先日、池袋の「新文芸坐」で上映していた

特集「サヨナラだけが人生さ 川島雄三の世界」

に、行って参りました!!

観賞した二作品は共に、名俳優の豪華!オンパレードで、各々が登場する度に「おぉ~」と感嘆のタメ息が漏れてしまい、、それだけでも満足感に浸れました(幸)

それでは、早速☝
川島調スラップスティックムービーから!

『グラマ島の誘惑』

◆1959年作品(東宝・カラー)
監督・脚本 : 川島 雄三
原作 : 飯沢 
撮影 : 岡崎 宏三
美術 : 小島 甚司
音楽 : 黛 敏郎
録音 : 酒井 栄三
出演 : 森繁 久彌、フランキー堺、桂 小金治、宮城まり子、八千草 薫、岸田 今日子、淡路恵子、轟 夕起子、浪花 千栄子、春川 ますみ、桜 京美、佐京 路子、久慈 あさみ、市原 悦子、加藤 武、三橋 達也

★10月24日にご逝去されました八千草 薫さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます


《簡単なあらすじ》

第二次世界大戦末期、

帰航中の日本軍の乗船が敵軍に撃破され、
南海の孤島・グラマ島に漂着してしまった。。


このグラマ島に流れ着いた乗船者は、
皇族軍人・香椎宮為久(森繁久彌)、弟の為永(フランキー堺)とそれに仕える軍人・兵藤(桂小金治)の男性三名と、戦争未亡人・とみ子(八千草薫)、報道班員の記者・よし子(淡路恵子)と画家・すみ子(岸田今日子)、吉原の特飲店から派遣された慰安婦を率いるしげ(浪花千栄子)とその慰安婦・たつ(轟夕起子)みよ(桜京美)もよ(佐京路子)まさ(春川ますみ)あい(宮城まり子)の九名の女性だった。

そして、日本語を話せる奇妙な原住民・ウルメル(三橋達也)と出会うが、突然の来訪者に対して彼は非協力的だった……

。。。。

当面の間、共同生活をする事になったが……

軍人は威張りくさり、
当然の如く君主制が敷かれ、
皇族優先の主従関係が出来上がると、、

案の定。。

兵藤は、慰安婦・たつとデキてしまい、昼間っから、イチャつき、自家製酒を煽る毎日、、

為永は、戦争未亡人・とみ子に一目惚れ、、
何かと、つきまとう様になる。。

そして、為久は、沖縄出身で知的障害の慰安婦・あいとイイ仲になり、妊娠→出産までさせてしまう。。

自然の摂理か、、

男どもは、ハーレム状態で自堕落な生活を満喫していた。。

・○◆▽❌◎◇🔺・

劣勢の日本軍、

敗戦濃厚な状況下

果たして彼等は、無事日本に帰還出来るのか?

はたまた、
帰還しない方が幸せか……

………(★ネタバラシマス\(__))………


宮様・為久の贅沢志向が仇となり、
島に残っていた家畜の豚は、早々に食べきってしまい、食糧難となるが……

報道班員・すみ子達が、墜落した米軍のB29戦闘機を見付け、その中に残っていた沢山の食糧や物資を、慰安婦グループにも分け与えると、女性陣の結束が固まり、軍人達への不満からウルメルと共謀(?)して謀反を起こし、遂には軍人達を捕虜とするが、、

すぐに軍人達は脱走…(ユルッ)、
墜落したB29を発見すると、そこから拳銃を見付け、逆に女性陣を脅そうと計画するが、、ウルメルを威嚇して追いかけ回していた兵藤は、自ら心臓発作を起こし亡くなってしまった。

これまで、権力をかざして来た兵藤が、亡くなった事で、皇族の二人はアッサリ降伏、、

グラマ島は「民主主義国家」として変貌を遂げた☝

日本への帰還を果たそうと、全員が一致協力し、木を伐採しカヌーを作りあげるが、その完成を祝う日に、為久あいは二人だけでカヌーに乗り込み出航してしまった。

またまた勝手な事するが、、
全く悪気のない宮様とあい。。

結局取り残されたモノは、帰還を諦め、粛々と島での生活を送って行ったが、

その後、遂に米軍が彼等を救出に来た。

しかし、
時は、既に戦後六年が経っていた。。

やっと日本へ帰れる事になったが、、
ウルメル(実は日本人だった)ととみ子は、このグラマ島に残り二人で暮らすと帰還を拒んだ。

仕方なく二人を残し、、日本に帰還すると、、
そこには戦前とは違う日本の姿があった。

飛躍的に経済成長して行く日本は、活気を取り戻していたが、、同時に競争が激化する弱肉強食の世界となっていた。


先に帰還していた為久は、トルコ風呂(?)を経営(★従業員が市原悦子さん(笑))していたり、為永は雑誌の出版社から、すき焼きの割り下「吉原スープ」を発案し実業家となった。すみ子は島での経験を小説化した『グラマ島の悲劇』が大ベストセラーとなり、、たつはスナック(カフェーは既に廃止か?)を開業しまさ達を雇っていた。其々に、食いぶちを見付けて生活をしていたが、、

グラマ島でアメリカによる水爆実験が行われるとのニュースを聞き付けたすみ子は、島に残ったウルメルととみ子を心配して、為永等、一緒に島で生活した仲間達と反対運動を起こそうとするが……


トキスデニオソシ…………
爆弾は投下されてしまった。。

◎○▲△◎○▲△◎○▲△◎○▲△


まず、、
本作は、1945~51年に掛けて太平洋マリアナ諸島に位置する「アナタハン島」で、発生した大量殺人事件「アナタハン事件」を、モチーフにしたコメディで、飯沢匡氏の戯曲『ヤシの女』を映画化した作品との事。

※興味のある方は、ウィキペディアで調べてみて下さいm(__)m

とにかく、ドタバタが過ぎて、とっちらかりまくりの風刺喜劇なんですが、、キャストがいちいち面白くてアッケラカンとした女性ととぼけた皇族軍人との掛け合いが楽しく、特に前半の皮肉たっぷりな演出は昭和的で面白かった!

