《僧侶玄龍さんとは》


父親は定職に就かず、暮ら


し向きはいっこうに楽にな


らない。





4歳離れた妹は先天性の難聴


で耳が聞こえなかった。


「妹を守る」との使命感が


自身の存在意義を支えてい


た。




だが中学に入ると、純粋な


その使命感は反転し「強く


なりたい、手っ取り早く金


がほしい」とむき出しの欲


望に変わっていく。







高校卒業後は、職を転々と


して、暴力団と関わりを持


つように。



「救われたい」 やり直そう


と思ったこともあった。




刑務所の面会室で妻から苦


労を聞くたびに、


幼かった妹が頭をよぎり


「おれは何しているのか」


と悔しさがこみ上げた。




だが、ましてや組長。簡単


に抜け出せなかった。








「宗教は弱いやつがやるも


のだと思っていた。生まれ


て初めて救われたいと思い


ました。」


「強がっていただけだった


独房で仏教や真理の本を読


みふけるようになった。


暗闇の中、目を閉じて瞑想


し、心にだけ意識


を向けていた。


その時だ。「一筋の光が差す


ように自分の心の動きがは


っきり見えた瞬間があった。


霊的な体験といっていいほ


ど、すごい衝撃だった。」


自分と向き合う尊さを知る


ようになる。 




「社会から金を分捕ること


を正当化し、自分に足りな


い感情を埋めるために強が


っていただけだった。




己の内にある神仏の声を聴


き、やっと自分に出会えた。


仏門に生きることを決めた


瞬間でもあった。 


出所後、こわもてだった表


情は仏のように穏やかにな


った。













兵庫や静岡などの寺で人


知れず修行を重ねた。


髪をそり、座禅を重ね、経


を唱え続けた約5年後、


伊勢市の大江寺で出家をし


た。







 不安や恐れが支配した


世の中になり、本来誰もが


持っている御仏としての慈


悲や愛が見えなくなってい


る。


満たされないから、どんど


ん着飾って、よろいをまと


って余計に苦しくなってい


た。






と言う事です。




僧侶になられたのも、おそ


らく宿命でしょうね。







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