『隠し砦の三悪人』

この所、また黒澤映画を見返していますが、、

高校の映画鑑賞会で観た『影武者』、
確か?テレビで観た『天国と地獄』、『椿 三十郎』等、、当時はレンタルビデオ屋さんに邦画の種類が極端に少なく、特に「黒澤映画」等は、殆ど置いてある店がなかった様に記憶しています。。(私の住む地域ではでしょうか m(__)m)

その後、20代の時に、差し詰めインテリ(笑)なお友達に、『STAR WARS』の元ネタで最高に面白いよ☝と薦められて観た本作。。

それからは、観る度に同じシーンで笑って、同じシーンに興奮して、、何度見ても痛快👍

先々月あたりに「国立映画アーカイブ」では満席で見逃してしまったので、、

堪らずにAmazon prime videoで再見しました!

◇ 1958年作品(東宝・モノクロ) 
監督・脚本 : 黒澤 明 
脚本 : 橋本 忍、菊島 隆三、小国 英雄
撮影 : 山崎 市雄
音楽 : 佐藤 勝
出演 : 三船 敏郎、千秋 実、藤原 釜足、上原 美佐、藤田 進、志村 喬、三好 栄子、上田 吉二郎


〈簡単なあらすじ〉

戦国時代、、
秋月家は隣国の山名家との一戦に破れた。

この戦に出た秋月の百姓・太平(千秋 実)と又七(藤原 釜足)の二人は、山名の捕虜となり、朽ち果てた秋月家の城内の埋蔵金探しを昼夜問わず強いられるが、やがて捕虜による暴動が起こり、混乱の中、二人は幸運にも脱走に成功したのだった。
逃亡中、盗んできた米と釜で飯を炊いている最中、薪の中から秋月家の紋章のある金の延べ棒を発見して、他にもないかと付近に落ちている薪木を片っ端から探していた所に、、山賊の様な風体の男が現れた。。
この男は、一緒に秋月家の軍資金の金二百貫目の延べ棒を探しあて、隣国の早川領へ持って逃げようと二人に持ちかけた。
そして、男が身を置く隠し砦に二人を連れて行き、以降、行動を共にする事になった。
この男の名前を聞くと、秋月家の侍大将であった、真壁六郎太(三船 敏郎)と名乗り、二人に冗談言うなと一蹴されるが……男は嘘とも誠とも言わずに豪快に笑い飛ばすだけだった。。
そんな時、太平と又七は砦付近で一人の村娘を発見するが、、六郎太は、この娘には絶対に手を出すなと二人を脅した。
…‥実は、この怪しい男、紛れもなく真壁六郎太本人であり、見付けた娘は秋月家の世継ぎの雪姫(上原 美佐)で、この残党一行は姫を同盟国である早川領へ連れて逃げようと、この隠し砦に身を隠し、策を練り、機を伺っていたのであった。

果たしてこの三悪人は、、
無事脱出し、雪姫を早川領まで連れて行く事が出来るのか?

……………………(★この先ネタバレ御免m(__)m)

さて、、
六郎太が、どのような経路を辿り逃げるべきかと思案していた所、太平と又七は、直接早川領へ行く事は関所での警護が厳しい為に、一旦敵国・山名へ入り、警護が緩いであろう山名から早川の国境を抜けようと考えていた。。
六郎太はナルホド!と唸り、、この経路で行く事を決め、太平と又七を従え、雪姫には口がきけない唖の村娘を装わせ、薪の中に隠した金二百貫目と共に脱出作戦が敢行された❗
太平と又七の作戦が採用され、徐々にチームワークも生まれるが…‥
しかし、道中は、欲に目が眩んだ太平と又七の裏切り等から想像以上に困難の連続となる。。
これがホントに、信用の置けないダメな奴らなんですm(__)m
なんとか、山名の関所を通り抜け、木賃宿に一晩寝泊まりするが、、その宿で人買いに売られた秋月の百姓の娘を見つけ、、不憫に思った雪姫は、この娘を買い戻し一行に同行する事になった。。雪姫の正義感と優しさが垣間見れるシーンです。

こうして五人となった秋月家一行だが、、その後もピンチに直面する…‥
翌日の道中では、騎馬武者達の尋問を交わすが、怪しいと悟られ戻って来た武者達を六郎太はやむ無く刀で斬り、、逃げる武者を追いかけ、馬上で斬りつけると勢い余って敵陣に入ってしまう。。
そこには山名家の侍大将である因縁のライバル田所兵衛が居合わせ、六郎太との一騎討ちとなる。。激戦の末、六郎太に軍配が上がるが、潔く首を斬れと言う兵衛を斬らずに退散した。この武士の情けが裏目に出ることも…‥
山名家は、薪木に隠された金の延べ棒が大量にある事を知り、秋月家一行をおびき寄せる為に村で火祭りを行った。太平と又七は、薪木を会場へ運ぶ村民達に紛れて、ついて行けば見つからないだろうと、ここでも勝手な行動を取り、案の定、罠にハマってしまったが。。
悟られない為にと六郎太は仕方なくこの薪木を全て火に放った…‥自棄気味に躍りまくる秋月の一行の中、何処か愉しそうに踊る姫が無邪気に躍動する。