現代だったら、、上映出来るかも心配になる、、反戦・天皇批判・沖縄問題・ビキニ島の水爆実験等を鋭く風刺しているが、、実際に戦争体験をされたと言う岡本喜八監督の様な現実的な生々しさの中にフィクションを挟む様な手法は一切無く、、ジョーク好きインテリの机上論的なブラックユーモアで、戦争を具現化している様な、ひねくれた演出が満載だった。

中でも、遠くに見える本土らしき所から、大きなキノコ雲が湧き上がるのが見えると…女達がそれを、男性器に見立てジョークを言い合う、あまりに下劣でケシカラン!とも思ったが、何が起きているのかも全く分からない人からみたら所詮余所事で、まさかそれが日本を襲った原爆だとは思ってもいないのだから仕方ないですね、、

しかし、
それは、伏線に過ぎず……

唐突に場面を遮る様に、ラストに現れる水爆実験のオレンジ色に光る空と不気味で恐ろしいキノコ雲は、観客に考える暇も与えぬまま現実に引き戻され「終」。。

一瞬にして寒々しくなり、恐怖感を覚えた。。

荒唐無稽な楽しい夢を見ていたら、突然場面転換して、恐ろしい結末となり、ハッとして目が覚める、みたいな感覚?と言えば分かりやすいかも知れません。

全てに肯定的な川島ファンには、この作品も勿論、堪らないだろうが、、カンにさわる方もいると思われ(笑)賛否がかなり割れる作品だと思います。。

因みに私は前者の肯定派に近いものの(笑)、
後半のまとめ方が雑に感じ、惜しいと思った側(笑)です。

川島監督自身も、本作を失敗作であると認めていますが、
逆に、この軽薄さが川島調であり、批判もサラリとギャグで受け流す様な、お洒落感?さえ感じました。

そんな「シャシン」が、川島雄三なんですよね👍きっと。。

川島監督の作品は、当時は割りと不評だった作品が多かったらしいですが、、
次から次へと映画が撮り続けられていたプログラムピクチャー全盛時代には、一見で、オモシロイ!ツマラナイ!と、白黒付けるしか無く(苦)、川島監督の様に、決して真正面から物事を捉えない監督の作品は理解が難しかったのではないか?とも想像が付きます。。。

なので『幕末太陽傳』の様な痛快時代喜劇が、代表作と言われる事も当然ですよね。

いつも思うのは、早逝してしまった川島監督が、もしも、長生きされていて、60年代後半~70年代以降にも作品を残していたとしたら?

と、考えるだけで、、ワクワクと共に無念さを感じてしまいます。

天の邪鬼のワタクシは、、
この奇才の作品が、やはり好きです✋

★★★
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【森繁 久彌】さん、この方で無ければ出せないスケベ親父感が抜群です👍女性陣を集め点呼する際に一人一人に近づき、何気無く(本人的には)ボディタッチしていく所等は、もはや名人芸でした!

【フランキー堺】さんは、「居残り佐平次」とは真逆のマジメでオタク?な性格で兄を献身的にフォローする役柄ですが、民主主義も快く受け入れるフレキシブルな皇族を好演しています。

【八千草 薫】さん、遺骨を抱えた戦争未亡人のモンペスタイルが痛々しげで、唯一のシリアス担当だが、、キュートな美貌で皇族や原住民?までをメロメロにしてしまう所は流石☝

【岸田 今日子】さん、ボーイッシュで軍人達に歯向かう逞しい女性を演じているが、不思議な魔女的な魅力(笑)を感じる風貌で宮様もお気に入りでした☝。。後半のあのカツラと衣裳は何だったのか?口ポカンなりました(笑)

【淡路 恵子】さん、教養とお色気をひけらかし(笑)軍人を誘惑しようとするメガネ女史?コメディの淡路さんも最高ですね!、毎度の事ですがプロポーションがまた素晴らしい👍

【浪花千栄子】さんは、この手の役柄では群を抜く安定感でしたが、帰還後、パンチパーマをあててたのはショックでした。。(驚)

【轟夕起子】さんは、後年はコミカルな役柄が増えていて『誘惑』での保険外交員はツボでしたが、『洲崎パラダイス~』の健気な女系は封印して、やりたい放題弾けてましたね!

【春川 ますみ】さんは、まだダンサーとして活躍されていた頃で、本作が役者デビュー作との事。この先の大活躍が想像に難くない程、スクリーンいっぱいに個性を発揮されています!

最後に【三橋 達也】さん……
最初、全く分かりませんでしたm(__)mが、、劇場内が少しザワツキ気が付きました☝「輝かしき経歴に汚点を残してしまった。。」やら「消し去りたい過去……」等と批評されてますが、私は、そんな三橋さんが好きで、大爆笑でした!

思いの外、長くなってしまったので、

もう一本は、また今度  (^o^)/



ヨロシケレバ ⬇m(__)m