『パピヨン』


五月も末日になり、そろそろ新元号ネタも厳しいところですが、、懲りずに、、

私が、平成最後に観た映画は、午前十時の映画祭の『JAWS』でした。

そして、
令和になり最初に観た映画は『PAPILLON』

結局は、映画や音楽に関しては、相変わらず、昭和に依存しています…(笑)

やはり、未だに強いインパクトが残り、影響を受けたモノは少年時代から観てきた・聴いてきたモノが多く、きっとこれは生涯変える事は出来ないのだろうと思います。

本作は、遂に☝というか、、
何故に?というのが本音ですが……
リメイク版が6月に公開されるとの事で、
復習も兼ねて、再々々見しました!

小学生の頃、下町葛飾にあった京成名画座で鑑賞した時、全ての内容は把握出来ないまでも、パピヨン = マックィーンの生命力の強さと生きざまに憧れを抱きました!

原作者【アンリ・シャリエール】氏本人の実話に基づいた作品です。(要所要所、イジラレていますが。。(笑))



[PAPILLON](アメリカ・フランス)
◇ 1973年作品(東和)
監督 : フランクリン・J・シャフナー
脚本 : ダルトン・トランボ、ロレンッオ・センブル・ジュニア
原作 : アンリ・シャリエール
撮影 : フレッド・J・キーネカンプ
音楽 : ジェリー・ゴールドスミス
出演 : スティーブ・マックィーン、ダスティン・ホフマン、ロバート・デマン、ウッドロー・パーフリー、ドン・ゴードン、アンソニー・ザーブ、ヴィクター・ジョリー


《簡単なあらすじ》


南米仏領ギニア、
大勢の囚人達が、フランスの刑務所からこの犯罪者植民地へ移送されて来た。


ここへ送られた囚人は、終身刑になる者が殆どで奴隷の様に扱われ過酷な労働と厳し過ぎる罰則に縛られ、耐え切れずに自死する者も少なくない。。勿論、脱獄成功者は皆無に等しく、捕まれば、独房で精神までも蝕まれる様な苦しい罰を強いられる。正に生き地獄だ。


実際には金庫破りしか冒していなかったが、殺人の濡れ衣まで着せられ終身重労働を宣告されたアンリ・シャリエール(スティーブ・マックィーン)は、胸に蝶の刺青がある事から"パピヨン"と呼ばれていた。


ルイ・ドガ(ダスティン・ホフマン)は、偽札作りのプロで、フランス中を混乱させた債券偽造で収監された。


多くの囚人が、ドガの金目当てに彼の命を狙っている事を知ったパピヨンは、彼のボディガードをかって出た。勿論、パピヨン自身も脱獄に必要な資金を得る為に……


その後、
監視官らの買収に失敗したドガは、パピヨンと共に、ジャングルにある強制労働キャンプへ送られてしまった。

劣悪な環境と過酷な労働で次々と死んでいく囚人達。

ある日、パピヨンは罰を受け殴られるドガを助ける為に看守に熱湯を浴びせると、そのまま逃亡を図ったが、、直ぐに捕まり二年間サン・ジョセフ島の重禁固監獄へ送られてしまった。



独房での生活は厳しいものであったが、パピヨンへ、看守を買収したドガから一日一個ヤシの実が送られ最低限の栄養は取っていた、、


しかし、それも直ぐにバレてしまい、より過酷な罰を受ける、、それでも、誰から貰ったかは黙秘を続けたパピヨン。


半年間食事を半分にされ、光も閉ざされ、ゴキブリやムカデ等の害虫を食べ、精神的にも追い込まれて行くが、決して折れる事無く最後まで密告はしなかった。


パピヨンは餓死寸前となったが、なんとか任期を終えてドガの居るサン・ローランへ戻って来た。



静養中のパピヨンは、病棟の看守をする男色の模範囚に気に入られているゲイのマチュレット(ロバート・デマン)を利用して、仲間のグルジオ(ウッドロー・パーフリー)と脱獄を計画する。。


