『飢える魂』『続・飢える魂』


元々、連続ラジオドラマとして放送されていた、原作を映画化した作品ですが………

当時の助監督【今村 昌平】氏等からは、所謂、メロドラマを撮る事に「何故?」と疑問を持ち抗議をしたとも言われていますが、、
【川島 雄三】監督は、この作品を手掛ける理由を「生活のためです。」とサラリと交わしたそうです。

非常にドライに割り切ってるな?と感じますが、、その真意は作品を観て分かりました☝


◇ 1956年作品
監督 : 川島 雄三
原作 : 丹羽 文雄
出演 : 南田 洋子、三橋 達也、轟 夕起子、大坂志郎、小杉 勇、渡辺 美佐子、金子 信雄、小林 旭、桑野 みゆき、高野 由美、加藤 勢津子



〈簡単なあらすじ〉

十年前、二十三歳年上で建築界の重鎮・芝 直吉(小杉 勇)に嫁いだ令子(南田 洋子)。6歳になる愛娘・京子がいるが、夫の秘書的な役割もこなし忙しい毎日を送っていた。


二人は夫婦でありながら、明らかに主従の関係にあり、夫の横柄な態度に妻として空虚感に苛まれていた。

ある日、大阪の市議会議員に立候補した青年実業家・立花 烈(三橋 達也)のパーティーでの茶会をもてなす様、芝に命令される令子、、


その茶席で二人は出会い、一目惚れしてしまった立花は、芝にはお構い無しに、事あるごとに令子に接近し求愛する様になる。

夫への不満も手伝い、若く熱烈な立花に惹かれていく令子、、
そして、禁断の不倫愛へと発展して行く。。


一方、小河内 まゆみ(轟 夕起子)は、、
十年前に夫を亡くし女手一つで大学生の息子・昭(小林 旭)と娘・伊勢子(加藤 勢津子)を養うキャリアウーマン。

亡夫の友人だった・下妻(大坂 志郎)は、病気で寝たきりの妻がありながらも、まゆみに愛情を抱き、精神的に支えて来た。

しかし、まゆみの子供達は母の幸せを願いながらも下妻との交際にだけは反対していた。
下妻は、それを知りつつも、まゆみへの気持ちを抑える事が出来なくなっていた。。


立花は、令子への愛が本気だと言う証として、
愛人・のり子(渡辺 美佐子)との関係を清算しようとするが、猛反発され立花は四苦八苦する。

果たして、
二人の女の、飢える魂は満たされるのか?

………………
(★ネタバレありますm(__)m)


両編併せて約二時間五十分の大人の愛憎劇。。

二組の男女の関係が、時に前進したり、また後退したりするサマ、、
身分や生活環境の違いもあり、、対比すると、とても面白い👍
最後はやはり、、まゆみは現実を見つめ、令子は夢に委ねる。。

………

確かに、オープニングでいきなり、ムード歌謡なテーマ曲から入って来た事に少しビックリしましたが、、

それでも、一筋縄では行かない「川島ワールド」が随所に観られました。




ガラス張りの床のバーを真下から覗くカメラワークや、日本各地の名所を二人が歩く姿を俯瞰するシーン等、、優美さとトリッキーさが、充分に観られ楽しめます👍

個人的に特に好きなシーンは、那智勝浦の洞窟温泉での各シーンは非常に秀逸だと思いました!

