『古都』
【川端康成】原作
『雪国』『伊豆の踊子』と同様にノーベル文学賞の対象ともなった小説の映画化作品。
京都の風景の美しさもさることながら、、
出演者の名演技が光る作品です★★★
〈簡単なあらすじ〉
京都の由緒ある呉服問屋の一人娘・千重子(岩下 志麻)は、これまで何不自由無く育てられたが、自分は玄関の前に捨ててあった捨て子であると思い込んでいる。
しかし、父・太吉郎(宮口 精二)母・シゲ(中村 芳子)は、20年前に鴨の川原で、余りにも可愛い赤ん坊を見つけさらって逃げてきたと否定する。
ある日、千重子は友人の真砂子(環 三千世)と北山杉を見に出掛けるが、真砂子はその村で働く娘と千重子が瓜二つだという事を発見するが、千重子は他人の空似と興味を示さなかった、、
それから幾日か経った祇園祭の夜に千重子は偶然にもその瓜二つの娘・苗子(岩下 志麻・二役)を見つけ、彼女に近づいてみると、苗子は千重子を見るなり、生き別れした姉だと言い涙を流す。
祭からの帰途、四条大橋を渡る苗子に、千重子と間違えた西陣織り職人・大友秀男(長門 裕之)が声を掛け、千重子の帯を織らせて欲しいと懇願するが、苗子には意味が分からず、逃げる様にその場から立ち去った。
後日、千重子に想いを寄せる秀男は、千重子から双子の妹・苗子の存在を知らされ、自分にではなく、その苗子の帯を織って欲しいとお願いされる、、秀男は仕方なく、苗子の帯を織りそれを直接届ける事に……
一方、千重子は幼馴染みの真一の兄・竜助(吉田 輝雄)から求愛されると同時に呉服問屋の家業を手伝いたいと言い寄られる。
そして、千重子の父母からは、苗子を養子縁組して一緒に住もうと提案される。。
あまりにも違う身分に戸惑いながらも、お互いを想い、人生の選択に迫られる姉妹。。
…………………
(★ネタバレがようけあります。。m(__)m)
オープニングの不気味な音楽から何やら不穏を感じ、劇中も古都「京都」の有名な観光スポットの昼夜を陽と陰に見立てミステリアスに描写して行く。。
千重子と苗子の対照的な人生の暗喩か…?
夜の「清水寺」、厳かな「化野念仏寺」、壮観な「北山杉」、華やかな夏の「祇園祭」秋の「時代祭」等々、季節の風物詩を物語にリンクさせ、どの風景を取っても、美しく儚い。。
それ以上に、
この時代の【岩下 志麻】さんは、どんな形容も要らない程に美しく眩い。。
双子の姉妹の二役という事で、眉の形・化粧・そして手の色等に其々特色を出しているが、一卵性なので、同じ顔(当たり前か…)等々、細かい演出も嫌みなく程よい。
山中でのシーン……
急な雷雨に見舞われ、雷に怯えるお嬢さん育ちの千重子を抱きしめ守る苗子、、既に主従関係が出来上がっている様だが、姉妹愛以上の感情を示唆する描写と感じてしまった。。ラスト近くに二人同じ寝床で寝ているシーンもしかりで、、全編を通じて、禁断の姉妹愛の様に映る、、
実際、千重子の恋心は、、ここでは深く描かれていない、、二人の男に求愛されているが、結局は、世話になった父母に従えば良いと思っており、自分は恋愛をする身分ではないと人任せで投げやりになっている様に見える。。
そして、苗子に鞍替え(?)する秀男は、単に千重子の幻として見ている以上に、苗子本人への愛が芽生えている。彼にとっても不相応な千重子より、分相応な苗子を選ぶ方が収まりはいいのだろうが、、それさえ、千重子に迷惑を掛けるとして拒み続ける苗子の健気な姿勢が痛々しくも見える。。
少し穿った見方をすると…
姉妹愛につけ入る無用の男達という構図か……
また、
千重子の父・太吉郎役の【宮口 精二】さん、、千重子への偏愛や、秀男を殴る時の癇癪や、茶屋の子供の様な娘を気に入る嗜好等、異常性が見え隠れしていて危うく、、作品に歪みを持たせる見事な演技だった。
…………………
そして、
ラストの京の町に降り積もる淡雪を俯瞰するシーンは叙情的で、、
小走りで去っていく苗子の心情を察すると、哀しみが溢れていきます。。
生活は貧しかったが、短期間ながら、産みの親に育てられた苗子と、親に捨てられ異父母に育てられるが、生活面では何不自由なく裕福に育てられた千重子…どちらが幸せだったのか…?
苗子と千重子は二人とも自分の方が幸せであったと思っており、お互いに後ろめたさを感じている。。複雑な感情が切ないですね。。
京都の情景と運命的に出会った双子姉妹の感情が交ざりあう、、傑作映画でした✌★★★★
※感想は全て個人的な私感で書いています。m(__)m
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色々、調べてみた後の余談⬇
本作執筆中【川端 康成】氏は睡眠薬を乱用していて記憶も虚ろな中、出来上がった作品との事ですが。。
確かに、、北山杉の山中でのシーン等は、ある意味、幻想的ですし、そもそも、主人公の美しい姉妹自体が夢か幻の様にも感じます。。
また、
【岩下 志麻】さん二役のシーンに全く違和感を感じない程の撮影技術には脱帽しました👍
デジタル合成の無い時代、、完璧な二重露光(※一コマの中に複数の画像を重ね写しこむ)で撮影・編集されているらしく、正に職人の技を見ました!
(※ 撮影監督の【成島 東一郎】さんは、【大島 渚】監督の『戦場のメリークリスマス』等も撮られています。)
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