Welcome to the kitchen calfornia | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

ハワイに来た初日、行く当てもなくて、たまさか入ったら美味しかったサラダとピザの店、滞在3日目の昼も、また行ってみた。
この時は、同じ店が日本にもあるとは、まだ知らない。
ハワイにしか無いものだと、とてもありがたがっていた。
今回は白ワインじゃなくて、赤ワイン、それもボトルで注文した。
前回来た時に、良くしてくれたエラ・フィツジェラルド似の女の子の姿はみえなくて、代わりに錦織圭似だけどアメリカ人の青年が、担当してくれた。
食べ物よりも先に赤ワインを注文した俺に、彼は何かを言うと笑顔を見せ、それからグッジョブって言う時にやるように右手をグーにして親指を立てて見せた。
なんて言ったのかわからないけれど、おそらくに、
「お、昼から飲んじゃう?!いいね、このワインおすすめよ!」
的なことを言ったんじゃないかと思う。
曖昧な笑顔を返した俺をそのままに、彼はいったん店の奥に引き返すと、ワインボトルをもって戻ってきた。
それから、器用に栓を抜き、グラスにちょっと注いでくれた。
テイスティングしろ、ということらしい。
俺はどうも、このテイスティングってのが苦手だ。
こっぱずかしい。
100%、絶対に、「このワインまずい、交換して!」ってなることはあり得ないのだ。
だから、そんな儀式的なことはカットして、じゃんじゃん注いでくれていいいのに、(いや、それすらも余計だ。自分で注げるから、栓を抜いたら、あとは勝手にやらせてほしい。)、だけど、そうされたら断るのも失礼かつ面倒で、とりあえず鼻にグラスを持っていき、クンクンとその香りを嗅いだりする。で、ちょっと口に含んで飲む。人によってはそこで口の中に入ったワインをクチュクチュやる人もいる、というか、それが正しい作法なのだろうけど、あれだけは勘弁してだ。俺はワインにそれほど詳しくもないし薀蓄垂れるほどの知識もない。選ぶ基準は一番安い!だ。そんな安いワインを、クンクンクチュクチュ、終いに「うん、いいね!」なんて、なにが「いいね!」だ、俄野郎!身の程を知れ。分かりもし無いのに通ぶってんじゃねえ、って話だ。ああ、見てるこっちが恥ずかしい。ってやってるの俺なわけだけど・・・
しかしながら、こうしてテイスティングどうぞ、とやられてしまうと、それをせざるを得無い。だからクンクンしたあと、口に含んで、クチュクチュはカット、すぐさまゴクリと飲んで「旨いね!」と笑って見せる。仮に、なんだこりゃ?!ってくらいまずくっても、同じことをする。
もちろんこの時も同じことをした。ワインは普通においしかった。
にっこり満足そうに笑って見せた俺に、彼も笑うと、妻のグラスにそれを適量注いでくれた。それから、俺にも注いでくれ、エンジョイ!と言い残すと去っていった。
咄嗟に「さんきゅ!」と返したものの、あわてて俺は彼の背中に呼びかけた。
「えくすきゅーずみー!ふーどめにゅー、ぷりーず。」
食べ物の注文も取ってよ、と言いたかったのだけれど、咄嗟に気の利いた英会話が浮かぶほど、俺は英語に慣れてないのだ。
そんな俺に彼は振り返ると、おでこに手をやり、おーやっちまったぜ、的な照れ笑いを浮かべ、戻ってきてフードメニューを手渡してきた。
で頼んだものは、俺は前回と同じワイルドマッシュルームピザのトリュフオイル添え。妻はコブサラダ。
もちろんお互い折半して食べた。







すべて食べ終え、満足していると、また担当の彼がやってきて、デザートにケーキはどうかと勧めてくる。
しかし、もう十分だ。
アイムイナッフ、と俺は言った。
OK
彼は軽い調子でそう言うと、にこやかに伝票を置いて去っていった。
アメリカはチップ制だ。
最低でも飲食代の15%はチップとして支払わなければなら無い。
レシートには、飲食代の15%から18%、さらには20%の値段が、計算しなくて済むようになのか、すでに記載されている。
支払いはカードですることにして、チップ代は別に現金でおくと、俺は彼を呼んだ。
15%分のチップで11ドル、20%分のチップでも14ドルくらいだったと思うのだけれど、手持ちがなくて俺は10ドル紙幣1枚と5ドル紙幣を1枚をカードとともに彼に手渡し、唯一、これをレストランで言えば好感が持たれること請け合い、と聞いて知っていた英語のセンテンスを言ってみた。
「きーぷざちぇんじ!」
彼は嬉しそうな笑みを浮かべ、サンキューと言うと、それらを持ってレジに行き、カードとサインする伝票をもって戻ってきた。
伝票にサインして手渡した俺に、彼はカードを手渡すと早口でなにかを言った。
たぶんに、come again!(また来てね)的なことを言ったんじゃないかと思う。
だけど、俺はもう明日には日本に帰る身の上だった。これが最後だった。
だけど、財布にカードをしまいながら俺は言った。
「OK!」

OKとサンキュー、それにキープザチェンジ、さえ知ってれば、英語しゃべれなくてもハワイのレストラン、なんとかなるものかもしれないね。



しかし、日本にもすでにあったとは。
近々、ラゾーナ川崎行ってみよう。

ではまた。