田酒色々 | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

さてと、今夜はどこ行く?

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当時、青森に転勤になっていた御近所の和池(仮)氏が、こちらに週末戻られると聞いて、急遽集まることになったのは三軒茶屋の居酒屋だった。
地図で見ても、わかりづらい路地奧にあり、よくこんなところにあるお店御存知だなあ、と、戸惑いながらきょろきょろゆっくり進んでいくと、その店はあった。
知る人ぞ知るお店なのか、驚いたことに奧の路地では店の入り口を先頭に軽い行列が出来ていた。
どうやらすんなり入って席に着くには、予約必須のお店らしい。
店の前に屯する数名の人々の脇を通りぬけ、入口を潜り店内を覗く。またも驚いたことに、まだ日が落ちて間もない時間だというのに、店内もほとんど客でいっぱいだった。知る人ぞ知るというより、知っている人は皆知っているその筋では有名なお店らしい。店員さんに予約名の和池氏の名を告げると、どうぞ、とすんなり通された。
生憎、この日の呑み仲間は誰も居らず、4人垳のテーブルに通され、俺は独り隅に座った。
入口に背を向けて座っても良いのだけれど、そうしたら、仲間の誰かが入ってきた時に気付き難いだろうと、入口の方を向いて座ったのだが、それはそれで、外で空席を今か今かと待っている列の先頭の客とチラチラ目が合い、なんとも気まずかった。参ったなあ・・・と取り敢えず頼んで届いた生ビールを呑んで正面と目をそらし、一息吐いたところで、よく考えたら、今日の仲間の顔は和池氏しか知らないじゃないかということを思いだした。
和池氏のお友達の女性が二人いらっしゃるとの事だったが、どんな方なのだろう?
彼女達は俺を見てがっかりしないだろうか?
はじめてのお店というだけでも硬くなっていたというのに、俺の緊張にはますます拍車がかかった。
やっぱり、入口に背を向けて座っとくかな?!と、席を立ち上がろうとした、その時、入口から女性が二人入ってきて、店員さんに和池氏の名前を告げた。
店員さんが答えるより早く、俺は知らず知らず、手をあげて振っていた。

っていうことは、どういう俺の心境変化を意味するのか、書かないけれど察して欲しい。

すぐに和池氏も現れて、4人で多数の日本酒にお料理を楽しんだ。
そう、ここはその筋、つまり日本酒通の方の間では、有名な居酒屋だったのだ。
ここ一年でさらに青森に詳しくなられた和池氏が、青森の美味しいお酒を教えてくれた。
もちろんのこと、この店でもそれは用意されていた。
女性の一人も青森の出身らしく、同じようにそれが美味しいと言い、自らさっそく注文されてた。
俺も、同調し、それを頼んだ。
名前が同じでも年代やら製法やらが違うものがいくつかあって、それらの幾つかを飲み比べたりした。
たしかにどれも味は美味しかったと記憶しているのだけれど、随分と時間が経過して、どう美味しかったのかとか、どんな香りがしたのかとかは今は巧く説明できない。
ただ、あの時の呑み会は楽しかったな、ということを、今も時々思いだす。
ちょいと恥ずかしい事も話しちゃったな、と、ふっと偶に赤くなる。

もう何年も前の話しだ。
和池氏はとっくに青森の赴任を終えて東京に戻られ、御結婚もされた。
二人で呑みに行くことも少なくなった。

それから、いつのまにか青森にも新幹線一本で行けるようになっていた。

今年は青森に行ってみようかな、なんて、考えている。

回想改装10