ドガも一緒に連れて行こうと説得するが、、もう少しで釈放されるかも知れないと思い留まるドガ、、しかしパピヨンは、金ズルの便利屋ドガを監視官達が手放す訳はないと言う。。


そして、
警備の甘くなる、音楽会の夜に脱獄を決行する事が決まった。


……………(★コノ先、ネタバレしますm(__)m)



あまりにも有名な作品なので、、
これ以上説明不要かも知れませんが、、
おせっかいをお許し下さい🙏 (笑)

結局、脱獄出来たのは、パピヨン、マチュレット、そして最後の最後に脱獄に加担してしまい逃げざるを得なくなったドガの三人。。

その後の逃走劇は、何か夢の様な、、
現実離れした奇想天外な光景を目の当たりにする、、何度、鑑賞しても不思議で、お伽噺でも見ている様な感覚。。


➡ジャングルに居た顔に異様な刺青のある元兵士らしき男、、実はイイ人(笑)で、ポンコツ船をつかまされたパピヨン達を助ける。


➡刺青の男に紹介されて、ハンセン病者が住む孤島に行き、パピヨンが交渉の末、ボートを調達する。。


➡ 脱獄時に怪我を負い、腐りだしたドガの足を荒療治したり、、かなりタフな船旅となる。。


➡やっとの事でコロンビアに着くと、直ぐに地元警察に尋問されると、パピヨンは咄嗟にその場から逃げるが、ドガとマチュレットはアッサリ捕まってしまった……


➡ 絶体絶命のピンチで、パピヨンは断崖から川に身を投げて何とか逃げ延びる。


➡ 目覚めると、行き着いた場所は原住民の集落。そこで美しい娘・ゾライマ(ラトナ・アッサン)と出会い恋に落ちる。。



➡ ゾライマに献身的に看護され体調も回復して行くパピヨン。
ある日、集落の酋長からパピヨンと同じ刺青を胸に彫る様に頼まれる。。


➡刺青彫りに長時間掛かり疲れきったパピヨンは深い眠りに着くと、、
その翌日、その集落がもぬけの殻…誰一人居なくなってしまった。。夢か幻か?


➡ また逃亡を余儀無くされたパピヨンは、警察の検問に直面するが、その場に居合わせた修道女の乗る馬車に乗り、検問をカワして修道院に逃げ込んだ…
原住民の置き土産の真珠を寄付して、一旦は匿って貰うのだが、結局、院長に通報され敢えなく捕まってしまった……

長~い夢の様な、シークエンス…

誰が味方で誰が敵か?

まっとうな人こそ、、パピヨンからすれば敵になる。それも至極当然、パピヨンは傍から見れば脱獄者であり、危険人物なのだから。

しかし、人は見かけによらず、同じ穴の狢か?
助けてくれるのは、やはり同じ犯罪者や殺人をも厭わない原住民等々……

そして、善人ヅラした人程、正義感を振りかざすフリをして実際は金に卑しく狡猾だった……

全編を通して怒りと憎しみに満ちたイミシンな描写にこちらまで一喜一憂してしまった。。


それから……
サン・ジョセフ島で再度、五年間の独房生活を終え、白髪だらけの老人と化したパピヨンが、搬送された場所は……


悪魔島。。

手錠も足枷も必要の無い孤島。

この島からの脱獄は死を意味する。。


そこに、居たのは懐かしのドガ……

しかし、久し振りの再会にも、ドガは歓迎するどころか、迷惑そうに苛立っていた。。

「もう俺を誘わないでくれ…うんざりだ…」

それでも、次第にパピヨンのペースになって行く所が面白く、、二人の長きに渡る、奇妙とも言える友情は途絶えていなかった。


勿論、パピヨンは脱獄を諦めていない!

「自由」を掴むため!

