◆亀田中学校校舎校地改修記念合唱祭2011年
以心伝心
みんなで奏でる一つの音
先日、亀田中学校合唱祭にて、審査員として生徒の皆さんの演奏を聞かせて戴きました。
素晴らしい合唱祭でした。若々しく白熱した演奏に、感動。
心より盛大な拍手を贈ります。
まず、学生達の凛とした規律正しい空気、合唱コンクール前の緊張感と真摯さの中にも若者らしい大らかでのびやかな雰囲気が印象的。
1年生の元気な歌声、2年生のクラスの団結力、3年生はより音楽的に立体的な表現と、クラスごとに届けたいメッセージを託しての演奏。
学年をおうごとに若者の立派な成長を感じる。
中学生は、男子学生が変声期を迎える時代。クラスによって男声の質が変わり、若々しい声も男性らしい頼もしく深い声もそれぞれに、若者の《今》の声に、個人的に感動する。思春期・変声期は男性も女性も、声帯が繊細な時期ですから、決してどならずに、無理せずに歌って下さい。
各クラスごとに個性や特色、魅力、歌へのアプローチが素直にでており、どのクラスもそれぞれに美質が見られ、素晴らしい。
合唱祭にむけて練習を重ねてきたその成果を、たった一度の本番の、たった一瞬に託してクラスみんなで奏でる一つの音。ハーモニー。
感動とともに聴かせていただきました。
金賞・銀賞を受賞されたクラスのみなさん、おめでとうございます。審査は難航しました。どのクラスにも他のクラスにはない、魅力・能力・良さがあります。演奏と歌う皆さんの姿から、練習での様子やクラスの雰囲気がよく伝わってきました。今回、賞をのがしたクラスにも、他をしのぐ素晴らしさが各々あります。もっと深く各クラスの演奏にコメントしたかったのですが、全クラスの演奏を聴きながら審査用紙に、印象的な部分だけ鉛筆を走らせるだけしか時間がとれず、その点残念でありました。
(合唱とは関わりなく、2年生に一人、飛びぬけて声のいい女子学生さんがいましたよ)
ここで、更なる成長へ向けてのアドヴァイスを記しておきます。
3年生も、来年は高校で合唱祭があるかもしれません。
また、歌だけでなく、これらのことは全ての人間関係や社会にも通ずるものです。
参考にして戴けたら幸いです。
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◆アンサンブル(ハーモニーとアーティキレーション)
《個を確立したうえで、互いに相手をよく聞き、ハーモニーを大切に》
アンサンブルの基本は、
①個を確立する
ひとりひとりが自分の歌うパートを正確に歌える。
パート練習の重要性。
各パートごとに、音程・リズム・歌詞・旋律・歌詞・アーティキレーション等を正確にとり、しっかりと歌えること。譜読みの苦手な人もいますので、ピアノの得意な生徒さんに、パートごとの旋律を正確なリズムで録音してもらい、個人練習では聞きながら練習するのも手です。
一人一人が正しい音程で正確に歌えることが、まず大前提。
パート練習は基本です。
②(個の確立の上で)他のパートをよく聞く。
それぞれに自分の演奏をしっかり出した上で、お互いに聞き合い、整える。
※自分のパートだけを夢中で歌っては、アンサンブルにならない。
同時に、ただ相手に合わせるだけでも、アンサンブルにならない。
互いに主張する個と個が、ぶつかり合い、摩擦しあい、重なり、増幅し、和解し、響き合い、個と個が互いに互いを聞き合うところで、はじめてアンサンブル・ハーモニーが生まれる。
それこそが、合唱の醍醐味。
自分のパートをしっかり歌いながら、同時に他のパートもよく聞き、整える。
3. 全体を見る
演奏の最終目的は、全員で一つの楽曲・詩・音楽に込められたメッセージなり音楽世界を、聴衆の心に届けること。歌われる詩を理解し、その詩に共鳴した作曲家の作品を、もう一度、全体として見る。楽譜や詩をしっかりと全体として理解すること。作曲家は楽譜の中に、さまざまなヒントを書き込んでいます。
その中で、《テノールのこの言葉と旋律をもっと印象的に出すために、自分のパートはこうやって支えよう》、《ここは全員でこの言葉を強調する為に、こう歌ったほうが効果的》、《この詩の心を表現しているハミングのハーモニーは、こう歌いたい》、《ここだけは、全員でしっかりと言葉と心を合わせて歌いきる》、《言葉がとぎれることなく聴衆に届くように、ソプラノからバスへ主旋律の切り替えをスムーズに歌うにはどうしたらいいか》などなど、音楽的表現やアーティキレーション、強弱、音量と和声のバランスを整える方向性、自分が今なにをすべきかが見えてくる。
