恩地奉公再び | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

唐戸の船着場で降りたものの、特に今後の目的が定まっているわけではなかった。
さて、これからどうしたものか?
結局の所、飲んで喰うことしか頭に浮かばないから、我ながら全く呆れた話だ。
俺は去年行った店を思い出した。
夜は高くて手が出ないが、昼は夜の10分の1の予算でなんとかなる。
「去年も行ったアソコ、また行ってみようよ。」
俺は船を下りてすぐに目に入る、とても廉価でふくを食べられるのだけれど、味がちょっと・・・な、店の造りもどこか安普請なふく専門店を見つめながら、妻にそういった。
「もうアタシ、そんなに食べられないよ。」
と文句をいいつつも結局妻はつきあうことに了承してくれた。
もちろん向かうのは目の前の店ではない。
大通りを越えた向こう側にある老舗料亭だ。

しかし、港からすぐのホテル前から、大通りにかかる歩道橋を渡り向こう側に行き更に裏通りに入ったところで、俺は頭を抱えてしまった。
ダメダ。
店の場所が思いだせない。
店の場所以前に、店の名前も分からない。
「確か、ここ右に行ったところじゃなかったっけ???」
そういって不安げに右に進もうとする俺に妻は言った。
「オマイさんが右って言うことは、おそらく、いや絶対に左だって!」
だが俺は妻の意見には耳を貸さず、右方向に突き進んだ。
進行方向左側に目的の店はあるはずだった。
俺の記憶が正しければ・・・・
しかし、行けども行けども現れるのは保健所やら市役所で、いつしかさっきの大通りへと出てしまっていた。遠くに港の見えるホテルが見えた。
おかしいいなあ・・・
踵を返し、逆方向に戻った俺だが、市役所を越え、保健所を越え、さっきどっちに曲がるか迷った交叉点に戻り、それからさらに約30秒いったところで、進行方向右手に目的の店が見つかった。
妻が、ほらね!って顔で俺を睨んだ。

以上、恩地奉公※1はここ下関でも顕在でしたという話でした。


さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

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さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?


※1:方向音痴の隠語です。