『秋日和』


このタイトルからして、、既に季節外れになってしまいましたが、悪しからずm(__)m

今回は【小津 安二郎】監督のカラー六作品の中の一本☝

チョイワルな中年ズッコケ三人組(笑)の余計なお節介から、亡き旧友の妻と娘の関係がギクシャクしてしまう、、巻き込まれ系(笑)喜劇!

本作はコメディ色がかなり強く、
素直に笑って、ちょっぴりホロリとする作品です!

◇ 1960年作品(松竹)
監督・脚本 : 小津 安二郎
脚本 : 野田 高
原作 : 里見 とん
撮影 : 厚田 雄春
音楽 : 斎藤 高順
出演 : 原 節子、司 葉子、佐分利 信、岡田 茉莉子、佐田 啓二、中村 伸郎、北 竜二、沢村 貞子、三宅 邦子、桑野 みゆき、渡辺 文雄、桜 むつ子、岩下 志麻、十朱 久雄、南 美江、笠 智衆、



〈簡単なあらすじ〉

未亡人の三輪 秋子(原 節子)は、友人が経営する服飾学校の講師として働き、商事会社に勤める娘・アヤ子(司 葉子)と二人、郊外のアパートで慎ましく暮らしていた。


亡夫の七回忌、、
義兄の周吉(笠 智衆)と共に、参列する旧友・間宮(佐分利 信)、田口(中村 伸郎)、平山(北 竜二)らを、もてなし無事に法事を終えた。


この旧友三人は、、
二十四歳になった年頃のアヤ子の為に、縁談をまとめようと躍起になり……‥


間宮は、部下の後藤(佐田 啓二)との縁談を執拗に薦めるが、、アヤ子は、母の事を心配して乗り気にはなれずに断わられてしまった。。


それなら、母・秋子を先に再婚させれば、アヤ子の気持ちも変わるだろうと、、今度は、妻に先立たれ息子と暮らす平山を相手候補として推薦しようと、田口が説得に向かうが、、

秋子は亡夫・三輪への愛情が今も変わらず、ノロケ話に終始して、平山の話も出来ずに退散してしまった。。

一方、
縁談を断られた後藤は、友人でアヤ子と同僚の杉山(渡辺 文雄)を介して再度知り合い、デートを重ねる様になっていった。。

それを知った間宮はアヤ子へ、結婚を決断させようと、母・秋子と平山が再婚すると、決まってもいない事を話してしまい、、アヤ子の気持ちを逆撫でしてしまった。


亡き父との思い出を忘れられずに居たアヤ子は、相談もせずに勝手に父の友人であった平山との縁談を進めているらしい母に対して激しい怒りをぶつけ、家を飛び出し、職場仲間の親友・百合子(岡田 茉莉子)の家に行くが……‥


この母子の未来は…‥
果たしてどうなってしまうのか?


……‥…‥……‥(★この先ネタバレしますm(__)m)

本作は、中年三人組が、トラブルメーカーとなり、ある意味主役と言ってもいい程にでしゃばって来ます……‥(笑)


この三人は、母の秋子が色気があっていいだの…‥娘のアヤ子の方が清純でいいだの…‥スケベ心丸出しの会話ばかりしていて、、旧友の七回忌で集まったのに… これでは三輪も天国で嘆いている事でしょう。。🙏

そして、アヤ子の縁談をまとめる為に秋子にも再婚させようと、勝手に暴走するが、、再婚する気など微塵も無い秋子への作戦は未遂に終わる、、

間宮は、アヤ子が後藤との結婚を決心する様にと、秋子と平山が再婚する!等と、軽い気持ちで嘘をついてしまう…‥全くトンデモナイ事をするオッサンで、、 (/o\)


ここからコメディは一時休止となり……‥
母の再婚話にショックを受けたアヤ子が、母に詰め寄り喧嘩状態になる。。

怒って飛び出したアヤ子は親友の百合子の家に行くが「お母さんの気持ちも考えてあげなくちゃ」と諭しても一向に態度を改めないアヤ子に、百合子は「何さ、赤ん坊みたいに!」と突き放し、結局、百合子とも衝突してしまった。

その後も母と百合子とは口も聞かずに一人ムクレるアヤ子、、もう二十四歳の大人なのに父と母への愛情が強過ぎて、困り者ではありますが、、逆にそんな所も愛らしく感じてしまいます(笑)


