20年ぶり「新紙幣」いよいよ 3Dホログラム、進化版すかし……偽造防止の最新技術 “最後の紙幣”に?【#みんなのギモン】



新しい技術や工夫が採用された新紙幣の発行が、いよいよ7月3日に迫ってきました。1万円札・5000円札・1000円札の全てで肖像となる人物が変わりますが、どんな基準で選ばれるのでしょうか?決済のキャッシュレス化が進む今、紙幣の未来を考えます。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「20年ぶり新紙幣 これが“最後”?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。


■お札の人物を決める際の条件は?


渡邊翔・日銀金融担当キャップ(経済部) 
「20年ぶりとなる新紙幣の発行が、いよいよ7月3日に迫ってきました。新紙幣の肖像について、日本銀行から3日に発行される新紙幣は1万円札・5000円札・1000円札の全てで、肖像になる人物が変わります」

「1万円札は実業家の渋沢栄一さん、5000円札は教育家の津田梅子さん、1000円札は細菌学者の北里柴三郎さん。この3人はどう決まるのでしょうか?」 

「財務省やお札を製造する国立印刷局によると、お札の人物は現在は明治以降の人物の中から基本的に選ばれます。国民に広く知られていて、その業績も広く認められていること、偽造防止の観点からなるべく精密な写真が手に入ることなどが条件です」


最終的には財務大臣が決定する形になっています」 

■約60年前、渋沢さんが最終候補に


渡邊キャップ 
「今回1万円札の顔に選ばれた渋沢栄一さんは、以前もお札の最終候補に残っていました。渋沢さんが設立に関わった宮城県の七十七銀行に保存されているのですが、1000円札に渋沢さんが描かれ、『試作図案』と書かれています」


今から60年ほど前の1963年、1000円札のデザインを新しくする際に、初代の総理大臣を務めた伊藤博文さんとともに、渋沢さんが最終候補に残ったということです。渋沢さんが採用されなかった理由は諸説ありますが、肖像にヒゲがなかったからとされています」 

「偽造防止の観点から、ヒゲがある伊藤博文さんの方が採用されたと言われています」 

刈川くるみキャスター 
「なぜ、ヒゲがある方が偽造防止になるんですか?」 

渡邊キャップ 
「単純と言えば単純で、ヒゲはいろんな線をたくさん描くため、偽造しにくくなるという理屈だったようです。もちろん今は技術が進歩していて、ヒゲがなくても大丈夫。渋沢さんもヒゲがない肖像になりましたし、女性もお札の肖像に選ばれる時代になりました」 

「お札のデザインはだいたい20年ごとに変えられていますが、変える一番の理由はまさに偽造防止です」 

■技術の発展とともに偽造が困難に


渡邊キャップ 
「今回のお札にもいくつかの新しい技術が採用されています。1つは3Dホログラム。見える方向によってお札の肖像が回転する技術で、お札に使われるのは世界初です。もう1つは、『すかし』の進化です。肖像に加えて、その周りにも細かい模様が入れられました」

森圭介アナウンサー 
「お札の歴史というのは、偽造防止の技術の歴史でもあるということですね」 


渡邊キャップ
「まさに、技術の発展とともに偽造しにくくなっているということです」

■ユニバーサルデザインをより意識


渡邊キャップ 
「また今回の紙幣には、誰もがお札を利用しやすいようなユニバーサルデザインがより意識されています。例えば金額の数字。これまでは端にありましたが真ん中に移動し、大きくなりました。外国人の方も、一目でいくらか分かりやすいようにという工夫です」 

「お札には目が不自由な方のために、指で触って何円札か分かる識別マークが入っています」 

森アナウンサー 
「(実際に触ると)ちょっとボコボコしています。今もあったんですね」 

渡邊キャップ 
「これまでは同じ場所にあり(金額によって)マークが違いましたが、今回はお札の種類によってマークを入れる場所自体を変えるようになりました。より判別しやすくなったということです」 

森アナウンサー 
「我々も知らなかった技術がお札自体にあり、それが進化するんですね」 

渡邊キャップ 
「新たな発見になればと思います」
記事と写真のみお借りしました。