パピヨンとドガの、最後の抱擁と永遠の別れ。


断崖から海に体を投げ出したパピヨンを見送るドガ。。


ラストに男のロマンと哀愁を感じ、ドガの表情に涙が溢れた。。観賞後もその余韻で暫くは震えが止まりませんでした。。

罪人とは言え、こんなにも不条理な世界に抵抗し続けたパピヨン。

人生、死ぬまで諦めちゃいかん!

私も、まだまだ道半ば、、

なんて、今更ながら勇気が沸きました!(笑)

因みに、
この作品は私のオールタイムベスト5に入る作品です!

★★★★☆

◎○●◎○●◎○●◎○●◎○●


【スティーブ・マックィーン】実直で自分の信じた道を限界を越えてまで、ひたすら突き進む男、、このキャストは彼以外に考えられませんでした!
特に独房での病的な容貌への変化や老け具合等、当時40代前半であったとは思えない程の変わり様に役者魂を感じました。
日本で言えば三船敏郎さんか三國連太郎さんか?はたまた、あの老け役の"神"北林 谷栄さんをも彷彿とさせていると思いました(笑)


【ダスティン・ホフマン】頼り無さげな撫で肩に丸眼鏡で軟弱さを強調し、頑健なパビヨンとの対比を効果的に見せていました!かの『真夜中のカーボーイ』然り、この方の役作りの妙、流石です!
債券偽造等の犯罪者であり、収監されてもその犯罪で得た金を巧みに使い優遇される。。そんなサイテーな筈の男だが、、憎めないどころか、愛着さえ沸いてしまいました!

。。。。。。

そして、
かの「赤狩り」により、アメリカ共産党員で映画界の著名人・ハリウッド・テンの一人として、禁固刑となってしまった脚本家【ダルトン・トランボ】氏、釈放後は、作品のイメージダウンが懸念されると偽名を使いながら仕事を続けるが、その後、遂に実名復帰した作品の一つが本作。彼の「不屈」の精神が乗り移ったかの様な見事な物語でした!(本作ではカメオ出演もしています。)

監督の【フランクリン・J・シャフナー】氏は、他にも『猿の惑星』『パットン大戦車軍団』等の名作を残されていますが、第二次世界対戦に従軍した経験からか、本作では容赦の無い描写が数々あり「痛いっ」シーンが盛り沢山で、目を覆いたくなる事もシバシバありました。(初見の方はご注意下さい☝)

また、ハンセン病患者の島の元締めトゥーサンも実在の人物で、1930年代当時の差別と偏見として劇中に描かれています。映画で取り上げられる事は少ない問題ですが、実話エピソードを隠さずカットしなかった事に監督の気概を感じました。

また、調べた所、シャフナー氏は宣教師の父の元、東京に生まれ、16歳まで日本に在住されていたとの事。勝手に親近感(笑)

★尚、昨日はフランクリン・J・シャフナー氏の生誕日でした。


更に☝
素晴らしいのが【ジェリー・ゴールドスミス】氏の音楽!前述の『猿の惑星』や『カプリコン・1』等のSF系から本作や『チャイナタウン』等の流麗なメロディーまで、何でも来いのオールマイティーな作曲家ですが、
特に本作の、欧風的な美しくも悲しげなメインテーマのメロディー🎵は秀逸でした!(アカデミー賞作曲賞にもノミネートされました。)

私事ですが、、行方不明となってしまった、あのLPレコードは何処へ行ってしまったんでしょう……(泣)

………………………………

最後に、
六月のリメイク版が公開になりますが、出来云々がどうであろうと、何よりこの作品をリメイクした関係者の勇気とチャレンジ精神に敬意を表したいと思います🙏

偉そうにスミマセンm(__)m

そして、『ボヘミアン・ラプソディー』でアカデミー主演男優賞を獲得した【ラミ・マレック】が、ドガ役との事ですが、イメージにピッタリハマってますね❗

公開が楽しみです👍