あっけらかんとして気っ風のいい娘・百合子は口は悪いが面倒見がとにかく良い姉御肌☝

秋子から平山との再婚話等、一切知らないと聞かされると、今度は仲違いしてしまった三輪母子の仇を取ると、勇躍、三悪人(?)に立ち向かう正義感が素晴らしい👍 とてもいい友達を持ってアヤ子は幸せですね🎵(笑笑)

こうして三悪人を懲らしめはしたが、結局は共謀して、秋子と平山の縁談の仲介役となってしまった百合子……‥(笑)


そして、ようやく疑い晴れて仲直りした二人、
アヤ子と後藤の結婚も決まり母娘で最後の旅行に行くが、その旅先で秋子から、、、


やはり、夫は一人だけで沢山…‥平山との縁談を断り一人で今のアパートで暮らすと言われ、アヤ子が戸惑いながらも母の愛を感じて、思わず泣きじゃくるシーンは、劇中一貫して父母への強い愛情を示してきた事、全てが伏線となる、とても感慨深いシーンとして回収され、、こちらまで二人の気持ちが伝わり涙が込み上げてしまった💧


そして、後藤とアヤ子はめでたく結ばれました☝

披露宴を終え、、一人寂しくアパートに帰り寝床に就こうとする秋子…‥そこへ、また救世主(笑)・百合子が秋子を励ましに登場❗

最後まで、彼女の活躍無くしてこの物語は、ハッピーエンドとはなりませんでした!
心底グッジョブ👍
 
小津監督、最初のカラー作品『彼岸花』(1958)にも通ずるコメディ路線的な作品で、とてもハートフルな親子関係が描かれていますが、本作も小津監督作品だからと肩肘張らずに、、ライトなホームコメディとして存分に楽しめる作品でした!

★★★
…‥…‥…‥…‥


シングルマザー・三輪 秋子役の【原 節子】さんは、、亡き夫に一途で、娘の幸せを一番に願う優しい母として、とても落ち着いて清楚な美しさがありましたが、、その中でアヤ子と二人飲食店で食事中に残りのビールを飲み干すシーンは、一瞬、原さんの素が出ている様で面白かった!個人的に、小津映画の原さんの役柄の中でも、かなり好きでした👍


アヤ子役の【司 葉子】さん「やだわ~おじさま❗」と言う拗ねた時の声がまたカワイイ可憐なお嬢さん!母思いのとてもいい子だが、一人娘特有(?)の意固地な所もまたご愛嬌ですね👍


百合子役の【岡田 茉莉子】さん、、結局は三悪人の為にも一肌脱いでしまう粋な蓮っ葉娘!自宅の寿司屋でチャッカリ奢らせてヒャックリする所が可愛い👍ホントに猪突猛進(笑)颯爽としています!(笑笑)

そして、岡田茉莉子さんに成敗される三悪人⬇⬇⬇

三人寄れば文殊の知恵とはならず…‥


間宮役の【佐分利 信】さん、、いかにも悪だくみしてそうな怪しい目(笑)と、スットボケっぷりが可笑しい三悪人のリーダー(?)、『お茶漬の味』みたいな実直なジェントルマンとは程遠いが、、頑固で見栄っ張りなこちらの方がしっくり来てるかもですね👍m(__)m


田口役の【中村 伸郎】さん、、ズケズケとプライベートな所まで入り込んで行く、斬り込み隊長的な、、軽口おじさん(笑)が、いつにも増してハマってました。。昭和の名「性格俳優」のお一人ですね👍


シングルファザー・平山役の【北 竜二】さん … 
息子に再婚を了承され、満更でも無くなり、段々焦りだしたり、、最後は踏んだり蹴ったりな感じで同情致しますm(__)m
そしてトイレにばかり行ってましたが…
過活動膀胱炎かも知れませんね💧(苦笑)お大事にm(__)m


亡夫の兄で伊香保で温泉宿を経営する三輪 周吉役の【笠 智衆】さん、、前半と後半の二回しか出番が無く、ストーリー上の重要度は余りありませんが、、やはりこの方が出てくるだけで、ホッコリとしますね👍


百合子の継母・ひさ役の【桜 むつ子】さん、、
百合子とは血の繋がりは無いが、さっぱりしていて優しい母で、二人の信頼関係の良好さが伺えます。バーのマダムや居酒屋の女将さん役等のイメージが確立された、名脇役として欠かせない方ですね☝
……‥…‥…‥…‥…‥…‥


余談☝
『彼岸花』では「赤いヤカン」でしたが…‥本作は「秋」を意識されたのか?「黄色いヤカン」でしたね(笑)


最後に、
もひとつオマケに、受付嬢役の【岩下 志麻】さん。二年後には【秋刀魚の味】でヒロインに❗