『沈黙 -サイレンス-』 | Wind Walker

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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

沈黙 -サイレンス-(字幕版)

 

一昨年に長崎を案内してくれた方から映画『沈黙』の招待券を頂いたので観てきました。

 
映画の券をもらったのは嬉しい反面、「やっぱり観なきゃだめか・・・」という気持ちも半分。
 
というのも、思春期に遠藤周作の原作を読んだ時に受けたトラウマがまだ完全に癒えてないようです。
 
メル・ギブソンが監督した『パッション』みたいな拷問重視の映画になっていたら嫌だなぁ・・・と思いながら映画館に行ったら、この作品がPG-12指定されているのを発見し、ますますビビる私。
 
しかし実際に観てみたら、確かに12歳以下の子供には見せないほうがいいシーンも多少はあったものの、驚くほど原作に忠実でした。
 
最近はCGや美術が進歩したおかげで原作ファンが映画を観てガッカリすることも昔より減っていますが、本作も天国の遠藤周作先生にも観せてあげたい出来栄え。外国映画にありがちな変な日本描写もあまりなかったですし。(1971年に遠藤周作が共同脚本を手がけた邦画もあるようですが未見です。フェレイラ役が丹波哲郎なのだとか!)
 
 
ただアメリカ映画なので仕方ないのでしょうけど、出てくる日本人のほとんどが英語を喋っているのが観ている間ずっとノイズになってしまったのは否定できない。
 
数年間英語が必修科目であるにもかかわらず多くの人が英語をしゃべれない現状を考えると、キリシタンを取り締まる役人たちまでも宣教師のために必死で英語を勉強してあげたとっても心優しい人たちに見えてしまったのです。
 
まあそういった些細な点のいくつかを除けば、原作ファンにも未読の方にもお勧めできる大作でした。観てよかったです。
 
 
そういえば一昨年、『沈黙』の舞台でもある長崎の遠藤周作文学館で演奏させていただいたときに「沈黙」という曲を作ったのですが、沈黙を音楽で表現するというのは不可能とまでは言わないまでも非常に矛盾した行為だと悟りました。
 
この映画にはほとんど音楽がなく、多くのシーンでBGMは海の音、風の音、虫の声などです。
 
うん。そうだよね。それが正解。と思いました(笑)
 
しかし今度のアルバムには間に合いませんでしたが、「沈黙」という題材はもう一度時間をかけて取り組んで、いつか曲として完成させたいなぁと思っているのです。