『わが町』

【川島 雄三】監督が、
親友で作家の【織田 作之助】氏(1947年没)追悼の為に作られた作品との事です。

『洲崎パラダイス赤信号』と同年公開でした。

◇ 1956年作品
監督 : 川島 雄三
原作 : 織田 作之助
出演 : 辰巳 柳太郎、南田 洋子、殿山 泰司、北林 谷栄、三橋 達也、高 友子、大坂 志郎、小沢 昭一


〈簡単なあらすじ〉

明治三十九年、
日露戦争の勝利に湧く日本、
フィリピン・ベンゲットの道路建設に貢献し、その名を上げた「ターやん」こと佐度島 他吉(辰巳 柳太郎)が、人力車を引き故郷の大阪・天王寺に帰国して来た。


長屋で近所付き合いのあった、落語家の桂〆団治(殿山 泰司)と後家のおたか(北林 谷栄)から、他吉が日本を出発する前に恋仲であったお鶴(南田 洋子)に初枝という四歳の娘がいると聞き、慌てて二人が働く露店に向かうが、そこには生活に困窮し疲れ果てたお鶴がいた。


程無くして、お鶴は病に伏してしまい、初枝と父子二人で暮らして行く事となった。

それから二十年、、大正十五年
他吉は必死に人力車を走らせ、生計を立て、初枝(高 友子)は立派な大人に成長した。

そろそろ結婚という年頃となり、桶屋の新太郎(大坂 志郎)と恋仲となるが、、他吉は気の弱そうな新太郎を気に入らない。。

そして、
初枝との結婚を賭けて、他吉と新太郎は、マラソン大会で対決をするが、若い新太郎の圧勝に終り、めでたく二人は結ばれたが、、、


その後、
この家族に風雲急を告げる出来事が待っていたのであった………

………………………
(★ネタバレありますm(__)m)


明治・大正・昭和にかけて、正に激動の時代を走り抜いたターやんの一代記!

フィリピンへの強い拘りが仇となり、、
娘夫婦を共に亡くしてしまう悲劇に見舞われるが、、その時、身籠っていた孫娘・君枝をもターやんは男手一つで育てあげる。

そして時代は昭和、第二次世界大戦も終戦、、
君枝(南田 洋子・二役)はタクシー会社のサービス係として働くが、幼少の頃、よく面倒をみてくれた次郎(三橋 達也)と偶然の再会をして直ぐに相思相愛となり、、所帯を持つ事になった。

ターやんは懲りずに次郎にもフィリピン行きを勧めるが、、君枝には既に、次郎との子供を授かっていた為、フィリピン行きを拒む……
そして、年老いたターやんに隠居して貰い、面倒を見て行こうと考え、人力車を勝手に処分してしまうが、、ターやんの、怒りに触れる。。

君枝は、ターやんの言いなりになり、
両親の新太郎と初枝、そして祖母お鶴の二(三)の舞いになる事だけはイヤで、、犠牲となった家族は全てターやんのせいだと口論となり二人は大喧嘩をしてしまう。。

その後、
傷心のターやんは、町で暴徒に絡まれ瀕死の大怪我を負ってしまう……………

そして、ターやんが最後に選んだ安住の地は、、?「南十字星」が輝く星の下だった。。

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これが本望と、
最後まで、``ベンゲットのターやん´´らしく、
永遠の眠りについた。。


外国に派遣され、死をも厭わない過重労働に尽力し凱旋しては、お国の為に働いた!と、戦争に出征したかの様に自分の誇りとする。。

その思考を若い世代にまで押し付けようとするが、、第二次世界大戦で大敗を知る孫世代は、ターやんの考え方をキッパリ否定する。。

勿論、そのもっと後の世代の私にも、、
君枝の反発は、至極当然の考え方だと思う。

そして、
真っ直ぐに信じて生き抜いたターやんこそが、
第一の被害者なのだと思い知る。。

この作品は、ある意味当時の社会批判とも取れるだろう。。

単純に人情喜劇としては見れない悲哀に満ちた作品でした★★★

………………………

本作は、川島監督としては珍しく「浪花男の人情物語」というストレートな作風で、逆に意外な仕上がりになっていると言われています。
※しっかり風刺も忘れてませんが。。。



⬆【辰巳 柳太郎】さん、
人情味溢れ、憎みきれない男、ターやん。
やるせない男の哀感に引き込まれました👍

「人間は、身体をせめて働かなきゃならん!」
が、虚しく響く。。

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名演技を引き出す川島マジックか…?
脇を固める、どの俳優さん達も素晴らしいの一言❗


⬆【大坂 志郎】さんと【高 友子】さん
すっかり、ターやんに振り回されてしまう……


⬆お馴染み【小沢 昭一】さん、
本作では、風呂好きな男ヤモメの理髪師、、


⬆いつもの色男【三橋 達也】さん!
子供の頃から、、素潜りが得意でしたね☝


⬆何と言っても、、【南田 洋子】さん!
代表作とも言われているのが頷ける程、素晴らしい演技❗母と孫の薄幸の美女二役を演じられています👍

そして☝
一番驚くのは、【北林 谷栄】さんの、老け具合。。当時45歳との事で、最初のシーンでは歳相応で逆にこんなお若かったんだ!と観ていましたが、、みるみる時代が進み、老いていく姿がターやんや〆やんを猛スピードで追い越す、超人芸に脱帽です❗m(__)m

⬆明治⬇大正

⬆昭和の戦後⬇

⬆〆やん役の【殿山 泰司】さん!も忘れてはなりません(笑)、、若い頃のフサフサ髪の違和感が。。。

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いつもの余談⬇
間違っていたら申し訳ありませんm(__)mと前置きしますが……


⬆の床屋でのシーン、、新太郎がフィリピンで病死したと言う知らせの手紙を、字が苦手なターやんが、、皆に読んでくれと頼む場面。。。
云いづらい内容の為に皆、老眼で読めないと嘘をつく。。
『男はつらいよ 寅次郎紙風船』で、就職面接を受けた寅さんへの合否通知のクダリと同じシチュエーション…
『わが町』のこのシーンにも出演されていた【小沢 昭一】氏がこの『男はつらいよ』でもゲスト出演されていましたし、、どうしても山田洋次監督がオマージュされたのではと思ってしまいますが、、真相や如何に…???