全体をまとめるのは指揮者ですが、歌う全員ひとりひとりが、曲全体を理解することが大切。
曲を全体的にとらえ、伝えたいメッセージや言葉や詩の真髄、作曲家の音楽に込められた世界を、聴く者の心に届けるためには、クラス全員がその伝えるべきメッセージを理解していることが大前提。
そこから、必然的に《こう演奏したい》という音楽的表現が生まれる。
こうして、一人では成しえない、合唱ならではの感動を、誰かの心に届けることが出来る。
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アンサンブルの基本について、来年は色々と模索してみましょう。
パート練習をしっかりとし、一人一人が音程やリズムをしっかりとれるように。
音程やリズムが確実に正しくとれるまで、パート練習でしっかりと練習しましょう。
ある程度パート練習がしっかりと出来たら、他のパートと合わせてみる。
ソプラノとアルト
ソプラノとテノール
ソプラノとバス
アルトとテノール
アルトとバス
テノールとバス
と2声部ごとの練習を何度もする。
自分のパートだけなら歌える人も、他のパートが入るとつられて音程が不安になることも。
そんなときは、徹底的に、曖昧な箇所を練習しましょう。
他の2パートが合わせる練習を、残りの2パートが聞いて、改善点などを話し合うのもいいです。
★必ず、他のパートと合わせた時に音程やリズムが不安定になったりつられる箇所をチェックして、各自パート練習でその箇所を補強すること。
ピアノ伴奏は、歌う際の大きな支えです。
音程のとり難い箇所は、伴奏者にその前後のピアノ伴奏を何度も弾いてもらい、他の声部につられないようにピアノの和声や音を基準にとるのも一つの方法です。
ソプラノやテノールの音程が上ずると全体がどんどん音程狂いますので、ピアノ伴奏の和声や音を基準に聞く耳も、慣らしておくこと。
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全体練習
まずは、「今日はこの箇所を徹底的に練習する」と決めて、細かく分解して合わせる。
最初は音楽表現抜きに、音程とリズムをしっかりととる。全体の響き、音程とリズム、歌詞が正確か確かめながら。
全体練習で、音程やリズムが不安定な箇所は、2パートごとにその箇所だけ何度か合わせ、確認させる。その間、他のパートも自分以外のパートがどのような旋律、響きを歌っているのか、しっかりと聞くこと。心の中で自分の演奏するパートを歌いながら、響きを確認する。
★全体練習の後は、必ず最後に各パートリーダーを中心に、パート練習をする。
不安定な場所を各パートごとにチェックして、再確認する。
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一通り全曲通して、正しい音程、リズム、歌詞と正確な和声、響きで歌えるようになったところで、全員で、歌われる歌詞の内容を再検討するとよい。
「歌う作品のテーマをつかむ」
歌詞をしっかり読み、この詩にはどんなメッセージがあるか。
何を語りかけているのか。
主題は何か、自分たちが感じること、共感すること、イメージ、わからないこと、
とにかく、全員で作品の歌詞を、しっかりと読み、内容を自分たちの言葉にできるまで読み込む。
そして、今度は、その詩に共鳴し感動した作曲家が、詩をどのように音楽にのせたかを再確認すること。どの言葉を、印象的に表現しようとしているか。Pやf、クレッシェンド、リタルダンド…楽譜の中には、作曲家の心(頭)の中で鳴り響いている音楽が忠実に、第三者に伝わるように、沢山の暗号が散りばめられています。「ここはppのハミング、きっとこんな風な回想を促すためだろうか」「ここは、きっぱりと断言するように、緊迫した空気を出すために、マルカートがついている」「ここは、テノールが主旋律を歌うから、それを支えるように他声部は和声を効果的に出そう」などなど。
全体の「詩」と「音楽作品」をとらえた上で、自分のパートがその時々で、どのような役割なのかを理解すること。
ただみんなが元気に大声で歌えばいいのが許されるのは、1年生までです。
●音取りが一通り終わった段階で、もう一度、歌詞や全体の音楽の流れをクラスみんなで検討してみよう!