芝は、昼間から混浴風呂に一緒に入れと令子に命令するが、、それを拒否して着物のまま芝の背中を流している時の会話、、
令子「妻は、金の掛からない秘書であり、情婦であり、女中であり、、三助だとでも、、」
芝「お嬢さん育ちのお前に一人前の秘書が務まるとでも思ってるのか?情婦と言うモノはなぁ、もっと痒いところに手が届くモノだぞ!下手くそだが我慢してるだけだ。。」

令子は意を決して、抵抗を試みたが、、
あまりに妻を見下し愚弄する夫に令子は諦めモードに。。結局は我慢をするしかない令子の立場が辛すぎる、、



その夜中に一人露天風呂に入る令子、、
男湯の方から令子を呼ぶ声、、立花だ。
声が聞こえるだけで、うろたえる令子が色っぽくてドキドキします、、
そして、風呂上がりの二人の抱擁は、必見の名シーンです☝(笑)

芝と同様に、充分に資産を持ち合わせて居るであろう仕事上のライバル立花へ乗り換える事は、容易かとも思うが、そこに娘・京子の存在と世間体が令子の決断を鈍らせる。。

もう一つの男女、まゆみにもやはり子供との確執があり、、分別ある大人が故に、決断し切れずに、余計に話は拗れてしまう。。

そして、
其々の男女は一旦は結ばれるのだが、、

意外な結末を迎える事に。。

………………

二組の男女の愛憎と苦悩が、テンポよくクロスカッティングしていく辺りは、ホントに川島映画らしく、それを観ているだけでホボホボ満足してしまった。。

【川島 雄三】監督は、題材がメロドラマであろうと、何であろうと、自分にしか撮れない「シャシン」を作る自信があったのだと、本作を観ていて確信しました👍

流石の鬼才に脱帽ですm(__)m

フツーに昼ドラの様に観るも善し!

川島ワールドを堪能するも善し!

だが、、
熱中症気味で観るメロドラマ。。
余計に息が上がってしまった……(~Q~;)(苦笑)
★★★

………………


⬆令子役の【南田 洋子】さん、『わが町』の名演に続き本作を挟み『幕末太陽傳』へ!
絶頂期の美しさが素晴らしい👍

⬆芝 直吉役の【小杉 勇】さん、
見事なまでに、私利私欲にまみれた、いや~なオッサンでした。。

⬆立花 烈役の【三橋 達也】さん、
憎らしいほどに、二枚目に撤してますが、、
最後は、モテ過ぎ罪でしょうか……?怖い。。

⬆まゆみ役の【轟 夕起子】さん、
今で言う「美魔女」?ふくよかさが男にとっては堪らない魅力!
そして、下妻の叔父さん役の【大坂 志郎】さんは目眩く叔父さんをキモい程に好演👍

⬆まゆみの息子・昭役の【小林 旭】さんは、本作が映画デビュー作!その切れ長の眼差しは、既にスターとしての資質が溢れていました👍
伊勢子役の【加藤 勢津子】さんは、多感な女子学生を熱演!【長門&津川】さん兄弟の妹さんとの事☝

⬆味岡教授役の【金子 信雄】さん、
独特のドモリ方が印象的です(笑)、、シリアスの中にも必ずぶち込んでくる川島監督ならではの配役でした!

⬆その娘・章子役の【桑野 みゆき】さん、
50年代ベスト・オブ・天真爛漫な女子学生!の一人。。

⬆終始、陰影のある写り方をしている【渡辺 美佐子】さんのワイルド美!、、直情型で妖艶な振るまいに、立花は困り果ててしまうのだが、彼女が物語の結末の重要なファクターになろうとは……?
⬆『風船』に引き続き衣裳デザインは森 英恵さん。。斬新でスタイリッシュですね👍

………………

いつもの余談⬇

まゆみさんが、経営を始めると言う旅館、、
この時代によく出てくるワード「♨温泉マーク」とは? 

✋ 連れ込み旅館の事。。

ですがっ!

「♨マーク」と言うと私が真っ先に思い出すのが、その昔「船橋ヘルスセンター」(現在は、ららぽーと)のお土産屋で売っていた「ヘルス焼き」という饅頭で、、今川焼を小さくした形で真ん中に「♨マーク」が焼き印されていた白餡が入ってたヤツ☝

大好物でした👍

※ 調べると「都まんじゅう」と言う種類らしい。。

★完全に脱線してm(__)m