それは俺が青森でひとり呑んでいる時だった。
携帯電話が震え、みるとメールが届いていた。
開くと、俺の憧れの揚巻(仮)姐さんからで、今度の土曜日、都内横断居酒屋巡り、どう?との内容だった。
「行きます!」
と即答した俺がいた。
姐さんが指定してきた最初の店は大門の三時半開店のお店だった。
普段から約束の時間の30分前にはつくようにしている俺だから、この日も、3時には大門についていた。
もちろん店が開いていないのは承知の上。それ迄の間、俺は近所の喫茶店にでも入っているつもりだった。
しかし、店の前を通ると、なぜかもう既に店は開店していて、店内は既に呑みはじめている客の姿でいっぱいだった。
「もういいんですか?」
そう訊ねる俺に、店のお兄さんは、
「お二階どうぞ!」
と、無駄を省いた回答を告げた。
エレベーターに乗って二階にいく。
そこはまだ比較的空いていた。
レモンサワーを頼み、俺は早速姐さんに、もう到着したとメールを送る。
それから暫くして姐さんは現れたのだが、他にも美女三名と伊達男お一人も御一緒で、そこに俺の妻の姿もあったことにはビックリした。
そんなわけで、美女4名と美男子お一人に囲まれながら呑んだわけだが、お店のお姉さん達が、どうも姐さん達や俺にはどこか冷たく、伊達男さんには、常に優しく笑顔だったのは、どうしてかね?
もしかしてアレかね?
「もう助六(仮)ったら、いつもは一人のくせに。こんなに他の女連れてきたりして!しかもアタシより若くて美人じゃないかい!ああ悔しい!アタシ、もう許さないんだからね!」
って、店のお姉さん達を怒らせっちまったかね?
ったく俺って奴は・・・・罪な男だぜ。
おい、オマイさん。罪な男さん!
妄想もいいかげんにしておきなよ。
ほら、もう次行くよ!
目を開けると妻が俺を揺すっていた。
あれ、揚巻さんは?
揚巻姐さんなら、とっくに先にいっちゃったよ。
おーい待っちくりーーーー!!!
と外に飛び出すと、もう闇夜。
慌てふためく俺の背に店のお姉さんが叫んできた。
「次は新橋だって言ってたよー!」
ありがとよ!
振りかえってそう礼をいうと、新橋向かって駆け出した。
っていうのは75%くらい俺の妄想なので、あまり信用しないで下さいね。