「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」で、「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」では目標食塩摂取量が3g以上6g未満/dayだったものが、6g未満/dayに改訂になりました。

これで、他の学会(日本高血圧学会、日本糖尿病学会など)と同様の目標値になりました。

「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」は一般の方も購入できますので、興味のある方はぜひとも眺めてみてくださいませ。

 

エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2023[本/雑誌] / 日本腎臓学会/編集

楽天市場

3,520円

 

 

そもそも、日本腎臓学会だけが3g以上と付けていた理由は、『低栄養』と『脱水』を懸念していたことに因ります。

『低栄養』とは英語でmalnutritionと言いますが、CKDでは、ただでさえ尿毒症による食思不振があるにも関わらず、味のない食事によってさらに食欲が低下し、低アルブミン血症や体脂肪量と筋肉量の減少による体重低下を引き起こします。

 

減塩に成功しても、低栄養で様々な不具合(皮膚や頭髪を健康的な状態に維持するたんぱく質やビタミン類などが不足するため、乾燥や冷感や抜け毛が増えやすくなります。さらに、低栄養は筋力低下も引き起こし、活動性低下の原因になります。その結果、高齢者ではサルコペニアや骨粗鬆症を加速させる原因となり、転倒や骨折などのリスクも高まります。 また、低栄養は体の免疫力を担う白血球を減少させることも分かっており、感染症にかかるリスクも高くなるとされています。長期間このような低栄養状態が続くと、次第に肝臓や心臓の機能が低下していくため、命を落とすケースも少なくありません。 加えて、低栄養は身体的な変調だけでなく精神的な変調をきたすのも特徴の1つです。具体的には、疲れやすさ、無気力、怒りっぽさなどの症状が現れることが多く、女性ではホルモンバランスの変化が起こることで月経不順が起こり、イライラ感などが強くなることもあります)が出てしまっては元も子もありません。

 

また、患者さんの中にはストイックに減塩を実行される方もおり、脱水によって腎機能が低下してしまう場合もあります。

この場合の脱水による腎機能低下は、血液量が減少して腎臓に流れる血液が減ると、酸素が腎臓の細胞に届きにくくなるからです。

そこで、少なくとも3gは摂取しましょうというものでした。

 

ところが、今回「3g以上」が付くエビデンス(研究論文)がないことから、削除されたそうです←発表者が言っていたので確実OK

他学会に合わせたのもあると思う。

 

学会で決まったことは絶対で、どの医療従事者もそれに則って患者さんの治療を行います。薬物治療や食事(栄養)指導もガイドラインを参考に行うことになります。

減塩については、特別な料理を作るのではなく、普段の食事の中でどれだけ減塩出来るか←必要ない食塩を削るイメージ

でやらないと長続きしません。

また、食塩は「慣れ」が大切です。よく私が例えたのが、食塩入り(昔は無塩はなかった)のトマトジュースを飲んで、もっと食塩を入れたいと思ったら、その方は普段食塩を多く摂取しているというものでした。

今では、無塩を飲んでいる方も多く、食塩入りトマトジュースは塩辛くて飲めないという方もいらっしゃいます。

 

また、私の研究論文から、

あまり食べない方が良いかも←たまには食べてもいいケド

の料理はめん類、煮込み鍋が1食としては断トツです。

パンは6枚切で0.7g程度なので1食2枚食べても1.4gですが、めん類や煮込み鍋は1食分で6〜8g以上は確実です。

今では、減塩パンや無塩パンも発売されています。

 


 

以上、私の言葉で書きましたが、減塩を真面目に取り組んでおられる方のお役に立てれば幸いです。