今二 | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

さてと、今夜はどこ行く?

イマイチというか、イマニくらいなんだけど、なんか好きなのよねえ・・・
ってモノって、誰にでも一つや二つくらいあると思う。
それは、走るには走るが、いつもどこかしら故障している、欧州製の懐古車であったり、
空っぽのくせにしっかり重い、そのくせ大して詰め込めない、餅入り巾着型の象革バッグだったり、
風がちょっとでも吹いたら火がつかない、それとは逆が謳い文句のオイルライターだったり、
何かにつけて口をとがらし、結局何にもしてくれない、小学館発行の月刊女性ファッション雑誌モデル似の30前後の秘書だったりする。

さてと、今夜はどこ行く?

全部激辛で、お願いね!

さてと、今夜はどこ行く?

そう、最初からお願いする俺に、お店のお兄さんは、分かりました。と簡潔に答えた。
そして、ある壷を持って来た。
「足りないようでしたら、こちらを追加して下さい。」

さてと、今夜はどこ行く?

それはまさに魔法の添加物だった。

さてと、今夜はどこ行く?

物足りなく思えた辛さも、それを加える事によって、満足以上の辛さに、変化した。

さてと、今夜はどこ行く?

後乗せだと、均一にそれを配合出来ない所が、悔しい所だった。
局所的に、鋭い辛さが、時々俺を襲った。

さてと、今夜はどこ行く?

最後は、壷の中身だけを摘んで、呑んでいた。

さてと、今夜はどこ行く?

どれもこれも旨いには旨かったが、できれば最初から、調理の段階で、これを加えておいてもらえれば、より美味しかったと思うんだけどな・・・

そう思いつつした会計は、前回に比べお安かった。

さてと、今夜はどこ行く?

なんつーか、イマイチ、いや、イマニくらいなんだけど、好きな店。