火曜日はたいてい、恵比寿の酒場で飲むことにしている。
しかし、3月はあまり来られなかった。
3月の最初の火曜日に伺ったのが最後、次に訪れたのは3月最終の火曜日になってしまった。
久しぶりに訪れたら、注文するつもりでいた「牡蠣と九条ネギの治部煮」がメニューから消えていた。
もう牡蠣の季節は終わりとのことだった。
フキノトウの天ぷらも。
幸いタラの芽の天ぷらは存在したので、それを頼んだ。
時短営業が解除になったせいか、今までは一人だったバイトの女の子が二人に増えていた。
どちらも以前、ここで会っていたが、一人の子の名前が思い出せなかった。
女の子同士で、お互い名前を呼びあってくれないかと、さりげなく聞き耳を立てていたが、そういう時に限って、その機会は巡ってこないものだ。
結局、最後まで不明のままだった。
「あれ、お名前なんだっけ？」
言えそうで言えないんだな。
