平板型アクセント勢力の拡大 | MARK AKIYAMAのブログ

平板型アクセント勢力の拡大

 

1)  「今日は暑い一日となりました。」

(2022年4月25日・東海TV・ONE)

という天気予報で一瞬、「厚い」かと思ってしまった。
アクセントがLHH(*)だったからだ。東京語(いわゆる標準語)では、LHLが基本だ。

      (*)アクセント表記:L=低音、H=高音 を表す。

 

2)  「北陸地方を中心に雪になるでしょう。」

で、「雪に」をLHHと言っている例もあり、同様のアクセントがどんどん増えている印象がある。

 

私たちの日常生活では各地出身の人が入り混じっており、個々のアクセントは多様なのだが、放送業界では東京語を基本とし、特にNHKでは放送開始当初から厳格なマニュアルで運用されていたはずだ。ただ、お笑い芸人は関西勢が主力となったため、大阪弁が圧倒するようになったが、アナウンサーだけは規範的に東京語で話すよう教育されているはずだった。

 

1)、2)共に、本来の

()(だか)型(LHL)が平板

(へいばん)型(LHH)に変化している。2)では

名詞(雪)に後接する助詞(に)の高さが変化することによって、アクセント

の類型が変化している。膠着語に分類される日本語独特の変化である。

 

平板型の増加は、ドラマ(LHH)、ギター(LHH)などが嚆矢と思われる。いわゆるギョーカイの集団語によるもので、それが一般化しつつあった。金田一春彦氏によれば、親しみを覚えた言葉から平板化するとのこと。

ワイドショーのMCが局アナとは限らなくなったこともあり、局側ディレクターも東京語アクセントにこだわらずに追認してしまうのだろう。


ちなみに、宮崎地方ではほとんどの言葉を平板アクセントで話されているので有名だ。中央から遠い所に分布しているのは古代の言葉が残されているからだというのが定説だ。

。。。。ということは昔のアクセントが復権してきたということだろうか。

(**)集団語:限られた組織名でだけ通じる言葉のことだが、この例ではアクセントを対象としている。