ランチを狙え | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

急遽、下関に向かうことになり、それならば旨いふく(ふぐとは言っちゃいけないそうである)を食べてこよう、と、インターネットのグルメサイトを検索していると、ある店の情報が目に入った。
料理や接客の評価は申し分なく、場所も降り立つ港から近いらしい。
言いおくれたが、下関には門司港から船で行くことにしたのだ。
船旅も楽しんじゃおう、というと聞こえはいいが乗船時間はたったの5分。なんだか、大きな川を渡し舟に乗って渡るような気分だ。
門司港から出た船は下関の唐戸に着く。ちょうど唐戸市場があるあたりだ。
そんな唐戸の港から、歩いてすぐの所にそのふく専門店はあるらしい。
なんでも明治時代から続く老舗とのこと。
それじゃあ、ここいってみようかのう!と利用者平均利用金額の欄をみて、俺は頭の混乱を避けられなかった。
なんだこりゃ?
平均利用金額は夜の部門と昼の部門に分別されており、方や夜の部門は30000円~なのにたいして、方や昼の部門は1000円~1999円。
これって、どういうことよ?
もしかしてどちらか、一桁間違って表示してるんじゃね?
夜喰えば、30000円かかる料理が、幾らランチタイムだからって、昼にはその10分の1以下で食べられるってことは、ありえなくね?って話だ。
そして俺は思い出した。そのグルメサイトのはじっこのほうに小文字で書いてある注意書を。

「みんなで作るグルメサイト」という性質上、店舗情報の正確性は保証されませんので、必ず事前にご確認の上ご利用ください。

事前に確認するまでもない。
これは絶対に表示ミス。
ふく料理が夜に3000円で食べられるわけがないから、30000円は正しい表示だろう。
おそらく、アレだ。
昼は10000円~19999円と表示するはずだったのだ。
なにかの手違いで、レビュアーの誰かが、そう打ちこんでしまったのだろう。
俺もよくやるから、気にすることはない。
確定申告の時なんざ、いつも一桁違って打ちこんでいる。
まあ、たぶん、そこには、そうであって欲しいという俺の儚い願いが籠もっているんだとも思うけどね。
結局の所、4月の初め頃、お役所から直々に、「納税全然足りねえんだよ、オラ!誤魔化してネエで、ちゃんと払え!期日までに払わんと、脱税でしょっ引くぞ!」とお達しが来て、「すんません。脱税するつもりなんざ、これっぽっちもなかったんです。つい記入を間違えてしまいまして。申しわけありません。」となけなしの追徴金握り締めお役所に駈けこむことになるのだ。

たしかになあ、ふく料理が1999円未満で味わえるなら、そりゃあ素敵なことだわなあ・・・
1999円以下で食べられるって書きたい気分はよくわかるが、しかし、現実はそう甘くはないさ。
しかし、いずれにしたって、夜30000の料理が昼は20000以下で頂けるんだ。
こりゃあ、折角ここまで来たんだし、ちょいと奮発して、そこにいってみようかのう!

俺は、港に着くと、まっ先に店に向かった。途中、レトロな建築物が目に入ったので、そこも経由して行った。

店はあっけなく見つかった。
明治からの店と聞いていたので、先程経由してきたレトロな西洋建物をも凌駕する古い日本家屋の料亭かと思っていたが、鉄筋コンクリートの建物だった。
しかし、通りに向かって堂々とした店構えは、店の自信、誇り、気高さを感じさせた。
逆に、そういったものを持ちあわせていない俺としては、そんな構えを見ただけで、ちょいと逃げ腰になる。これは関わらない方がいいんじゃないか、ともう一人の自分が耳打ちをしてくる。
俺は、店に入る前に、改めて、もう一度、店頭の大きなガラスばりのショーケースを確認した。
そこには多数様々なふく料理のサンプルが並べられ、その脇にそっと御値段が書かれたプレートが添えられていた。
ふく刺し一皿10500円、ふく白子刺し一皿6300円の表示を見た時には、なにも見なかったことにして帰ろうかとおもったが、ふく料理は入っていないようだったが、他の刺身やら唐揚げやら茶碗蒸しやら釜飯やらが付いたコース料理が3000円くらいからあるらしい。これならなんとかなる。
ふくを食べに来たのに、それを食べずに帰るのは悔しい気もしたが、そんなことはここに限った話じゃないし、俺に限った話でもない。
現地視察という仕事をしに海外に行ったはずが、現地観光、グルメ三昧だけして帰国した、なんて、よく聞く話だ。

俺は意を決して店に足を踏みいれた。
上品な店員さんが、嫌な顔ひとつせず、「いらっしゃいませ。」と迎えてくれた。
入ってすぐの広間には生け簀があって、中ではたくさんの虎河豚が泳いでいた。
天然とらふくです。
店の人がそうおしえてくれる。
それから、部屋へと案内してくれた。

部屋に入るとメニューを渡され、注文が決まったら呼んでくれと丁寧語で伝えられた。
まずは酒だ。
と、酒のメニューをみて、あれ?と俺は腰を掬われたような気分になった。
もっとお高いのかとおもいきや、そこに表示されたものは、そこらの居酒屋と変わらないくらいの御値段だった。
ふく刺しをみると、店頭に飾られていた10500円の皿というのは3~4人前で、一人前は2200円かそこらで存在した。
なにより目を疑ったのが、ふく刺しこそ入ってはいないが、白身魚のお刺身と、珍味三種と、ふくの皮と、茶碗蒸し、ふく唐揚げ、それにご飯と御味噌汁に御新香のランチセットが、本当に1980円で存在した。
小さな皿に薄く盛られたふく刺し一人前のほうが、ランチセットよりお高いことが気にならないわけではなかったが、結局俺は900円の日本酒と、ランチセット、それにふく刺し一人前を注文していた。
ランチセットは予想以上に充実していた。
ふくの皮は、コリコリとして変な臭味もなく、おそらく今まで食べた中で最高だった。
御味噌汁にもふくが入っていたのは驚きだった。
なによりもふく刺し。こんな歯応えのしっかりした、香りも良い、ほんのり甘みもあるふく刺しははじめてだった。

それから俺は少しでも、これって嘘じゃね?と疑ってしまった某グルメサイトに対して、申し訳ない気分でいっぱいになった。彼等は全然嘘なんて吐いてなかったのだ。

ゴメン。
疑った俺が間違っていた。
だから、俺も偶にはホントのことも言おうと思う。

下関でふく!と思ったら、とりあえずは、

ランチを狙え!

ってことで、どうぞ宜しく。<(_ _)>

さてと、今夜はどこ行く?

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