できん? | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

新白河駅には新幹線が一時間に一本しかとまらなかった。

先の新幹線は行ったばかり。

次の新幹線が到着するまでは約一時間あった。

だが、我々が選択したのは次のではなく次の次の新幹線だった。

夏休み時ということもあるのか、次の新幹線では隣り合う指定席をとることができなかったのだ。

夫婦バラバラに座っていくというのも事と次第によっては妥協しなければならないが、次の次の新幹線だったら取れるというのだから、それを購入しない手立てはなかった。

それに約二時間もあれば、ここらで一杯呑っていくことができる。

新白河駅近くには昼から飲めるお誂え向きの良いラーメン屋があったりするのだ。

午後2時過ぎであったが、伺うと店は営業しており、我々はテーブル席に通された。

まずはビールを頼み、メニューを吟味する。

 

 

ラーメン屋だが、酒のつまみが揃っている。そして安い。

恐らくに夜は居酒屋として地元の人に愛されているに違いなかった。

俺は数々のメニューの中から、お新香盛り合わせ、おつまみチャーシュー、餃子を選択した。

折角白河にいるのだ、名物の白河ラーメンを食べない手はなかったが、その注文はまだあとで良い。

しばらくすると注文した料理が届く。

それらを見て俺は「えっ!」と思わず二度見した。

どれも、えっ!と目を丸くするくらいボリューミーだったのだ。

 

 

しかし、その辺の料理についての描写は今日の本題からは外れるので、割愛する。

今日の話の主題はここからだ。

そんな料理をつまみながら酒を飲んでいると、ふらりと一人の男が入ってきた。

しかし、彼を見るなり、お店の店員が、

「ごめんなさいね、3時ラストオーダーなんです。」

と言った。

「あ、そう。」

彼はそういうと、ぷいと店を出て行った。

時計を見ると、3時5分。

店には他にも食事をしているお客はいたから、まだ、いてもいいのだろうけど、すでにラストオーダーが過ぎていたとは知らなかった。

俺は慌てて、手を挙げると、店員に聞いた。

「今からラーメン頼んでも遅いですか?」

「ちょっと確認してきますね。」

彼女はそう言い残すと、奥の厨房へと消えた。

暫くすると顔を出し、笑顔を見せて

「大丈夫だそうです!」

と言った。

俺は、あわてて、この店一押しであるというラーメンを注文した。

それから、お酒の注文もまだ可能か尋ねた。

「大丈夫ですよ。」

にっこり微笑むと彼女はそう答えた。

ほっと、俺は胸を撫でおろした。

 

 

というのにだ!

 

なんとそれからしばらくして、入ってきた先ほどとは別の客には、

「いらっしゃいませ。」

と席に通しているのだ。

客も慌てた風もなく、普通に料理を注文している。

そうしているうちに、子供連れの家族客も入ってくる。

店の人はラストオーダーのラの字も発さない。

どういうことだ。

3時ラストオーダーじゃなかったのか。3時ラストオーダーって言うから、慌ててラーメン頼んだんじゃないか?

俺はとても混乱した。

俺が知らないだけで、後から入ってきた客たちは、実は店の超常連さんだったりするのか?

なんて思っていると、スーツケースを引いたカップルが、

「二人いいですか?」

と入ってくる。

これにも店の人は、「どうぞどうぞ!」と席へ案内している。

どう見ても彼らは一見、旅行者だ。

まったく訳が分からない。

一人脳内論争を繰り広げた結果、俺は一つの結論に辿り着かざるをえなかった。

もしかして、もしかしてだけど、ラストオーダーと言われた彼は、もしや・・・

 

以下、タイトル。

 

 

まあ、俺の想像の範疇、実際、本当のところはどうなのかわからないのだけれど。

真相はともあれ、おかげで、こっちがあたふたしっちまった。

まったく、そんなこんなで、せっかくのラーメンの味、思い出すこと、

出来ん

のだ。

 

ではまた。