<海外に住む子供たちへの継承後教育>

 

カナダ・バンクーバーに住む私が

日本語をどう子供に残そうとしているか。

あくまでも私の個人的な経験だけですが

書き留めております。

 

本日はその第3回目です。

 

 

救世主に抜擢したのは…

 

家族会議では、

「そろそろ漢字がしんどくなってきたかも」

と、子供自身も薄々感じてきていることもわかり、

「週末に早起きして学校へ通わせることがしんどくなってきたかも」

と、私たち親自身も薄々感じてきていることもわかったのですが、

 

ランドセルの約束

 

にしがみつくように、

何かできることはないか…

もう少しだけ考えてみることに。

 

漢字経験値を上げる。

そして、どうせやるなら

子供の興味のあるもので。

 

なんだろう

なんだろう

 

 

・・・

 

 

そして思い切りました。

 

 

漫画だ。

 

 

そう、

 

漫画に助けを求めよう!!

 

 

 

 

 

 

 

漫画と漢字経験値

 

幸い、日本語学校の図書館には

ものすごい数の本が蔵書されており、

その中にはものすごい数の漫画本もありました。

 

日本で普通に育った私の耳には、

「漫画ばっかり読んでないで本読みなさい」

というフレーズがこだましていましたが、

 

ここは、

なりふりかまわないことにしました笑。

 

私自身漫画好きな子供だったのですが

さすがに最近はあまり読んでいなかったので、

まずは、その昔読んでいた漫画を図書館で探し、

自己分析。

 

どんなキャラか

どんな設定か

どんな話か

 

まずはできるだけ日常に近いもの

できるだけ子供の年齢に近いキャラから導入することで、

日常生活で日本の同年代の子供たちが

どのような日本語を話しているのかを

伝えたいと思いました。

 

また、こういった視点で改めて分析してみると、

漫画の吹き出し内のセリフには

漢字に読み仮名がふられてあるのに気づきます。

これによって、本側からしてみると

学年を超えて幅広い読者層を獲得でき、

読者側からしてみると

どの学年でもある程度読み進めることができるのですね。

 

最初の漫画本の時は正直、

 

毎ページ「読み聞かせ」

 

状態でした笑。

面白いかどうか、一回自分で読んでごらん

と漫画を手渡したものの、

「ママ、これなんて読むの?」の連発。

 

だんだん面倒になってきて、

全ページ音読しました笑。

 

でもそれを2冊ほど続けると

自分で目で見ながら音を聞き続けた結果、

よく出てくる漢字がすぐに読めるように。

 

ま、でも、最初は、

「恋」とか「涙」なんだけども笑。

 

 

 

この子たちが知らないこと・知りたいこと

 

こうして漢字経験値が少ないところから

だんだん漢字が読めるようになった感覚が

子供には面白かったようで、

どんどん自分で読み進めてくれるようになりました。

 

まるで、レールに乗っけたらあとはある程度

勝手に走ってくれる電車のように。

 

ウチの子供達にとっての漫画活動は、

漢字経験値を上げるだけではなく

単語・言い回し経験値も

ぐんっと引き上げるきっかけとなりました。

 

教科書には出てこない、

けれども日本の子供たちがフツーに使っている

言葉を覚えるようになり、

次はこちらの説明と解説の嵐。

 

「ママ、『しつこい』ってどういうこと?」

「『せつない』って?」

「『ツンデレ』って?」

 

また、漫画に出てくる日本の学校の教室の様子を見て、

実際に日本の小学校に体験入学した時には、

廊下の片側だけに教室が並んでいることや、

全校集会が長くて退屈なことや、

掃除の時間に男子がホウキでちゃんばらごっこするのを見て、

「ママ、漫画の通りだった!!」

と大興奮していました。

 

そうか。

 

私自身にとっても当たり前なこういったことを

この子たちは知らないんだ。

具体的にそう感じた瞬間、

漫画に出てくる1コマ1コマが

尊くなりました。

 

