会場に入ってまず感じたのは、舞台の近さ。
そして、目に付くバンドセットと、ステージシート。
まだ照明があたっていないステージを眺めるだけでも、
気分は高まってくる。
客電が落ちて、舞台上にキャストたちが登場した。
【舞台は19世紀末、ドイツ。
無味乾燥な授業、理不尽な教師達、無理解な親…
思春期の只中にある少年少女たちは、
息が詰まりそうな日々を過ごしている。…】
物語は、反抗、体罰、性への興味、
虐待、脱落、自殺、同性愛、妊娠、そして永遠の別れと、
目まぐるしく展開していくが、
観ていて、実はストーリーを追う事には、
あまり意味がないのではないかと思った。
ストレートプレイのように、台詞で芝居は進行していく。
そして、登場人物たちの心情描写のように、歌が入る。
或るときは、ハンドマイクを取り出して、
また或るときは、スタンドマイクパフォーマンスを繰り出しながら。
ステージ上の、生のバンド演奏と、役者達の歌声の、
迫力あるコラボレーション。
最近の舞台事情にとんと疎い私にとっては、
とてもスピード感に溢れて、エキサイティングに感じられた。
キャストの実年齢も、たぶん相当若いと思われる。
メルヒオール(柿澤勇人さん)の、立っているだけでも華のある演技、
モリッツ(厂原時也さん)の、思春期只中のようなエキセントリックな演技、
ベンドラ(林香純さん)の、初々しさを前面に押し出した演技、
他のキャストたちも皆、それぞれに素晴らしかったが、
特に、目というか、耳を惹いたのが、ゲオルグ(白瀬英典さん)。
歌声もさることながら、演技しながらのピアノ演奏の腕前には圧倒された。
物語の中のセンセーショナルなエピソードの数々の、
根底に流れる普遍的なテーマ、
【それは誰もが一度は歩んできた道。】
自分自身の遥か昔に通り過ぎてきた、思春期という気恥ずかしい季節、
それを思い起こして、胸が熱くなり、
また、親として生きている現在の状況の中で、
物語の中の子供達の、未来に思いを馳せる。
大人の男性・モリッツの父のシーン(志村要さん)、
私には、息子を拒絶したようには決して思えなかった。
何故なら、その後に来る息子の埋葬シーンで、
手向ける花を、なかなか離すことができない演技に、
息子の死を受け入れられない親としての心情が垣間見えた気がするから。
ある意味救いがないストーリーでありながら、
エンディングは奇妙に明るい。
個々の物語は、息詰まり、悩み迷っても、
きっと、みんな色々なことを乗り越えて成長していく。
スタンディングオベーションで讃えられ、繰り返されるカーテンコール。
力いっぱいの鳴り止まない拍手も含め、
『生』のパワーを感じる舞台だった。
…ただひとつ、もう少し舞台からはみだす位の、無秩序さがあれば、
よりパワフルさが感じられたのではないだろうか。
(すべては観劇素人の、勝手な感想でした)
ところで、今回の観劇の動機となった、
プログラムへの談話を寄せた、高橋大輔選手、
先週の公式ブログでの、「もうすぐジャンプを始める」報告から、
私たちファンの想像をはるかに超えるスピードで、
次々と情報が流れてきた。
もう、あと3週間で、彼が戻ってくる!
せめて短いニュース映像でもいいから、
新生・大輔君のスケートをこの目で確かめたいと願っています![]()