2018年7月29日日曜日。

オランダTVで「誘拐-狙われたハイネケン(原題オランダ語De Heineken Ontvoering)」を観ました!

ぜひおすすめ!

 

1983年世界有数のビール会社、ハイネケンの社長が誘拐され、当時史上最高の身代金1,000万ドルでした。
欧州を震撼させました。実話をもとに映画化されたものです。クライム・サスペンスです。

あのオランダの名優Rutger HauerがFreddy Heineken役です。老いてなお怪演・恐演です!

もちろん、ただの老いぼれたヨーロッパで1、2位の超富裕層で、創業者一族の親の七光りで大金持ちになったおぼんぼんで哀れな老いぼれたCEOではありません!

 

ここからネタばれですが・・

どのくらい事実と同じなのかわかりませんが、最初は4人(実際は5人だそうです)

の犯人の日常が描かれています。

中流階級だけれど、仕事がうまくいかない。親も病気がちで、主犯格の青年は親の介護をしたり、友人達や家族と誕生日を祝う、どこにでもあるごく普通のオランダ人の青年達の日常と家族の風景です。

犯人達は2年かけて調査をして、ハイネケンのCEOが愛人の家にいるときは、ボディーガードがいないので、誘拐を実行します。、犯人が素人っぽくひやひやさせられます。用意周到に準備した誘拐先のアジトは、ネットやスマホのない時代に、監視モニターやカメラをつけたり、隠し扉をつけ、スポンジで厳重に防音効果を施したり、盗難車をカモフラージュに使ったり、当時としてはかなりハイテクを駆使したアジト。

ハイネケン氏は監禁されている間に、一番若い主犯格に心理的にも肉体的にも追い詰められていきます。またその犯人も彼の人生はまったくうまくいかなかったのに、、ハイネケンを誘拐に成功したことで、世界でもトップの超富裕な老人を、暴力と恐喝で従わせることに快感を覚えていきます。犯人役の俳優の狂気的な演技がリアルです。結局、匿名の通報でハイネケン氏と運転手は保護され、犯人達は身代金も受け取り、逃亡し、これでめでたし、めでたし(?)なんですが、後半は、ハイネケン氏が執拗に犯人を狂気的に追い詰め、追い込んでいきます。どっちが凶悪犯罪者なのか?はらはらどきどきです。ハイネケン氏がありあまる財力と権力、ネットワークを使って、フランスに逃げた犯人2名をどうやって逮捕するのかが見ものです。

私のオランダ語があやふやなのですが、どうも1983年当時は、オランダフランス間で犯人引渡し条約がなかったのでしょうか。2名は3年間フランスに逃げますが、ハイネケンはシントマールティン島に犯人を移送することに成功します。シントマールティンは北半分がフランス領で南半分がオランダ領。ハイネケン氏は策をめぐらし、フランス領の住民に犯罪者が潜伏している情報を流し、わざと暴動をおこし、犯人達をオランダ領に逃げるようにしむけます(!)オランダ警察に逮捕され、

最後のシーンが印象的です。ハイネケン氏が「どうして私がきらいなのか」ときくと、犯人は「別に。あんた、おれが怖いんだろ」不敵な笑みを浮かべて警察に連行されていきます。実際のハイネケン氏は10代から普通の販売員としてハイネケンに入社しました。この当時は、すでに創業者一族は、経営から退いていました。フレディハイネケンは、下働きの販売員として、こつこつと実績をあげ、マーケティングや経営を勉強し、ハイネケン社の株を少しずつ買いためていきます。そしてついに、持株会社を設立して経営者になった、たたきあげの人物であることがウィキに詳しいです。この後の実話もすごく面白いですが・・

レム役の俳優さんはReinout Scholten van Aschat(覚えにくいオランダ的名前ですよね!)で、この作品で金の子牛賞を受賞しています。心根優しく、寂しく病気の親を思い介護をけなげに続け、家族思いの孤独で無力な青年が、仕事がうまくいかない、運転免許もとれない、不景気で未来がない若者。たどたどしい素人のようなちょっとした犯罪の使いっぱしりができる程度。金も名誉も愛人もいて、世界的業績も輝かしいハイネケン氏を誘拐・監禁が成功できたこと、暴力をふるったり脅迫したり追い詰めることで、自分の内に秘めていた悪にめざめて、大きな犯罪が自分にはできる自信と確信、真の凶悪犯に変貌していく狂気を怪演しています。

なんたってあの怪優Rutger Hauerがおどおどと羊か子供のように怯えたり、泣いたりするしょぼくれた老人で、若く、野心的で、かつ残忍で恐ろしい犯人役Reinout Scholten van Aschatとこの2人の名優がばっぷり組み合う怪演が、すさまじい化学反応を起こして、見ものです。Reinout Scholten van Aschatは、これからますますの活躍が楽しみな俳優さんです。

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