20分間の休憩の後、第2部が始まった―――


『ラプソディ・イン・ブルー by ガーシュウィン』

「のだめ」で一躍有名になった曲、との紹介があったが、

その昔、ユナイテッド・エアラインのCMで使われていた曲。

「のだめ」の千秋先輩の、演奏吹き替えは、

今回のピアニスト・清塚さんが、務めていたそうだ。

今日は、ピアノパートが少し割愛されているらしいが 、

燕尾服から着替えた、白いジャケットに黒いシャツの雰囲気と、

少しジャズ風のアレンジがマッチして、小粋な感じだった。

先シーズン、エヴァン・ライサチェクがフリーで使い、

見事世界チャンピオンに輝いた、おなじみの曲だが、

私にとっては、長野オリンピック、イリヤ・クーリックが、

キリン模様のドルマンスリーブをはためかせ、

赤いほっぺで、高くてきれいな4回転を跳んで優勝したのが、

思い出深い。


ここで、青島先生曰く、

「フィギュアスケート音楽ブームの火付け役、荒川静香さま」

ご登場。。。

黒のタキシード風パンツスーツに身を固め、

遥かはるか遠目でも、スタイルの良さは、際立っている。

青島先生との掛け合いのトークで、

スケートを始めたきっかけやら、スタイルの良さの秘訣やら、

フィギュアスケートには、スポーツと芸術、

どちらが欠けてもだめだとか、トゥーランドット姫のエピソードとか、

いろいろお話してくれたのだが、とてもテンポが速すぎて、

ちょっと耳がついていかなかった。先生、突っ込みすぎです!


『トゥーランドットより 誰も寝てはならぬ~ヴァイオリン版~』

プッチーニ作の曲を、青島広志先生の編曲で、

コンマス・浜野孝史さんがソロをとり、初演となる。

やはり、ソフトで軽やかで、華やかな演奏で、

あまり重厚感は感じられない。

続いて、テノール・小野勉さんのアリアで、同じ曲、

『トゥーランドットより 誰も寝てはならぬ』

オーケストラ版は、荒川静香のトリノ金メダルのフリーとして、

そして、アリア版はプロ転向後のプログラムとして、有名である。

その荒川さんは、2曲演奏されるのをステージ上特等席で聴き、

テノールの小野さんは、あたかも女王様に謁見するがごとく、

跪いて、挨拶をしていた。


荒川さん、小野さんのお二人が退場し、代わりにステージには、

ドラマティックソプラノ・香川美智子さんが登場した。

曲は、アリア『蝶々夫人より ある晴れた日に by プッチーニ』

「安藤美紀ちゃんが使いました」と、紹介されたがピンと来ない。

ああそうか、あのトリノの時の…と思い当たったが、

それよりも、モダンバージョンを使った荒川静香版のほうが、

印象は強烈だ。

特に昨年のFOIで演じた、振り付けのシェイリーン・ボーンと、

二人で演じたコラボは、言葉にならないほど素晴らしかった。


再び荒川さんが登場。今度はタクトを振るという。

チェレスタという、小さなピアノのような楽器が運び込まれ、

演奏するのは、青島広志先生。

幼稚園の頃はピアノを習っていて、お箸を振って指揮をしていた、

というエピソードを語り、指揮棒を振り下ろす。

『くるみ割り人形より 金平糖の精の踊り by チャイコフスキー』

なんだか荒川さんの緊張が、こちらにも伝わってくるようで、

思わず胸の中で、ずっとカウントをとっている私がいた。

この曲で思い出すのは、15歳の浅田真央・GPFのフリー。

3Aを成功し、後半の3連続ジャンプが音楽にぴったりと嵌まり、

イリーナ・スルツカヤを破り、天真爛漫な笑顔で優勝したこと。


そして、シアターオーケストラトーキョーの持ち曲だという、

『くるみ割り人形より 花のワルツ by チャイコフスキー』

持ち曲というだけあって、リズムは明確で、安定した演奏だった。

残念ながら、この曲でのスケートの有名なプログラムは、

私には思い当たらない。

それよりも、バレエの発表会(公演ではない)にいくと、

必ずといっていいほど、耳にする音楽だ。

ちょっと自分のうちのことも思い出して、浸ってしまった。


ここで第2部が終了し、続いてアンコールとなった。

ゲストの皆さんが、勢ぞろいで登場し、

それぞれが見せ場(聞かせ所)のあるように編曲された、

『ネッスンドルマ(誰も寝てはならぬ)』

指揮は、もちろん荒川静香。(影武者指揮者・青島広志)

荒川さんも度胸が据わったのか、金平糖よりのびのびと、

気持ちよくタクトを振っていたように見えた。


…こうして、コンサートは大団円を迎え、

私のクラシックコンサート初体験も、無事終幕した。

耳になじんだ曲ばかりで、居眠りすることもなくほっとした。

できれば、演奏曲とスケートプログラムを紹介した冊子を、

販売してくれたら、もっと楽しかっただろうとも思うが、

また新しい世界を垣間見て、楽しい夜だった。


帰りがけ、出口のところにあったチラシで、

10月のジャパンオープン出場選手を知り、

また違う興奮を抱え、家路に着いた…夜の街

(更に引き続き、スケーターの皆様、敬称略で失礼します)