『野良犬』


前前々回『ブリット』を、紹介しましたが、、

今回は、日本映画の刑事モノと言えば!

という事で、

巨匠【黒澤 明】監督の『野良犬』❗

若手刑事&老練刑事のバディ映画の傑作です。

数々の名シーンは、何度観ても、、
分かっちゃいるけどやめられない、
ドキドキが快感です👍

◇ 1949年作品(新東宝)
監督・原作 : 黒澤 明
脚本 : 菊島 隆三
撮影 : 中井 朝一
音楽 : 早坂 文雄
出演 : 三船 敏郎、志村 喬、清水 元、河村 黎吉、木村 功、淡路 恵子、千石 規子、三好 栄子、岸 輝子、東野 英治郎 、千秋 実、山本 礼三郎


〈簡単なあらすじ〉


戦後間もない荒廃と復興が交錯する東京、、
警視庁捜査一課の新任刑事・村上(三船 敏郎)は、射撃練習を終えて自宅へ帰る途中、混雑するバスの車中でポケットにしまっていたコルト拳銃を盗まれる大失態を冒してしまった。
そして、そのコルトには実弾が7発装填されたままであった。。


早速、上司の中島警部(清水 元)に報告し処分を仰ぐ事となったが、、中島の薦めもあり、第三課・スリ係の老刑事・市川(河村 黎吉)と共に捜査を進めると、事件当時、バスに乗車していた女が、スリの常習・お銀(岸 輝子)である事が分かった。
その後、村上刑事の執拗な尾行に降参したお銀の助言から、闇市に蔓延る貸しピストル屋が事情を知っているのとの事で、連中との接触を試みる事になった。


復員兵に変装して街を徘徊する村上刑事、、
幾日かが経ち、遂に貸しピストル屋との接触に成功して、売人の女(千石 規子)を検挙したが……
彼の拳銃を所持していた男とはニアミスを起こし、取り逃がしてしまっていた。。


自分の拳銃が犯罪に使われる事を恐れ、犯人逮捕に躍起になるが、焦りばかりが村上刑事を襲う。

そして、悪い予感が当たり、遂に盗まれた拳銃が、犯罪に使用されたのだった。。

………………………………(★ネタバレしますm(__)m)

オープニングから、、
前半はスピーディーな展開、、
中盤にかけては、、中々犯人を見つけられない、村上刑事のイライラと蒸せ返るような暑さにジリジリする展開となる、、


その後、
淀橋で起きた強盗傷害事件に使用され被害者の腕を擦った拳銃の弾丸が、村上のコルトの弾丸であった事から村上刑事は余計に焦燥感に駆られる。。

そして、淀橋事件担当のベテラン佐藤刑事(志村 喬)と組む事になり、犯行に使われたコルトは、自分が盗まれたモノだと佐藤に告白する村上刑事……
「コルトがなけりゃブローニングでやったさ」
ベテランらしい配慮を見せる佐藤の粋にも聞こえる台詞がいい👍

佐藤刑事の尋問により、貸しピストル屋の女の証言から元締め・本田(山本 礼三郎)を逮捕する事に成功し、村上刑事のコルトの現在の持ち主は遊佐 新二郎(木村 功)と言う復員兵だという事が分かった。

二人の捜査で、
事件の骨格が見え始め、犯人の正体が徐々に浮かび上げって行く、、


遊佐の家族の証言をもとに、彼を悪の道に引きずり込んだ、リーゼントスタイル(笑)の軍隊時代の仲間から「ブルーバード」で踊るレビューガールで遊佐の幼馴染みのハルミ(淡路 恵子)の存在を突き止めた。。


あまりに、自分のコルトに執着する村上刑事を、落ち着かせる意味も込めて佐藤刑事は、妻子の居る自宅へ招待した。


配給のビールと南瓜(笑)を肴に、語り合う二人。村上刑事の情緒を安定させる為か?
貧しいながらも幸せな家族を見せる佐藤刑事の優しさが伺える、、こちらの情緒まで安定してしまう(笑)素晴らしいシーンでした☝

遊佐の過去を知り、同情心が芽生えだした村上刑事を諭す佐藤の言葉、「一匹の狼の為に傷付いた沢山の羊の事を忘れちゃいかんのだ。」

そして、戦後の流行語をネタに、、
戦後派「アプレゲール」村上刑事は本物だが遊佐はニセモノのアプレカエルでアキレケールだ。。佐藤刑事はダジャレまで披露するとは……(笑) 

