若鮎 | maririnのナチュラルダイエット

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例の、気になるお店に来てみた。


昼だけの営業なので、

ナカナカ、お目にかかれない。

この度の連休は、

いつものように、大阪に帰らず、

何としても、

あの店のお祖父さんに会おう。


「店を貸してやる」と、言ったのが、

お愛想(間違いなくそうだろうが)なのか、

どうか、確かめたかった。


そうでないと、私の妄想は、

お祖父さんの意向を全く無視して、

どんどん膨らみ、

老人カフェから、山の中のパン屋さんへ、

(イイでしょう。憧れなの。

アルプスの少女ハイジみたい。)


それとも、

大原からの野菜を売る八百屋さんかな?

もしかすると、

北海道の、森のレストランを真似して、

カレー屋さんも、いいかも、

(でも、あそこには、

メインの鹿肉ステーキがあった。)


いやいや、やはり、ここは、

お店の形態を引き継いで、

手打ちそばか。

(でも、一体、だれがやるんだ?)


いっそ、M子さんの草餅を売ろうか。

(しかし、よもぎ摘みが大仕事だと

聞いているゾ..)


自分がどれ程グータラなのか、

まだ充分、自覚していない私は、

膨らませては、潰し、

膨らませては、潰して...


またまた、

外食を舐めてる発想ではあるが、


「森のピザ屋さん」

に落ち着いた。

(森の、というのが、ポイント)


理由は、シンプルで簡単そうだから。

私にも、できる(ような気がする)


大原野菜たっぷりのピザ。

じっくり、石窯で焼く。

(時間がかかるが、待つ時間も楽しんでもらう。)

京都には、京野菜のピザを出す店が多いが、

私の店のは、野菜がメインというくらいたっぷり。

ハーブも、もちろん、自家製。

できれば、粉は、北海道産を使いたい。

私が和食に応募して、配属がイタリアンだったのは、

この為だったのよ。きっと。

あ~、もう、これしかないわ。

(私がしているのは、ピザに乗せる万願寺唐辛子の種取りだけだが)


私の妙案に、娘は、

「お母さん、また!

今度は、ピザ屋を舐めてるわね。

お母さんみたいに、何でも焦がす人が、

ピザを上手に焼ける訳ないじゃない。

いい?一枚焼くんじゃないのよ。

10人のお客さんが次々来て、

10枚を時間差で焼いたりするのよ。

釜は熱いし、

あ~焦げちゃった、

熱くて落としちゃった、

切ったら、壊れちゃった。

って、ハチャメチャになるのが、

目に浮かぶわ。

ムリ、絶対、ムリ。」

と、容赦なく、バッサリ切った。


そう言われると、フツフツと、

チャレンジ精神が湧く。

「森のピザ屋さんになる!」


前日から、段取りを整え、

朝1番に、洗濯、掃除を片付けて、

お店がオープンする11時に向った。


しかし、

お祖父さんは、私の事を、まるで、

覚えていなかった。

当然「貸してやる」と、言った事も。

そういう会話をした事すら、

記憶になかった。



昼だけの二時間半の営業は、

(先日は、営業時間は、

11時から1時と言っていたが、今日の話では、

11時半から2時に、変わっていた。

しかも、朝から雨の日は、休みらしい。)

お祖父さんのスタイルが、

完璧に確立しており、

私が入る隙などなかった。

(もちろん、私が手伝うと言った話など、露ほども覚えていない。)


お客は、座敷に二人だけ。

初夏の名物、若鮎の塩焼きを肴に、

ビールを飲んでいる。

私が、窓に近い席に座ると、

「はい、美味しい地下水だよ。」と、

程よく冷えたお水を出してくれた。


地下から組み上げている水は、

水質検査でも良い数値で、

ご飯を炊くと、とても美味しく、

水道水で炊いたご飯を、

食べられない子供が、

ここのは喜んで食べる程だ、と言う。

さらに、鮎は、マイナスイオンたっぷりの水でないといられないが、

この水なら、生簀にもできるそうだ。

ご自慢のお水だ。


お祖父さんは、少し聞こえが悪いようだが、

肌のツヤも良く、シャキッとして、よく動く。


その事を褒めると、

お祖父さんは、この地下水のおかげだと、言ってから、

いくつに見えるかと尋ねた。


私は、待ってましたとばかりに、

少な目に、70代かなと答える。

すると、お祖父さんは、嬉しそうに

「80過ぎてるよ」と言う。


この時、この時のリアクションが、

大事だ。

どうやら、

お祖父さんが満足する反応だったようだ。


お客の、このリアクションが嬉しくて、

毎日、店を(朝から雨の日以外)

開けるのだと思った。


皆が、いい水だから、売ったらいいと勧めるので、

水の販売を検討してみた事もある。

敷地内に、工場を建てて、設備を入れると、5000万。

見積もりを聞いて、即、断念したが、

水の名前は、決めていた。

「比叡の涙」


この時点で、

森のピザ屋さん構想は、完璧に飛んだ。

こんな辺鄙な場所で、

来るか来ないかわからないお客の為に、

毎日、ピザ生地を捏ねるなんて、

私にはできない。

訪れるのは、鹿と猿だけの日もあるだろう。

比叡の涙を飲みながら、

寂しくて、比叡の麓で、涙するなんて、

洒落にもならない。

想像するだけで、涙が出そうだ。


開け放した窓から、

飛沫を上げて流れる、川の音が聞こえ、

川からの冷涼な風は、庭の緑を縫って、

店内に運ばれてくる。


園芸も、お祖父さんの趣味の一つなのだろう。

庭に、いくつも、鉢植えが並んでいる。


お祖父さんオススメの若鮎そばは、

琵琶湖に流れる川から釣り上げた若鮎を、

漁師の所まで買いに行き、

時間をかけて炊いたものだった。

味が良く染み込んで、骨まで柔らかい。

昔は、鮎も自分で釣ってきたそうだ。

釣竿の横に飾られた、

柔らかなタッチの京野菜の絵、

飛び出すような魚の絵も、

お祖父さんの作だった。


昭和元年創業で、三代目。

以前は、二階で、懐石の宴会もしていたが、

子供達は、飲食業に興味がなく、

自分の体力も衰えて来たので、

無理せず、続けられる、今の形になった。


夏は、若鮎。冬は、ボタン鍋。

自慢の名水で、迎える、

昼だけのお店。


もう、これで充分。

私が、余計なことを考える必要はない。

いつのまにか、店頭は、

「準備中」の札になっており、
(おいおい、まだ、12時だよ。)

懐かしい金平糖付きで、

名水で入れた珈琲が、運ばれて来た。


珈琲をゆっくり味わいながら、

私が、ここが大好きで、

この場所に癒されている事を話すと、

お祖父さんは、嬉しそうに、

「お水を汲みにおいで。

昔から、京都美人は、賀茂川が作る

と、言うんだよ。」


比叡の涙...

いただきます。


お祖父さんは、

まだまだ、ずっと、この店で、

若鮎を焼き続けるだろうから。










































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