そのことがあった次の日。

ありがたいことに、

水木金の3日間、

私は、1年生の担当。


今年の1年生には、

不思議なんだけど、

問題児がいないのだ。


それは、放課後児童クラブ内

だけの話では無く、

1年生全体がそうなのだそう。


そういう年回りも

あるのだと…


スタッフ皆が、

1年生の担当の日は、

嬉しそうだ。


「じゃあ、

癒やされに行ってくるね〜」


と、1年生の部屋に行く。


ストレスが無く、

ただ、ただ、

本当に、可愛いくて、

ひたすら癒やされる。



前日にあんな事があり、

F君から離れたかった私に、

本当に絶妙のタイミングで、

1年生の担当が回ってきた。


その日の初めのミーティング。


私には大きなミーティング

になった。


ミーティングの最後に、

主任が、スタッフみんなに

改めて、こう言った。


「どんな時にも、

絶対叩くのはダメだからね」


もちろん、

昨日あったことは

何も言わない。


だけど、私は昨日のうちに

スタッフ2人に、

「私、叩いてしもた…」

と自己申告していた。


でも、2人とも、

叩いたらいけない、としか

言ってくれなかったので、


みんな優秀で、

自分だけがバカみたいに

思えて、さらに落ち込んだ

のであった。


主任は、


「その気持ちは、

すっごくわかる。

すっごくわかるんだけど、

ダメだからね…」


と優しく言った。


法律云々の話じゃなく、

具体的な過去の実例で

話してくれた。


そうなのか…


主任は私のことを、

『大事な預かりものに

手を出したバカ者』

として見ているのではなく、


その気持ちは、

すっごくわかる。


と言ってくれた。


自分を責めていた私は、

一気に救われた気がした。


その後、

主任は教えてくれた。


F君のこと…


私は全然知らなかった。

考えたことも無かった…



発達障害…


初めて出会った。

発達障害の子に…


少しだけ、昨年、

本を買って、読んだことは

あった…


そのグレーゾーン

について書かれた本…


その頃は、まだ、

児童クラブに就職しようとは

思っていなかったのに…


なぜか、手に取り、

買ったのだった。


ササーッと、

流し読みはしていた。


そんな身近でそういう子に

接した経験のない私には、

大変元気でうるさい、

普通の子に見えていた…


そういえば、一番最初に、

何か説明を受けたような気は

するけど、


いつの間にか忘れていた…


それくらい、何の違和感も

抱かなかった。


十分に違和感あるじゃないか

と言われそうだけど、

私には、強烈な個性だとしか

映っていなかった。



そうか…

そうだったのか…


詳しい症状名も、

症状も、

曖昧にしか言われなかったが


興奮しやすい。

自分でそれを止められない。

という感じに説明された。


そっか…

そうなのか…


大きくショックを受けた。


急に可哀想になった。


じゃ、ガッと怒らないほうが

いいのかな?

それじゃあ、効かない?


いや、

そうでも無いか…



ある日、

ある先生と、2人で、

その部屋を担当していた時、

(その先生は大人しい先生)


私がノートを書いていると

その間中、

その先生のことを

とても酷い言葉で、

ず〜っと、大声で

けなし続けていた。


「役立たず。役立たず。

役立たずのおばさん。

ババァ…クソババァ…」


クッソ〜ッ!!!💢💢



私はドシンドシン足音を立て

F君に近づくやいなや、

怒鳴りつけた。


『さっきから💢💢💢🔥🔥

何言っとるんだアンタは!!!

💢💢🔥🔥🔥』


私の物凄い剣幕に、

F君はピタッと口を閉じた。


悪い時に、自覚もあるし、

ピタッと黙ることも、

できるのだ。


だけど、

そうなのか…


何度も何度も、

可哀想という言葉が

心に浮かぶ…


私は、発達障害なんて、

普通の子と、

ちょっと違うだけでは?

と思っていた。


主任は、グレーの子が、

いっぱいいると言った…


個性として捉えると

腹が立つけど、

発達障害と捉えると

可哀想に思う。


普通の子と同じように叱って

いいのかどうかも、

わからない…


そうだと分かれば、

周りの子たちも、

上手に関われるのでは?

と思うけど…


でも、変に気を使うと、

差別みたいで

これも可哀想だし…


可哀想、と思うこと自体

いけないことなのかな?


よくわからない…



発達障害…


児童クラブの指導員として

まずは、発達障害について、

知らなければならない…


これだけショックに思う

ということは、

決してF君を嫌いなわけじゃ

ないのだ。


決して嫌いじゃないのよ…


理解したい。


上手く接したいよ。