後も、三村は梯子酒で呑み歩き、、
遅くに家に着くが、既に酩酊状態で部屋に帰ると、、そのまま崩れ落ちるように倒れた。。

そして帰らぬ人に…………


三村が亡くなり、これで節子は遠慮なく田代の元へ行ける、、と思いきや?

田代との再婚を断る節子、、???

私には三村の暗い影が付きまとう、、
このまま、一緒になっても田代にもその影を背負わせてしまうだけと………

きっと、節子は、結婚してからもずっと田代の事を思い続けていたのだろう……
三村を愛して居なかった訳ではなく、、そのジレンマに苛まれる日々を送って居たのかも知れない。。
三村よりも田代へ思いを寄せていた事への後ろめたさから懺悔の気持ちがあったのではないかとも思えます。。


しかし、
田代と別れ満里子の元へ行った節子は、
切なさよりも、清々しささえ感じるスッキリした表情だった。

皮肉なことに、、
本作で一番、節子が輝いて見えたシーンだったが……

結局は、元の鞘に収まるような結末、、、
節子の台詞「新しいとは、古くならないこと」
然り、、冒険は禁物!安泰が一番!なのか?

節子は、やはり「新しい」とは言い難い、古い考え方を通して、一人で生きる事を決断したのだった。

ひとヒネリ欲しかった所で、、
そっち側にヒネッてしまったか(苦笑)

★★★

本作を、                      
満里子の「天真爛漫娘のラブコメディー」
と見るか?
はたまた、
節子の「耐え忍ぶ女の悲恋の物語」と見るか?

は、あなた次第☝(笑)

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⬆節子役の【田中 絹代】さん、、旦那の不甲斐なさにも耐え忍ぶ良妻だが、、田代への思いも捨てきれず、、混乱するも平静を装おうとする所が仇となる。。


⬆満里子役の【高峰 秀子】さん、、お転婆な演劇娘(?)直情型で元気溌剌!舌を出すクセがスゴかわいい!
バーテンダー前島に、酔っ払って説教する満里子「新しいって事は、いいか!いつまでたっても古くならないって事なんだよ!」なんて、お姉さんの受け売りもカワイイですね!


⬆田代役の【上原 謙】さん、、どうも煮え切らない、、NOと言えない日本人的でモッタイナイ。。最後は頑張っているだけに残念でした。。(悲笑)


⬆三村役の【山村 聡】さん、、戦後昭和の暗い影そのものと言う迫真の演技、、こんなダメ男にしてしまったのは、妻の節子にも責任が、?
善人役も悪人役も、ハイクォリティーにこなす名優です👍


⬆宗方 忠親役の【笠 智衆】さん、、
誰にでもフラットに優しく接する父は、安定感抜群でした!自分の死期が分かっていながら、穏やかに佇む。。

最後はオイテケボリになっていたのが、可愛そうでしたねm(__)m(笑)

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