厳しくも優しい、オン&オフの使い方が絶妙
な、こんないい上司、この時代の日本にも居たなんて……感慨深い。。

‥………………

しかし、、
それから、事態は急転する……

遊佐により、第二の犯行が行われ、最悪な事に、遂にコルトの銃弾により死者が出てしまった。。

ハルミの家に遊佐が残していったマッチ箱を手掛かりに、遊佐の潜伏するホテルを見つけ出した佐藤刑事が、ハルミの家に居る村上刑事に電話をしていると、、遊佐が二階からロビーに降りてくるが、店主の妻子の会話で刑事が来た事を察して一旦部屋に戻る、、
女店員がラジオのボリュームを無造作に上げる、、店主はその女店員にチョツカイを出す。。ラジオの音楽がうるさくて電話が聞き取りづらく、中々用件が伝わらない、、遊佐が逃走する、、銃撃戦となり佐藤刑事は、遊佐のコルトに伏してしまう……外は大雨。。

ホントに良く出来た演出のスリル&サスペンスで、大好きな名シーンの一つです☝


そして、、遊佐との待ち合わせ場所を、教えてくれたハルミ、、急いで駅へ走る村上刑事。

待ち合わせ場所の駅、
遊佐が逃走した時、雨が降っていた為、ズボンは雨泥で汚れていると推測する。

駅の待合所に居る客の足元を一人一人、写すカメラワークは、、ドキドキの緊迫感。。


遂に遊佐を見付けた❗❗
しかし、村上刑事と目が合った瞬間から、逃走劇が始まる。。


遊佐を追い詰めるが、、
早朝の雑木林の中、、まだ薄く霧がはっている。。
二人が、睨み合い、遊佐は銃口を村上に向けている……そこで優美でのどかなピアノの音色が聴こえる。ミスマッチな演出には唸りました❗m(__)m

(対位法と言われる、、場面のイメージとは異なる音楽を挿入させてよりそのシーンを印象深くさせる技法の一つらしいです☝。。)

コルトから銃弾が放たれる。。
一発目は、村上刑事の左腕に命中するが、、残り二発を外し、、弾切れ。。


そこから、、くんずほぐれつの激闘の末、遂に遊佐に手錠が掛けられたが、疲れきった二人は、息荒く草むらに倒れ込み苦しみ悶える。。

今度は、子供達が歌う「ちょうちょ」が、BGMとなるが、こちらは安堵感からか?
何故かマッチして聴こえてくる、不思議と幻想的だ。。

やがて遊佐のやりきれない慟哭へと替わる。。

‥………………………


戦争が人の性質までも変え、、
犯罪に手を染め、、人生を台無しにする。。

村上刑事が犯人の遊佐へ感情移入してしまうのは、戦地に出征し復員となるが、二人共、帰途の列車内で自分の全財産であるリュックを盗まる経験を持つ。。

村上はその悔しさから犯罪を取り締まる側を選択したが、、かたや遊佐は、、云わばその事件から、深い闇に堕ち、復讐の様に犯罪を繰り返す様になってしまった。。。

話が進むにつれ、遊佐という男の憐れさが、、
同情に変わる様な演出で、すっかり、彼を擁護してしまいそうな自分が居る。。。
それを、思い止まらせてくれるのが、佐藤刑事の、多くの言葉だった。。

二人の人生は、ちょっとした事で逆転していたかも知れない、、それほど、正義と悪意は紙一重なんだと。。。。

とにかく見処満載の、、
私の生まれる遥か前(笑)に作られた、
刑事映画の傑作です👍

黒澤映画はこれだから止められない❗

★★★★
‥………………………………



⬆当時の「後楽園球場」巨人対南海戦?
まだ1リーグ時代の貴重な映像で、、
打撃の神様・川上哲治氏や青田昇氏等の往年の名選手の姿も!
ラッキーセブンでは、応援歌&風船飛ばしではなく、立ち上がって「腕をあげて背伸びの運動」をしてたんですね👍



⬆最後に、本作から凡そ三十八年後、、
『男はつらいよ 知床慕情』で共演する二人、
【三船 敏郎】さんと【淡路 恵子】さん、
こちらも、オススメ感動作品です👍


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