『なつかしい風来坊』


山田洋次監督、1966年の作品。

 私はまだ、可愛いベイビー✋✋(♪)だったので、、当時の事は全くもって語れませんが、、
【THE BEATLES】が初来日してセンセーションを巻き起こした年と言う事は、、
後年「卒業アルバム」の年表で知りました(笑)

主演は、この時既に喜劇王として君臨していた、クレイジーキャッツ、「あっと驚く為五郎♪」、銅像(笑)等の【ハナ 肇】さんです!

山田監督の、その後の作風(💡)のルーツとも思えるトコロを随所に垣間見ることが出来る作品かと思います。


◇ 1966年作品
監督 : 山田 洋次
脚本 : 山田 洋次、森崎 東
主演 : ハナ 肇、有島 一郎、倍賞 千恵子、中北 千枝子、真山 知子、山口 崇、久里 千春、松村 達雄



〈簡単なあらすじ〉

都の衛生局に勤める五乙女良吉(有島 一郎)は、通勤電車内で土木作業員の伴源五郎(ハナ 肇)と出会い顔馴染みとなる。最初は車内で酒を呑み、大声で話すこの男を迷惑と思っていたが、後日、タクシー乗場で再会すると、お酒の力も手伝い二人は意気投合してしまう。

その日は、泥酔状態で、源五郎は良吉の家に泊まる事になったが、妻・絹子(山北 千枝子)や娘・房子(真山 知子)は、その汚ならしい風貌と出で立ちから、源五郎に対し露骨に不快がる態度をとるが、後日、源五郎は、其々に御礼の土産を持参すると家族は次第に源五郎の優しさに触れ態度も変わっていった。

またある日、良吉の息子・学と約束した犬を連れて来ては、犬小屋を作ったついでに家の扉を直したり、隣近所のアンテナを直したりと、大変融通の利く便利屋として、色々と奉仕する様になり、完全に家族に打ち解けて行く。。

その日、学と犬の散歩に海岸へ行くと、海で自殺を図る娘・愛子(倍賞 千恵子)を見つけ必死の救助の末に助け出し連れて帰り、当面の間、良吉の家で面倒見る事になった。

そして、源五郎は、この愛子を好きになってしまった。。。

……………………
 (※ ネタバラしますm(__)m)



悪人が悪人では無く、、善人が善人では無い、表裏一体の人間の感情を、ユーモアとペーソスに散りばめる。

山田洋次監督の巧妙な人間の描き方には、
いつも感心していますm(__)m

オープニングの電車内で源さんが良吉に大声で絡むシーン、、
余りにも厄介で迷惑な酔っ払い男・「源さん」のインパクトは、かの「寅さん」とは比較にならない程に嫌悪感を感じさせるが、、

付き合いが深くなるにつれ、この男の純粋さや人間味に触れ、みんなが安堵し、そして信頼に変わっていく様は、、、こちらも安心して、ほっこりしてしまった。。

源さんは、欲しいものをねだれぱ、
必ず次に持って来てくれる!
良吉が、【久里 千春】さん演じる隣のお喋りな奥さんに当て付けで、「今度は無口で淑やかな美人でも拾ってこいと言いますか」、と皮肉を言うと、、
次のシーンでは、本当に無口で淑やかな女性・愛子を抱えて帰ってくるオチが素晴らしい!

その後、愛子に気に入られる為に、整髪して髭も剃りスーツを着用して訪れて来た時の源さんが、何とも愛らしく応援したくなるのだが……
思いの通りには行かず、空回りして行く。。

そして、愛子との映画デートからの帰りの公園で、愛子の勘違いから源さんによる暴行事件へと発展してしまい、、、源さんを信じる良吉の行動が裏目に出る……

翌日源さんは、間違いであるにもかかわらず警察に自首した。。必死に釈明に動く良吉だったが、
実は、源さんには他にも余罪があったらしく長期の勾留を余儀なくされてしまった。。

すると、散々、源さんに世話になっていた連中は、掌を返した様に挙って悪者扱い、それに怒る良吉は、遂に家で大暴れしてしまった。。

ここに、ステレオタイプの世知辛い風潮が露呈される、、、

本当に心のキレイな人間は、見た目や社会的地位等で見分けられるものではないと、訴える良吉が、無謀に見えて切ない。。

………………………

主演の【ハナ 肇】さんは、
とにかく、粗暴で荒々しい豪傑ぶりから軽快な大変身で、我が町のヒーロー!となる筈でしたが……ボロが出て転落する様には、深く感情移入してしまい、悲しみが襲う。。
本作では喜劇も勿論いいが、シリアスな演技が、素晴らしかった👍
※良吉さんの息子・学くんも芸達者(笑)で、二人のカラミは最高でした!

【有島 一郎】さんは、
とにかく、普段の真面目ヅラと酔っ払った時とのギャップが有り過ぎて面白いが、、特に、酒を呑んだ翌朝のに苦しむシーンでの有島さんの演技は秀逸で、流石!昭和の喜劇役者❗
そして、痩せ細った貧弱な体を存分に笑いのネタに使った庭の石を持ち上げるシーン等は、正に名人芸だなと思いました👍

【倍賞 千恵子】さんは、「さくら」となる三年前で、まだ、幾分ふっくらしていて、可憐な娘さんと言う感じなんですが、、自殺未遂をしてしまう役柄から、影がある女性を、悲壮感たっぶりに演じていました。そして、あの初めての笑顔には嬉しくて感動しました👍

この三人は、事件後、離れ離れになってしまうが……

ラストは、
一年後、良吉さんが転勤先に向かう汽車の中、、
源さん&愛ちゃん+赤ちゃんとバッタリ再会して終わると言う、ハッピーエンド!となります。

「大事な事は人間同士の魂のふれあうこと。」

人情喜劇の傑作『男はつらいよ』シリーズの原点とも言える作品でした。★★★★
(個人的な私感ですm(__)m)

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いつもの余談⬇

本作でも脇を固める、クレイジーキャッツの【犬塚 弘】さんや【桜井 センリ】さんのお二人は、その後の『男はつらいよ』でも役柄を代えて多くの作品に出演されていますが、、
その中で、犬塚さんは『奮闘編』での沼津駅交番の警官役、桜井さんは『寅次郎頑張れ』での平戸島の神父さん役が、個人的にはベストワンです!
そして、衛生局長役の【松村 達雄】さんは、ご存知二代目おいちゃん!独特のイントネーションの語り口は、後々も変わらずで、イイですね!

ついでに、絶賛上映中の
『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』
を観て、山田ワールドに心酔したビギナーの方々へ、
私もまだまだ不勉強ではありますが…『なつかしい風来坊』オススメ作品です❗