その友人、S さんと友だちに

なった最初の頃、

とても不思議なことが

ありました。


その時も、

S さんはお元気かしら?

また会いたいなぁ…

と思ってた頃だったのだけど



ある『音楽の講習会』に

行ったのです。

S さん、ひょっとして、

来ていないかなぁ…と

周りを見回してみましたが、

それらしき人はいませんでした。


が、



講習会も半分過ぎた頃、

横を向いたか何かの拍子に

チラッと、

私の真横に座ってるの人の顔

の気配が目に入って…



ええっ?


ってなった。


ウソ…


似てるのよ…

S さんに…


会いたいと思ってた人が、

私の隣に座ってるなんて、

有り得ないよね…


でも、もしかして、

ひょっとしてそうだったら…


そんな奇跡が起こったのに、

『隣の人』は、用事があって

講習会の途中で帰ってしまう

かもしれない…


その奇跡を知らずに帰るなんて、

悲劇的すぎる!!


だけど、だけど、


そうかもしれないと思っても

自分のすぐ隣の人の顔を見る

って、できます?


それ、怖いよね?



2つ隣なら、可能かも

しれないけど…



じゃ、

何かを落として、

それを拾うフリをして、

振り向きざまに見る?


あり得ん、あり得ん、

物理的に不可能…



その人が途中で帰らないよう

にと願いながら、

何かいい方法はないかと

考える…


小さな声で名前を呼んでみる

とか?


いや~

できない…


覗きこむにしろ、

声をかけるにしろ、

もし間違ってたら…

と考える。


合ってたら笑い話だけど

もしアカの他人だった場合、

どうする?

って話よね…


もう、講習会の話なんて

ちっとも耳に入らない。


どうしよう、どうしよう…

と思ってるうちに、

休憩に入ったのです。



私は、急いで席を立ち、

その場を離れました。


そして、


離れた場所から、

その人をジッと、見てみた。


間違いない!!!


私は席に戻ると、

隣の人に声を掛けた。


それからのことは

書くまでもない。


「 S さん?」


「えっ?!ホントに??

   いや~!! うそ~!!

  ず~っと、そこにいてはった      ん??」


2人で驚き、笑い合い😂😂

大騒ぎ!!!🤣🤣



こんなことって

あるんだなぁ…


ホント、不思議だったなぁ…


それ以降、

S さんの家に遊びに行くよう

になった感じでした…


三宅一生が好きということで

隣の県の美術館で、展示会?

があった時、誘ってくれて、

車で連れて行ってくれたり…

高速を使っても長旅だったけ

ど、思いついたらどこへでも

出掛けるって言ってた。

楽しかったな…


私がちょっとした演奏会に

出る時、S さんの友人の家に

連れて行ってくれて、

そこのお家のグランドピアノ

を弾かせてくれた。

いろんなピアノを弾いて、

度胸がつくように、と。

そこのお家のお友だちも、

誰も弾かないピアノなので、

ピアノが喜ぶ、って言って

くれて…

たくさん弾いて!って…

ありがたかったな…


S さんは、いつも、私の話を

親身になって聞いてくれて、

すごく気持ちをわかってくれ

て…  とても温かかった…

心の繊細なところが似通って

るのか、話が解り合えて…



S さんが洋裁をしたいと思っ

てた時に、誰かが教えてくれ

たのだと。

家で教えてくれる先生がいるよ、と。


それが私の母だと知って、

わぁ!!行こう!!

となって、来ることになった

らしい。


洋裁を教えてる部屋には、

ピアノの発表会時の写真が

上方に掛けてある。


母は、日頃からそれを見てい

た。


S さんを初めて見た時、

どこかで見たことがある気が

したのだけど、

まさか、その写真に写ってる

人だとは思いもしなかった、

って。


その昔、楽器店の仕事をして

いる人の仲介で、

近辺の3人の先生が合同で、

生徒のピアノの発表会をした


その時、私は S さんと

知り合ったのだった。


その発表会からはもう、

何十年も経つ。


 S さんと親しくなって

十数年後、

ご主人と一緒に、

海の向こうの温泉地に

引っ越して行ってしまった…


そこは、私の父の両親が

住んでた場所。

私の家は、ずっと、

子供の頃から毎年、そこへ

夏休みやお正月に行ってた。


そのことを母から聞いて知り

S さんは、そこが、

私の家のゆかりの地だと、

思っていたらしい。


これからもずっと、私たちは

その地に行くだろう。

そこに住めば、私たちに

会えるだろう。

そう思って、温かなその地を

引っ越し先に選んだのだそう

そう母が言っていた。




ところがどっこい、

そこは、私の家の故郷でも

何でもなく…


父の両親が、退職後、

県外のその場所に家を買って

住んでいたというだけの話。

父の両親がいなくなれば、

私たちには何の縁もゆかりも

ないのだった…


という誤算…


で今に至る…


私がよ~く知ってる場所では

あるのだけどね…

残念ながら、

故郷ではないのよ…

そこに S さんは住んでいる。


引っ越してから、何度か、

こっちに遊びに来てくれた

ことがある…


母と3人で会ったこともある

けど、


母と S さん、

私と S さん、

が友だちなのであって、


3人で友だち、

というわけではないから、

何だか落ち着けなくて、

上っ面な会話で終始した…



電話で話してると、

昔と変わらない気がする…


だけど、


お互いに、年を取ってしまっ

てるんだろうなぁ…



会った時、時の流れを痛感

するのは、辛いかも…


心は若いよ、

ってわかってる。

わかってる…


だけどね、

時の流れを寂しく感じること

があるのよね…



でもね、


会わなければ、

もっと後悔しそうだし…



会いたい。


だけど、

会うのが怖い気もする…



15才以上も年上の友人がいる

ということは、

それだけ覚悟がいる。

別れの日が近づいている、

ということなのだから。


後悔したくない…


今度会う時は、

クラシックギターで一曲、

何か、知ってる曲を

弾けるといいな。


私も、S ちゃんのピアノを

聴きたい。


その日のために、元気で

頑張らなくてはね!💪