『荒野に希望の灯をともす』 | Wind Walker

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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

先日、2019年12月に凶弾に倒れた中村哲さんのドキュメンタリー映画『荒野に希望の灯をともす』の上映会に行ってきました。

 

 

予告編

 

 

恥ずかしながら亡くなったニュースを聞くまでは中村哲さんのことをよく知らず、アフガニスタンで活躍する日本人医師ということしか知らなかったのですよ。

 

中村先生は最初は医師のいない地域でボランティアの医療行為をしていましたが、旱魃が起こり清潔な飲み水さえあれば遥かに多くの人命が助けられた(百の診療所より一本の用水路)という想いから、独学で一から土木工事を勉強して試行錯誤しながら用水路の建設に着手します。

 

当初はクナール河の膨大な水量を制御するのに難儀をしましたが、福岡県の筑後川にそっくりな地形があるのを知り、江戸時代に作られた「山田堰」をヒントにマルワリード用水路を見事に完成させました。

 

約25kmにも及ぶ用水路ができたことによって荒野が緑地に変わっていく映像は感動的でしたし、現在でも65万人の命が支えられているとのこと。

 

 

そんな中村哲さんの並外れた功績を描くドキュメンタリーでしたが、常に立場の弱い人たちを助けることに人生を捧げてきた動機が「余りの不平等という不条理に対する復讐でもあった」と仰っていたのが特に心に残りました。

 

 

この用水路事業に関しては、中村哲さんご自身が書かれた『医者、用水路を拓く』という本に詳しく載っています。個人的にはまず映画や映像でご覧いただいたほうが分かりやすいとは思いますけど、映画では触れられなかった情報もたくさん書いてあるのでこの本もおすすめです。

 

当時アメリカのブッシュ政権がアルカイダやそれを匿うタリバン政権を制裁するために派兵して日本もそれに追随しましたが、人を殺すために巨費を投じるのではなく、その金を人を助けるためになぜ使えないのかという著者の怒りと悲しみがひしひしと伝わってきました。

 

 

 

 

もちろん映画『荒野に希望の灯をともす』も、自主上映会でしか観る機会はなさそうですけどオススメ。

 

 

ググったら上映会のほとんどがもう終了していましたが、AmazonでDVDが販売していました。中村先生の活動をよく知らない方にこそご覧いただきたいです。