そして夜明け前に焦げ跡から延べ棒を拾っていた所に、山名の山狩りに遭い銃撃を受けると、太平と又七は金を諦め、その場から逃げてしまった、、結局、へっぴり腰で全く頼りにならなかった二人。。
遂に雪姫と六郎太と娘の三人が山名家に捕らわれてしまった。。
そこに、監視役として訪れたのは田所兵衛だった。兵衛は六郎太に敗れた事で、主君からいたぶられ、見るも無惨な風貌に変化していた。

その夜、雪姫は「この数日の楽しさは城の中では味わえぬ、装わぬ人の美しさと醜さを見た。礼を言うぞ!気兼ねなく死ねる、あの祭は良かった 。歌も良かった。」と処刑の前日に関わらず、懐かしむ様に話した。

世継ぎの男児がいなかった秋月家の殿は雪姫を男の子の様にやんちゃに育てられたが、、殆んどを城内で過ごし初めて城外の長旅に出て、善くも悪くも人間の心情に触れる事が出来た事を、六郎太へ感謝し礼を言うと共に労をねぎらった。
上に立つべき者の器量の大きさと潔さを強く感じる素晴らしいシーン!

「己れを生かすも殺すも、己れの器量じゃ!」

現代の日本の将にも、、
私利私欲に溺れず弱者を助ける雪姫の様な器量が欲しいところですね。。(苦)

この雪姫に感銘を受けた、敵方山名家の侍大将・田所兵衛は、この若き君主に未来を託してみたくなったのだろう、、翌日、処刑地へ行く途中、秋月に寝返り三人を解放して早川領へ逃がし、自らも「裏切り御免!」と颯爽と逃げて行くのであった!


そしてラスト、早川領で捕らわれ城へ連れて来られた太平と又七、、お白州で裁きかと思いきや? 面を上げると何とそこには、、煌びやかな着物を羽織った雪姫と重厚な鎧を身に纏った真壁六郎太、そして敵方の侍大将であった田所兵衛の姿。。

見覚えのある顔に、呆気にとられる二人、、
そして褒美として大判金を貰い、、ようやく我に帰った二人は、、改心でもしたかの様に、褒美の取り合いもせずに仲良く城を後にした❗

ちゃんちゃん🎵🎵のハッピーエンド👍
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【三船 敏郎】さん、、秋月家の侍大将・真壁六郎太の男気と逞しさは、正に男の憧れ☝
「忠義顔が、嫌いじゃ❗」と言われても、甲斐甲斐しく雪姫を守り抜く気概が迫力満点でした👍
三船敏郎さんがスタントなしで挑んだ超有名なシーン!疾走する馬上で手離しの状態で刀を構える殺陣シーンは、スピードと迫力がハンパない👍

【千秋 実】さんの太平と【藤原 釜足】さんの又七は、助平でみすぼらしく、金欲にまみれた百姓で、考えの浅はかさやコミカルな容姿と動きに、素の人間像として私には愛着が湧きました。。あのラストシーンの為の伏線として(笑)、二人の汚ない言い争いを各場面に散りばめています。この二人はコメディリリーフの域を越え、ある意味本作は、この二人の「バディムービー」ですね✌

黒澤監督も二人を、只のヒーローの添え物とせず、、どれだけ魅力的に描くか?に注力した事が伺えます。

そして、【上原 美佐】さんは、雪姫の男勝りなじゃじゃ馬娘ながら、妖艶な容貌と美しいスタイルに見惚れしてしまいます。
当時、中々、この雪姫役が見つからず相当に苦慮されたらしいですね。。最終的に一般人でありながら容姿端麗な上原さんで決まったとの事ですが、、確かに台詞回しや発声等、少しキビシい感じではありましたが、、その弱点さえも必然とし、伏線とする憎い演出でした。

【藤田 進】さんの仇役が、また魅力的で、
自から盾になり三人を早川領へ逃がし『裏切り御免❗』と軽快に馬に飛び乗る姿が、カッコよすぎる👍
唯一、真壁六郎太と互角に渡り合える男、、二人の薙刀での闘いは見応えがあり息をのむシーンでした!

この其々のキャラクターの濃さが、黒澤映画のオモシロさですよね!

ラストで、太平と又七が強欲さを出さずに改心したかの様なエンディングに、観客は騙されるが、、ホッコリとして一笑い出来る、素晴らしいラストシーンでした!

前作の『どん底』然り、最後は、ある意味、脇役に花を持たせる所が心憎い演出でしたね👍

何度観ても変わらずの名シーンが満載の、
痛快スペクタクル珍道中!を、またも堪能しましたm(__)m

★★★★
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最後に好きなシーン☝
逃亡する道中、六郎太がいない間に、金の延べ棒を二人占めして逃げようとして、唖を装う雪姫を騙す為に、身振り手振りのジェスチャーで説明する太平と又七の滑稽な姿が面白すぎる!!

追伸
嵐の松本潤さんが主演したリメイク版は未見なので近々、是非観てみたいですね👍

最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m長文になりホントカタジケナイ(忠義顔・笑)