『妻は告白する』
大学助教授とその妻、
冷めきった夫婦生活、
妻の理想の男が現れた時、
夫への憎悪が膨張していく。
登山中の不慮の事故、
極限のジレンマに陥る妻に殺意はあったのか?
あるあるなラブストーリー…‥です。。
「増村&若尾」の黄金タッグに唸りました❗
◇ 1961年作品(大映)
監督 : 増村 保造
原作 : 円山 雅也
脚本 : 井出 雅人
撮影 : 小林 節雄
音楽 : 真鍋 理一郎
出演 : 若尾 文子、川口 浩、馬渊 晴子、小沢
栄太郎、根上 淳、高松 英郎、村田 扶実子
〈簡単なあらすじ〉
東京地検、、
滝川彩子(若尾文子)が、杉山弁護士(根上 淳)と共に到着した。。詰め寄る新聞・雑誌社の記者達に気圧され動揺を隠せない彩子。。
第二十二号法廷にて、
北穂高滝谷での大学助教授・滝川亮吉(小沢 栄太郎)殺人事件の第一回口頭弁論、現場に同行し登山していた被告人である妻・彩子と重要参考人・幸田(川口 浩)が証言台に立った。
彩子の証言、
先頭で登っていた滝川が足を滑らせ転落するが、ザイルで結ばれていた真ん中の彩子も引っ張られ宙吊りとなり最後方の幸田が岩場で宙吊りになった二人を、繋がったザイルのみで辛うじて支えている形となるが、、
近くの岩壁に乗り移ろうと暴れる滝川のせいで、引っ張られる幸田が岩に締め付けられ血だらけになりながらも耐えているのを見兼ねた彩子は、
已む無く三人が繋がれたザイルを、ナイフで切り離し滝川のみが転落して死亡、、彩子は幸田に引き上げられ、二人は何とか助かったと証言。弁護側も「緊急避難」の判断と主張した。
しかし、
検察側の調査により、彩子と幸田は不倫の関係にあり、死亡した滝川には500万円の保険金が掛けられていた事が判明し、計画的な犯行と疑う葛西検事(高松 英郎)は執拗に彩子を責め有罪を主張する。。
/ / / / / / / / / /
幸田は、薬品会社の総務課に所属するが、薬学専門の滝川助教授から医薬品のアドバイスを貰う等、懇意にしており、度々滝川家を訪れる様になり彩子と知り合った。
身寄りもなく極貧生活を強いられていた彩子は学生時代に知り合った親子ほども歳の離れた滝川に、足元を見られ無理矢理結婚を迫られる。彩子は安定した生活を求め仕方なく滝川と結婚するが、、
五年が経ち、趣味の山登りばかりに没頭していて冷徹な滝川に、女中の様に扱われ辟易していた彩子は、若く、優しく慰めてくれる幸田に気持ちが傾いて行った。
裁判が続く中、彩子と幸田は、より深く愛し合う様になり、理恵との婚約も破棄にしてしまった。
彩子に、滝川への殺意はあったのか?
そして、判決が下った。。。
…………………………(★ネタバレしますm(__)m)
冷めた生活に終止符を打とうと、彩子は離婚を懇願するが、、滝川は「一生飼い殺しにしてやる」と全く受け入れる気がない、、
幸田は滝川に、危ない登山を続ける事を苦慮して彩子の為、100万円程の保険の加入を勧めるが、、滝川は勧められた額よりも遥かに高い500万円の死亡保険に加入していた。。
毎月給料の半分程の支払いとなり生活に困窮する事は目に見えていたが、、自分の生活は変えずに彩子にやりくりしろと困らせた。
二人の関係に気付いていた滝川の当て付けだった。。
滝川への殺意が沸き上がっても無理もない状況に陥る彩子。。。
そして、タイミングよく、あの登山中の不慮の事故………
事前に多額の保険金が掛けられていた事で、、
世論では完全にクロと見られていたが。。
本作は裁判シーンも多く、一見法廷劇の様にも見えますが、裁判自体は凡庸で、、ストーリーの経緯の説明に終始する。
裁判は単純、容疑者は一人で、
殺意か緊急避難か?のみが焦点となる。。
答えは二つに一つだが、、
そのまま宙吊りで居た場合、30分後には重みによりザイルに締め付けられ窒息死して、三人共助からなかっただろうと言う、専門家の見解もあり、最初から答えは一つしかありえなかった。。
勿論、判決は「無罪」…‥
「緊急避難の適例」となった。。
これで、彩子は解放され、思い焦がれた薔薇色の人生の始まりかと思われたが、、
幸田の実直な正義感が邪魔をする。。
彩子は直ぐ様、夢の高級アパートへ引っ越すが、保険金で用立てたこのアパートが幸田は気に食わない。。
保険金には手を付けず、滝川の葬儀費用以外は大学へ寄付するべきだと言い張る。。
善意と世間体…‥
幸田から滝川への殺意の有無について、改めて問い詰められた彩子は、遂に「あなただけでも助けたかった」と前置きしながら、憎い滝川の命綱を切ったと殺意を認めてしまった。。
幸田への愛情から選択した「緊急避難」であったが、、幸田は「助けてくれなければ良かった」と何処まで実直なナイスガイなんだ!
