本当のご馳走 | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

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ネットの情報が正しければ、店の営業日は水、金、土。
週に三日しか営業していないというのも、それに拍車をかけるのか、半年に一回の予約受け付け日のみで、半年分の予約が埋まるらしい。

予約受け付け日、店のファンは朝からリダイヤルを繰り返す。
ようやく繋がったと思いきや、すでに席はあらかた埋まり、空いているのは、行けるかどうか定かでない五ヶ月後。
それでも、それを逃す手はない。
「折角のチャンスなんだし、とりあえず抑えておかなくちゃ。」
予約人数は最低2名、最高6名。
「この際だし!ここは6名分でとっておこう!誘えば誰かしら来るって!」
そして、5ヶ月も先の金曜7時からを6名分で予約する。
が、予約日が迫った10日前、事態は思わぬ展開を見せる。
一緒に行くはずだった仲間からはキャンセルが相次ぐ。
結局あてにしてた仲間は誰も来れぬ。それどころか、自分自身もまさかの社命でその日は海外出張ど真ん中。
二進も三進もいかぬとはまさにこれ。
さて困った、どうしよう。
そんな時、ふと脳裏に浮かんだ、あの男!
Yes!ミスター代打マン!
ヒズネームイズ、まりるたん!
まりるたんにお願いしちゃおう。彼にすべて丸投げだ。
しかし、振られて安請け合いしたものの、さすがの代打マンまりるたんも、今回は困った。
一人欠員が出たから参加してって話ならともかく、6名全部揃えてって、それも予約日が差し迫った10日前!
そいつは無謀って話に他ならなかった。
もともと友人は少ない方。誘われることはあっても、自ら誘って誰かと飲みに行くようなことは滅多にない。
そんなまりるたんに、どうしろと?
だけど、まりるたん、彼にも彼を助けてくれる友人、そして妻がいた。
彼は決して独りではなかったのだ。
急遽のお願いにもかかわらず、ご一緒してくれる友人が、彼にもいた。
この日、こだわりの料理やら、厳選されたワインやら、なんて彼にとっては二の次だった。
まりるたんにはみんなの温かい優しさが何よりのご馳走だった。
ほんとうにありがとう。
寒空の下、遠路はるばる集ってくれた友人たちと、ひとつのテーブルを囲みながら、彼らの笑顔に包まれ、彼は人知れず涙した。