5ヵ月後の2010年2月16日、バンクーバーでは、

フィギュアスケート男子シングルSPの戦いが繰り広げられる。

昨日の朝日新聞に引き続き、今朝は読売新聞、

連日のように、高橋大輔選手の話題が取り上げられている。

本当にオリンピックの足音が聞こえてきたのを実感する。


スポーツ最終面の、上3分の1ほどを使った記事で、

「VANCOUVER 2010」のロゴ入り特集記事。

【 高橋「金」へ再出発 】 宮崎薫記者の署名記事になっている。

8月21日撮影の写真は、『 Luv Letter 』の衣装で、右手を挙げて、

「復帰をまちわびたファンの声援に応える高橋」と、添えられている。

「右ひざ手術 焦りとの戦い」と見出しがあり、

「復活ロード」を追ったというリードで始まる記事は、

他よりも特に、高橋大輔君の心の動きを文字にしているように思える。


「元に戻れるのか」「五輪に間に合うのか」という不安や焦りに襲われ、

「しんどい。もう無理」と気持ちの糸がプツリと切れもした。けれど…

「自分にはスケートしかない」「辞めて後悔するのは自分」

結局、連れ戻されたのではなく、自分で戻ってきてくれた。

「もっとあっけらかんと出来ると思ったのに、意外と弱かった。ガキみたいなことしちゃいました」

気負いなく振り返る言葉に、乗り越えてきた強さを感じる。

肉体改造の発想で取り組み、その成果を実感し、

「体をムチのように使えるようになった」動きにキレとしなやかさが増した。

「自分の伸びしろを見つけられた。ケガをして良かった」 

すべてが五輪に繋がっていると素直に思えるのは、なんて凄いのだろう。

大歓声の中リンクに飛び出した復帰初舞台、鳴りやまない拍手の中、

「帰ってきた」「やめなくてよかった」と実感した。思ってくれた―――

昨季使うはずだったフリーの曲、『道』

「気に入っている曲。『道』っていうタイトルが、いいかなって」

出会うべく運命だったかとも思えるこの曲で、五輪シーズンに臨む。 

回り道もした。立ち止まったこともある。それでも変わらなかった

「バンクーバーで金」という終着点。

本当に、何というたくましさを身につけて戻ってきたのだろう。


「復活ロード」を計り知れぬほどの努力で歩んできてくれた大輔君。

今度は終着点を目指して、新たなスタートラインに立つ。

輝く目標に向かって、これからは一直線に駆け抜けて行って欲しいと、

祈るような気持ちで、見つめていこう、あと5ヶ月の時間…砂時計