『娘・妻・母』
成瀬 巳喜男監督流、ホームドラマ 。
家族の絆とは何なのか?
娘・妻・母の其々の立場におかれた女達が、
様々な問題に対峙して行く家族の物語
あの人や、この人まで!(笑)
オールスターキャスト集結作品です❗
◇ 1960年作品(東宝)
監督 : 成瀬 巳喜男
脚本 : 井手 俊郎、松山 善三
撮影 : 安本 淳
音楽 : 斎藤 一郎
出演 : 原 節子、三益 愛子、高峰 秀子、森 雅之、宝田 明、草笛 光子、団 令子、淡路 恵子、仲代 達矢、杉村 春子、小泉 博、太刀川 寛、中北 千枝子、上原 謙、笠 智衆、加東 大介
〈簡単なあらすじ〉
東京・代々木上原の住宅街の一軒家、
坂西 あき(三益 愛子)は現在、長男・勇一郎(森 雅之)と妻・和子(高峰 秀子)の一人息子・義郎と三女・春子(団 令子)の五人で暮らしている。
長女の早苗(原 節子)は、由緒ある商家に嫁いだが、姑とうまく行かずに、度々この実家に遊びに来ていた。
保育士の次女・薫(草笛 光子)は教師をする夫・谷 英隆(小泉 博)の母・加代(杉村 春子)と三人暮らしをしていて、、
次男の礼二(宝田 明)はカメラマンで、妻・美枝(淡路 恵子)が経営する喫茶店の二階にスタジオを構えている。
しっかり者の三女・春子は、この坂西家の父が遺した遺産はこの自宅だけと聞き、家族に幾らずつ配分されるか計算をする。。
そしてこの家族、各々に諸々の事情があり、この遺産金をアテにしていた。
一方、工場を経営する和子の伯父・鉄本(加東 大介)は資金調達の為、この坂西家や兄弟の家にまで金の無心に訪れ、疎ましがられているが、親戚という関係につけこまれ勇一郎は、鉄本に多額の金を貸す羽目となっていた。
また、早苗が夫の保険金・100万円を持っている事を知り、困っている鉄本に追加の融資をする為に、その半分を預けてくれと、勇一郎に懇願され言われるがまま50万円を預けてしまった。
それから数日後、、
その鉄本の工場は閉鎖し本人は行方不明になってしまった、、
家族の絆に、ほころびが見えてくる。。
………………………(★ネタバレありますm(__)m)
絵に描いた様に円満な、母の還暦祝いに集まる子供達との家族の図。多くを望まない謙虚な母・あきは、皆からプレゼントまで貰い、この上無い幸せを味わうのだが…‥…‥
急速に暗雲立ち込める展開に…‥
和子の伯父が怪し過ぎて、、これ絶対駄目な展開…‥とハラハラしながら観ていると案の定。。
伯父は行方不明になり、貸した金は一切戻っては来ない…‥長男・勇一郎は、亡き父が財産として唯一残したこの家を、母にも内緒で抵当にまでして貸金を用立てていた為、将来遺産の分配金をアテにしていた弟妹達は納得がいかないのは当然だが。。その、責任は全て取るから、その代わり母の面倒を見ろと逆ギレする勇一郎。
一番の被害者である早苗は、亡夫の保険金から出した50万円も戻らないという事よりも母を蔑ろにする兄弟妹達に呆れ果ててしまう。。
「兄弟は他人の始まりって言うけど、、親子だって他人なんだよ、」次男・礼二のドライな言葉に、あの仲の良い家族の図が、一瞬にして崩れ落ちる様に感じてしまった。。
現代ならもっと、修羅場と化していただろうにと思いつつも、、、
後半はそんな、家族の重た~いお話が中心になるのですが…‥
中盤では、
未亡人になってしまった早苗に、ちょっとしたロマンスが訪れたりする、お花畑な展開に浮かれてしまいます!(笑)
三女・春子が勤める会社のワイン醸造技師の黒木(仲代 達矢)は年下ながら早苗に猛アプローチを仕掛けるんですが…‥
自分よりも年下の黒木にはもっと若い娘と結婚するべきだと諭しアッサリと振ってしまう。
キスまでさせたクセに…そんな殺生なと思ってしまうのですが…‥
その理由は、
友人の保険外交員・戸塚 菊(中北千枝子)に紹介された京都の由緒ある家柄の五条(上原 謙)の玉の輿に乗り、母も一緒に連れて行こうと考えていたからだった。
自分を犠牲にすると言うか、早苗はやはり若い黒木との結婚では経済面での苦労に耐え切れないと悟っていたのかも知れませんね。。
しかし、、
母・あきは誰の世話にもならない様にと老人ホームの手続きをしていた所が健気で可哀想なのですが…‥それを知ってしまった長男の妻・和子はいたたまれず、やはり母を引き取るべきだと決心するが……‥…‥
あきは、
いつも公園で会う老人(笠 智衆)が自分に似た境遇だと言う事を知り、、ハッとして、この老人の許へ駆け寄り二人の新たな人生の始まりを予感させて物語は終わります。。
家族が私利私欲によりバラバラになりそうな理不尽な展開から、最後に、一筋の希望が見える所にホッとしてジ~ンとしました。。
育てて貰った恩返しをしなければならないが、まだまだ、経済的にも甘えていたかった子供達をヨソに、もう子供達の世話にはならないと言う母の気概に胸打たれました。
やはり母は強し❗と言う物語☝
★★★
………………………………
オープニング・クレジットからして小津映画?と錯覚してしまう程で、パロディーと捉えていいのか?間違いなく意図的なのが分かり、ちょっとヤリスギなのでは、と思いましたm(__)m
面白かったのが、後半の母・あきと長女・早苗の会話。。
あき「一番優しいお前だけが心配のタネだよ」
早苗「じゃあ、私が一番親不孝って訳?」
💡💡成瀬監督の1952年作品『稲妻』でも同様の会話をする親子(浦辺粂子さんと高峰秀子さん)のシーンがありましたが、、出来の悪い子ほどカワイイと言うアレですね☝
長男・長女ばかりが可愛がられてたと、次男・次女・三女チームからの子供時代のヒガミ攻撃に、満更違うとも言いきれない様なバツの悪い表情をする長男・長女も面白い。
子供の多い家族は、得てしてこう言う境遇を受けてしまうのでしょうかね?(笑)
また、
次女・薫が嫁いだ先の姑・加代との関係にも、しっかりとスポットが当てられますが、、
共働き夫婦であることや、一人息子を溺愛するかの様な母の言動とマザコンと妻に罵られる夫、そして老人ホーム等…‥現代にも通ずる、核家族化のモデルケースの如く描かれていて、とても興味深かったです!
昭和の家族の良いところと悪いところを、コミカル&シニカルに見せ、母を中心にしながらも、其々の家庭の事情や言い分を交え、家族全員をフラットな立場として描写する、その後のテレビのホームドラマの基礎となる様な、成瀬監督の技を堪能致しました☝m(__)m
…‥…‥…‥…‥…‥…‥
『浮雲』の森&高峰コンビは長男夫婦、
『めし』の上原&原コンビは、最後にお見合い結婚をする事に、、そしてその仲を取り持った常連の中北さん、次女・草笛さんの姑の杉村さん、次男・宝田さんと淡路さん夫婦、、そして原さんに恋焦がれる仲代さん等々、成瀬監督作品の常連さんを中心に超豪華キャストを迎え、満を持してのカラー作品❗ 力の入れ具合がよく分かる作品でした。。

















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