あとは、

何が「面白い」ことなのか

どうやったら「ツッコミ」ができるのか

その「タイミング」なども

興味を持ち始めました。

 

 

 

綺麗事だけでは続かなかった…

 

さて、日本語学校に話を戻しましょう。

 

漫画導入から半年〜1年後には、

教科書に出てくる漢字のほとんどは

「見たことある」

レベルになっていたので、

漢字が妨げと感じることは

ほとんどなくなったようです。

 

また幸い、日本語学校のクラスメートも

漫画を読んでいたので、

その話ができることも

継続のモチベーションにつながりました。

 

ウチの子供に限ってですが、

 

ランドセルの約束

 

だけでは絶対に続かなかった

継承後学習。

 

もっと上手くやっておられるご家庭もあります。

もっと日本語が上手な海外生まれの子供さんも

いらっしゃいます。

 

ただ、私自身も8年かけて経験したことを踏まえると、

きっときっとどこのご家庭も、

 

ご家族の大きな支えと

子供達の大きな努力で

継承後学習は継続されている

 

んじゃないかなと思うのです。

 

 

 

バイリンガルって自動的になれる?

 

私自身はカナダで

日本人の英語スピーキング力を育成する

学校運営をしているのですが、

私が教える日本人留学生の方の多くが、

 

カナダで生まれて英語も日本語もペラペラでいいな〜

 

とおっしゃいます。

 

カナダで生まれたからって、

自動的に継承後が

ペラペラになるわけではないんだよ、

とお伝えしてきています。

 

裏にはけっこうドロドロした

裏物語

があるんだよ、と笑。

 

その昔、

私が現地の日本語学校で勤務し始めた際に、

その時の校長先生がおっしゃった言葉が

今も心に焼き付いています。

 

お子様の日本語学習を、

日本語学校は全力で支えます。

ただ、

ご家族の多大なご理解とご協力が

絶対に不可欠です。

 

今改めて、

その言葉が深く胸に刺さります。

 

 

 

継承後教育の程度はご家族それぞれ

 

最後に。

 

似たような境遇のご家族が、

実際お子様に「どれくらいの日本語力」を

残したいと思っておられるか。

人それぞれだと思います。

 

それぞれのご家庭の考え方、

将来のご予定、

お子様の性格、

などなど。

変数Xはたくさんあります。

 

ですのでここで書いたことは

あくまでも

一個人の一例だとお考えいただけると

幸いです。

 

 

いろいろなことが面倒だな…

って思ったことは何百回とあります。

日本語学校の先輩ママさんたちに相談したことも

何度もあります。

上手くいかなかったことも

数えきれません。

 

結果がどう出るかは、

子供が育ってみてからでないと

実際わからない、というのも、

空恐ろしいところです。

 

ですので、ここに書いたことが

必ずしもいいことだというわけでは決してありません。

 

子供たちの「今」は「今」だけなんだなと思いながら

歩いてきただけだとも思います。

 

これを読んでくださった方が

少しでも元気になってくだされば

幸いです。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

ちなみに漫画をきっかけにうちの場合は、

アニメに興味を持ち、

YouTubeに興味を持ち、

ニコニコ動画に興味を持ち、

歌い手に興味を持ち、

今に至ります笑。

 

 

「歌い手」さんと呼ばれる方の歌は

本当に難しく、

「ママ、『大衆性』って何?」

「『右倣う』って?」

「『警鐘』って?」

「『損得と体裁の勘定』って?」

「『有害な評論も見え透いた同情も聞きたくはないな』って?」

 

 

はふーー笑

 

 

 

ー>海外在住の子供たちの継承語教育って実際のところどんな感じ?:バンクーバーで日本語学習の場合(1)

ー>海外在住の子供たちの継承語教育って実際のところどんな感じ?:バンクーバーで日本語学習の場合(2)