俳優の若松武史さんが 天に召されたことを


先程 知りました。


本当に、舞台上をただ歩くだけで色気が溢れ落ちて行くような 


稀有なエネルギーを持った俳優さんでした。


蜷川幸雄さん演出の「テンペスト」を拝見した時


確か、キャリバンを演じていたと思うのですが、


内容よりもなによりも その存在に圧倒され


目が釘付けになってしまった事を


今でもはっきり覚えています。


「贋作・桜の森の満開の下」の再演では


後に夜長姫の夫となる オオアマを演じました。


ニヒルに口元を曲げて笑う顔が忘れられません。


その後、「野田版・真夏の夜の夢」でも ご一緒しました。


役者としてのワカは、実はとても真面目で 努力家で


人の倍 汗を書き、頭(理屈)で考えるより


足で考えるというような、とにかく


本当によく稽古をする人でした。





ワカ。


お疲れ様でした。


そして 役者人生の千秋楽。おめでとうございます。


立派な俳優人生に、あえて「おめでとう」という言葉を使うよ。


見事でした。




シアターコクーンで「ワーニャ叔父さん」の上演が


決まった時に、ワカがアーストロフと知り


私は本当にドキドキしたよ。


魂まで持って行かれてしまうのではないかと。


でも、稽古の前にワカの病気が発覚してしまいました。。。


どんなに残念だった事でしょう。


悔しかった事でしょう。



ワカは手術を乗り越え、本番の舞台を見に来てくれました。


終演後、楽屋口に登る階段で出会ったワカは、


突然何も話さず、私にキスをしました。


アーストロフとエレーナのように。突然。


きっと客席に座っていたワカは、3時間の芝居中


一つ一つの台詞を反芻しながら


すっかりアーストロフになっていたんだと


思います。



。。。あれから 四半世紀。


ワカ。


お疲れ様。


天国で、また伸び伸びと!


ニヒルな笑顔と、あのハスキーな声で


たくさん お芝居をしていてください!


また、会いましょう!!!!!


そして 今度こそ!


「ワーニャ叔父さん」をやろうね。


お疲れ様!!!!




役者って不思議だよね。


ワカが演じた鮮やかなシーンは


今も はっきりと 私の心の中で生きています。


日本の演劇界を彩り、支え続けてくれたワカ。


本当に ありがとう。




合掌