そして、自分たちなりに、この歌で自分たちが聞く人に伝えたい「主題」を決めること。
それは、シンプルであればあるほど、よい。
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◆音取りも終わり、全体の流れも見えてきて、あとは本番まで、しっかりと歌いこむ。
パート練習は、最後まで重要です。
音楽的な表現で、全員での約束事、各パートの約束事などを、そのつど各パートリーダーを中心に、パート練習で再確認すること。
自分の歌うパートを正確に自信をもって歌えるように、綿密に練習・確認し、
その上で他のパートをよく聞き、自分の歌う旋律と他声部との響きを楽しむ。
「詩」と、作品全体の音楽的な流れを全員が理解し、その中での自分のパートの役割を知ること。聴衆は、全体的に演奏される音楽を聞きます。全体のバランスをとり、美しい和声の響き(正しい音程とバランスよい響き)を目指すこと。
詩が伝わってこないと人の心は打てません。各パートを歌いながらも、主旋律の詩をしっかりと聞けるように。それには、相当、自分の歌うパートに自信と余裕が必要です。
ですから、パート練習が、最後の最後まで、とても重要だということです。
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時間がなくて、一気に書いたので、乱文まとまりなしで、ごめんなさい。
この中から、何かをくみ取って、来年に生かしてもらえればと思います。
今年の3年生で金賞を受賞されたクラスは、ハーモニーの美しさ、そして「メッセージ」を聞く人に伝えたい、というクラス全体の想い、全体的なバランスが抜群でした。言葉がしっかりと胸に届きました。主旋律を支える他のパートも各自の役割をしっかりわかって「全体を把握している」ことがわかりました。ですから、聴きながら、審査をしていることをふと忘れる瞬間があるほどに、歌のメッセージがダイレクトに届いてきました。感動しましたよ。
銀賞受賞されたクラスは、圧倒的な声量とクラス一丸となって演奏している気迫がひしひしと伝わり、難曲を立派に歌いきっていました。もう少し時間があったなら、そこから更に、「他のパートを聞く」「全体の中の自分の歌うパートの役割を知る」「詩のメッセージと感動を届けたい」という一歩先に進めたはずです。そうなったときには、一体どんな名演になったことでしょう。
つまり、時間配分も、重要であるということです。
●選曲
●クラスの目標を決める
●音取り(各パート練習)
★本番から逆算して、何時ごろまでに、各パートの音取りを完成させるか、決めておく。
●他のパートとの合わせ練習(全体の中で各自バランスをとる)の期間を十分に設ける。
→その都度、苦手部分を直すために各パート練習で補強
●全体の通し練習に入る前に、全員で詩や作品の「主題」を再確認しあう。
(これは、一番最初に、選曲の時に話あうだけでは足りません。音取りが出来た後、もう一度、全体を眺めなおすためにも、全体練習に入る前に、もう一度話あうことが大切です)
●作品の音楽的表現や詩を効果的に伝えるために、楽譜を読み込み、指揮者やピアニストを中心として、表現をつける。
→その都度、決まり事の確認や、苦手部分を直すために、必ず各パート練習で補強。
●ある程度、完成。★本番前、何日目くらいに、完成させるか。
●本番まで、より更にクラスみんなで「何を伝えたいか」「テーマは何か」「この詩、この作品の主題は何か」「自分たちはこの作品のどこに感動するか」話し合う。
●最後の最後まで、指揮者と各パートリーダーを中心に、確認事項を復習する。
自分の歌をしっかり歌い、他のパートをよく聞き、全体を把握し、全員でひとつの作品をつくりあげ、詩と音楽の伝えたいメッセージ・感動を、聴く人にしっかりと届ける。
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1年生に求められるものは、「のびのびと声を出しているか。表情はどうか。クラスのまとまりはどうか。」ということでしょうか。そして、上級生たちの演奏から、大いに刺激と感動を受けることです。
2年生、3年生は、すでに前年で先輩達の演奏で刺激を受けているのですから、計画的に本番に向けて取り組んできていたはずです。そして2,3年生は演奏で「感動を与える」ことができるはずです。
学校行事の意味は、クラスの目標達成へ向かって、みなで選んだリーダーと各係を中心に、全体でひとつのものを創造するために、知力を結集してみなで計画を立て、各自の才能・個性を如何に生かして役割分担をし、互いに補いあい、全体で一つのもの創造する、目標を達成させる、ということでしょうか。
合唱祭に関していえば、目標やテーマ、選曲、役割分担、リーダーシップ、練習方法も大切ですが、中でも時間配分が重要でしょうね。
本当に、学校行事って、子供達の智恵と才能、個性の発揮、自主性と同時に他者の個性を認め協力しあう力、それぞれの能力を出しあって、一人では成しえない大きなものを作り上げるための全ての知性を合わせる作業ですね。
とにかく、素晴らしい合唱祭でした。亀田中学校のみなさまに、心から惜しみない拍手を!
金賞・銀賞だけでなく、他のクラスにもそれぞれに、そのクラスにしかないよさを認めた賞をあげたかったです。
音楽の岩崎先生のお力と生徒達への愛情、音楽や芸術への情熱を感じました。
岩崎先生は国立音楽大学オルガン科を主席で卒業され、新潟でご活躍されたオルガニストです。このような師に、中学時代に出会えたことは、学生のみなさんの宝です。
いつか大人になっても、中学時代にクラスみんなで練習し、時にはぶつかり合い、涙し、励まし合い、最後まで歌いきった合唱曲は、忘れないものですよね。
その歌を口ずさめばクラス全員が中学生時代の「今」を、一気に思い出す。
いつか、大人になって、本当に苦しい時、辛い時、挫折しそうになった時、歓びの時、悲しみの時、幸せなとき、ふと学生時代に歌った合唱曲を突然思い出し口ずさみながら、その時になって初めて「その詩、その歌」に込められた本当の意味が分かり、心からその言葉に励まされたり。そして「自分はひとりではなかった」と気づいたり。
アンサンブルの意味は、すべての人間関係、恋人や家族や友だち、先輩後輩、職場、社会、地域、政治、国家間の問題、自然界、色彩や光、音、原子から宇宙の星ぼし天文学まで、すべてに当てはまるなぁ、と思うこのごろ。
乱文失礼。
幸運あれ