なんて微塵も思えない偽善者ぶりに、観ていてこちらもウンザリした。。(`Δ´)
幸田は「人を殺す人間に人を愛する事が出来るのであろうか?」と捨て台詞を吐いて帰って行ったが、彩子が助けなければ、、今頃はそんな口もきけていないのにね……
人生観の違いを思い知らされる。。
婚約中の身でありながら、優柔不断に彩子に歩み寄り、、今更仕方の無い事であろう殺意の有無について、しつこく聞き出して、この厄介な女と別れる時の切り札にでもしたかったのか…‥?やはりプレイボーイの思考なのか?彼の心理はよく解りませんでしたm(__)m
その後、
大阪へ転勤して人生をやり直そうと決める幸田…‥
しかし、、
諦めきれない女の執念か?
彩子は、人目も憚らず雨に晒され乱れ髪のまま、幸田の会社まで訪れて来た。。
音楽と相まって、ホントにゾクッとするシーン…
半月に一度、月に一度、一年に一度、三年に一度、、合ってくれるだけでいいと哀願する彩子…‥
それでも結局相手にされなかった彩子は、会社内で青酸カリによる自害。。
もう傍に、止めてくれる優しい男の姿はなかった。
その頃、
入れ違いにやって来た理恵に、これまでの非礼を侘びる幸田だが…‥
いつのまにか理恵は、彩子の幸田に対する一途な愛情に、いつしか憧憬の念を抱いていた。。
そこに、彩子が死亡したとの知らせ。。
遺留品には、幸田宛の手紙と500万円の小切手があった……「嫌かもしれませんが ~ あなたと理恵さんとの幸せのために使って下さい。。」
「あなたは誰も愛さなかった」
「奥さん(彩子)を殺したのはあなたよ、奥さんが人殺しならあなたも人殺しよ」
最後に、この物語で唯一の良識人(?)理恵により諭される幸田、、
流石に幸田にとっても厳し過ぎる言葉だが……
彼女の言っている事が正しかった所で幕引き。。
愛を貫くって、、死をも厭わないのか…‥
あなたが幸田だったらどうする?
難しい質問ですが、、
相手が若尾さんなら、薔薇色の人生を選ぶでしょうね。。m(__)m
★★★
………………………………
大映三部作でコンビを組まれた、
川島雄三監督は【若尾 文子】さんを、斜めに静観し、手の届かない妖艶美をクールに表現している様に思いますが、、
増村保造監督は【若尾 文子】さんを、真正面に直視し、生身の女をウェットに表現していると思います。
勿論、どちらも素晴らしく大好きですが、、
心を深くえぐられるのは、断然、増村監督が撮る【若尾 文子】さんであることは間違いありません。。
好きなシーン☝
ある日、彩子の家の棚を作ってあげた幸田、、お礼にお酒を振る舞おうとした所、、幸田から奥さんは?と言われた時の彩子のハッとした表情は素晴らしく美しく、儚い。。
それまでずっと滝川から無下に扱われていた為、幸田のその優しさに、人生で初めて受けたかの様に感動している、、この薄幸の女性を幸せにしてあげたいと思うのは男として本望だと思う。。「あなたって優しい方ね、お嫁さんになる人、幸せだわ…‥」なんて台詞もいい!
(このシーンは伏線となり、後半に同一シチュエーションで幸田の心変わりを象徴するシーンとして使われます。実に上手い描写です!)
男の弱点を知り尽くした増村監督と若尾さんのタッグプレイにまたまた翻弄されてしまいました。( ;∀;)
その【若尾 文子】さん、、
吸盤の様な、、好きな男にしっとりと吸い付き離そうとしないが、、男が乾いてしまえば落ちて捨てられる女、、『清作の妻』とも似た、女の儚さを完璧に演じられています。。
そして、濡れた乱れ髪からの、ラストの、
若尾さんのシルエットの美しさに尽きました。
御自身でも女優としての分岐点となる作品と仰っている通り、本作は、若尾さんの独壇場に近い映画でした!
【馬淵 晴子】さん、、幸田のフィアンセで、お堅いお嬢様かと思いきや、大変重要な役割となる方!、、ラストの一刀両断には恐れ入りましたm(__)m
【川口 浩】さん、、とにかく正義感溢れるハンサムボーイ!まさかの結末に、ようやく自分が蒔いた種と言う事を自覚する。。
【小沢 栄太郎】さん、、恐ろしく毒々しい悪役ならお任せです。⬆この表情、役柄は割りと平凡なのに、尋常ではないド悪人でした…‥
【村田 扶実子】さん、、
とにかく、、ムカつく家政婦のおばはん、、
ホントに上手い!(笑)
個人的余談m(__)m
実は明日から、二回目の心臓カテーテル・冠動脈ステント留置術の為、入院します…‥
前回程、体は衰弱していないので問題無くチャチャっと終わるとは思いますが、、
ビビりなので少し緊張(苦笑)
余裕で入院リポートでも出来ればいいんですが………
普通に終われば明後日には帰って来れますので、早めに復帰出来るようガンバリます❗




















![妻は告白する [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51egM7Y-IAL._SL160_.jpg)
